表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪盗な季節☆   作者: 大野田レルバル
終堕な季節☆☆
202/210

戦争の終焉

終わらせる。

この戦争を。

セズクが差し出してきたみかんを突き返して空を睨む。

空にはまだ沢山の戦闘機と、ミサイルが飛び交い帝国群の戦力を次々とそぎ落としていっている。

天井の亀裂から見える外を爆音で飛び去っていった戦闘機の後ろにシエラがくっついている。

俺のビームで吹き飛んだ天井から空を見上げる。

遠くに黒煙を引きながらも空を飛び続ける戦艦や戦闘機。

まだ戦いは続いているのだ。

セズクが無理やり押し付けてくるみかんを床にはたき落とし靴で踏む。


「みかん!!」


「今いらねーって言ってんだろ!!」


根本からごっそりと吹き飛んだAIと、動かなくなった親友。

命はその体に宿ってはおらず、体は冷たい。 

そして気絶しているアリルをセズクに押し付ける。


「えっ……?」


「この二人を連れて帝国群にまで戻ってくれ、セズク」


混乱した目つきでセズクは俺の目を見返してきた。


「あー……ダーリン」


「なんだい、ブス」


セズクと俺の間に入っくるようにラウナが話に首を突っ込む。

そのラウナにセズクは辛辣な返事を投げつけてるが多分……ラウナには応えていない。

むしろブスって言われて喜んでいるようにも見える。


「あたいが女の子の方を持つよ。

 そっちの方がエウナも安心するだろうし」


いや、しないけど……。

ラウナは俺に片目をつぶって合図してきた。

セズクはホモだから別に気にはしないけどもさぁ。

というか、ラウナの方が信頼できないんだがそれは考えてんのかね。

どっちがどっちを運ぶなどどうでも良いため、こんなことで時間を取りたくない。


「とりあえず、はやいこと運んで安全なところにな。

 運んで行ってくれると嬉しい。

頼んだぞ」


そう言って俺は、天井の亀裂から外へと走り飛び出した。

翼を広げ、大空を泳ぐ。

一度高い所まで飛び上がり、状況を確認する。

ハイライトは既に帝国群本部のすぐそこにまで来ていた。

巨大な要塞が海面に影を落とし、海に展開していた帝国群の艦隊をなぎ払いつつ、陸地へと攻撃を繰り返している。


「ヴォルニーエルは……?」


帝国群のほぼ最後の切り札とも言える超極兵器級の戦艦を見つけるために、視線をあちらこちらへと移動させる。

そして、見つけた。

ハイライトの影になっているところ。

ヴォルニーエルが艦首に集中展開したイージスとハイライトのイージスをぶつけ、中へとめり込もうとしている。

イージスを破り、直接ハイライトへと攻撃しようとしているのだろう。

ぶつかり合うバリア同士の境界線から白い光が迸っている。

あのまま行けばハイライトのイージスは破れ、ヴォルニーエルの勝利が確実なものになるだろう。


「!」


その様子を眺めていたら背中に鈍い痛みを感じた。

振り返ると最終兵器もどきが俺に銃口を向けている。

面白い。

格の差を見せてやるよ。

俺はもどきと向き合うと、もどきの体から生えている銃を引きちぎる。

痛みに頬を引き攣らせている、もどきがなにか行動するよりも先に首に打撃を加え気絶させる。

その体は海へと落ちていきやがて小さな飛沫を立てた。

この戦いを終わらすにはハイライトを落とすのが一番早い。

それはヴォルニーエルがやっているから……。


「っしゃおらぁい!」


空を覆う勢いで広がっている雑魚の掃討に入ることにした。

シエラが蝶のように翼から大量の細かいレーザーをばらまき、周辺の雑魚を減らしていく。

あれはずっと前に見た……名前忘れたけども、大艦隊と戦った時に使っていた奴だよな。

シエラの周りだけごっそり掃除機で吸ったように戦闘機が消える。

衝撃波散弾レーザー……だっけなぁ。

どうやら空は任せても大丈夫そうだな。

海面ぎりぎりまで急降下する。

主砲を唸らせる戦艦とミサイルを吐き出す駆逐艦の艦隊を前方に視認。

陸地への攻撃をしているこいつらを撃沈してやる。

陸から飛んでくる砲台の攻撃で二隻ほど損傷していたがそれでも百隻を軽く超える敵艦隊はひるみもしないで弾幕の中に飛び込んでくる。

戦艦の主砲が火を吐き陸地で大きな爆発が起きる。

ちょうどその時レーダーが俺を捕えたに違いない。

百隻を超える艦の砲門が俺の方を向いた。

まずい、と思いきや俺の真横に巨大な影が出来る。

マーズルカエル、暴風楼の堂々たる登場だ。

イージスを展開しつつ海面へと降りてゆく。

全長一キロを超える船体がフリゲート艦を下敷きにして海面へと着水。

巨大な水柱がマーズルカエルの姿を隠した瞬間、敵戦艦の主砲がマーズルカエルへと殺到する。

歴史に名前を残す大混戦の始まりだろうな、これ。

イージスで防ぎながら、マーズルカエルは敵艦隊の旗艦を目指して突き進む。

俺も手伝った方がいいよな。

マーズルカエルの甲板に降り立つと、乗組員がぎょっとした表情で俺を見てきた。


「なんだ、少佐か。

 びっくりさせやがるぜ」


だけど俺と分かった途端笑う。

何か安心したように。

マーズルカエルといえどあれだけの数の艦隊はきついだろう。

今はイージスが相手の攻撃を防いでいるからいいものの。

イージスが切れた瞬間何が起こるか分からないからな。

マーズルカエルの甲板が開く。

縦に五列、横に十二列。

合計六十のミサイル発射口が、その中に隠れる牙をむく。

赤い噴煙をあげながら六十発の艦対艦ミサイルが敵へと向かってゆく。

だが敵も敵。

ミサイルを次々と撃ち落としつつこちらへと攻撃を加えてくる。

イージスで軽くいなしながら反撃するマーズルカエルの光波共震砲が光を放つ。

戦艦の肉をきり、骨を断つようなレーザーが装甲を貫き艦橋部分を千切り取る。

マーズルカエルの先に立ちふさがるように全長五百メートル弱の戦艦が現れる。

このままだとぶつかるが……。

どうやら、そんなことは気にしないらしい。

艦長のジョンは、傷ついてなんぼ、とか思ってんだろうな。

艦橋の一番上にまで飛んで移動して大衝突の時を待とうとしていた。

ジョンは興奮して増速とかかけてそうだな。

俺ならそうするわ。


「うおおいけえぇええ!!」


とか言ってたら、案の定ジョンのそんな声も聞こえて……。


「ジョン!?」


「やあ少佐!」


「やあじゃない!

 あんた、艦の指揮は!?」


「ここでやってる」


「艦橋の中じゃなくて、ここでやってんのか!?」


「そうだよ」


そういうとジョンは無線を口に近づけ叫ぶ。


「そのままだ!

 機関全開!

 ぶん回して突き進め!!」


おーくれいじー。

マーズルカエルの船体が戦艦を弾く。

倍近い質量差を持ったマーズルカエルに引きずられるように敵戦艦の舷側が凹み、衝撃で、艦橋が曲がる。

艦尾側が急激な動きに追いつけず、衝撃に耐えれなかった。

それは船体の分断を意味していた。

中央から、折れ曲がるようにして艦尾側と艦首側が別々の方向を向く。

その瓦礫を砕くようにしてマーズルカエルの艦首は、今は二隻となった戦艦を繋いでいる鉄を引き裂いた。

敵戦艦は航行不能


「いいぞ!

 この調子で敵をどんどん蹴散らせ!

 それいけ、マーズルカエルちゃん!」


この人危ない。

とっさにそう思った。

だが、このまま勢いで押すことが出来たらこの戦いは勝てる。

そう確信したときだった。

揺るがすような大轟音が、あたりを包んだ。

それは、真上、ハイライト付近から発せられていた。

ジョンも、俺も、上を見る。

ヴォルニーエルの勝利、これでこの戦いは終わるんだ。

と、帝国群の誰もが思っていただろう。

現実は真逆のものだった。

燃え盛って落ちて行くのは、ヴォルニーエルだった。


「……え?」


あのヴォルニーエルの中にはシンファクシも乗っているんだぞ?

そして帝国群の総旗艦なんだぞ――?

俺がそう思ったとたん、ヴォルニーエルは陸地にすがるような形で墜落。

大轟音と海水、砂を巻き上げ機能を停止した。






               This story continues.


ありがとうございました。

さいきんほんと忙しくていけないですね。

読んでいただきありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ