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怪盗な季節☆   作者: 大野田レルバル
終堕な季節☆☆
194/210

裸戦争

「あー……ったくもう」


少し、だけ、いいだろうか。

話を少しだけ聞いてほしい。

俺の名前は永久波音。

なんだけども。


「ハニー?

 どこにいるんだーい?」


今絶賛、素っ裸に近い状態なんだ。

タオル一枚だけつけてる。

そしてその裸の状態でセズクに追われてる。

すごい、いい感じにシリアスだったというのにいきなりこういった感じになってまことに済まないと思っている。

でもな。

ここには理由があったんだ聞いてほしい。

今から大体三十分ほど前のことだ。

俺は。

俺はな。

お風呂場にいたわけだ。

そりゃ裸になるには風呂以外ないだろう?

当然始まる作戦のためだけに精神を集中し、明日へ向けての一歩を考えていた。

そしたらだ。

お風呂場のドアがガガガッとなってな。

初めは地震かと思ってた。

それかセズクかと。

あわてて手元にあったタオルを股間付近に巻きつけて客に備えた。


「波音?

 いる?」


「シエラかよ!

 何しに来たんだよ!」


となったわけだ。

いや俺はいいんだ。

問題はシエラがなぜか恥ずかしがっているということで。


「えっと……。

 その、僕な。

 あのな……」


「待て。

 とりあえずまずは、扉を閉めろ。

 それから話をするから」


「う、うん……。

 分かった……。

 ちょ、なんで……」


シエラはしげしげと引き下がると真っ赤な顔をふりふりしながらお風呂場から出て行っただろう。

ここまではいい。

問題はここからだった。


「波音―!

 私私!」


次に来たのはメイナだった。

俺はまだお風呂に入ってる。

今は湯船に浸かろうとしてた。

俺俺詐欺ならぬ私私詐欺だな。


「キャーー!!」


俺のセリフだよ、それは。

何なんですかねぇ。


「なんで裸になってんの!?

 まじありえん!!」


「……………」


突っ込むのも疲れる。

股間にタオルかけてて本当によかった。

これなかったらもっとえらいことになるところだった。


「と、とりあえず!

 私も話したいことがあるからぁ。

 早くしなさいよね?」


メイナはしゃあしゃあとそういうとお風呂場から出て行った。

俺案外メイナって、下ネタとか強いイメージあったけどそうじゃないのね。

新たに知った新しい顔だったわ。

いまさらながらだけども。


「ったくもー風呂ぐらいゆっくり入らせろよ……」


そう毒づきながら俺が部屋から出たところ。


「……あれ?」


目の前に広がるのは帝国郡の基地なのである。

一応もう一度説明する。

俺が入っていたのはお風呂。

当然お風呂の出口は俺の部屋につながっている。

でも俺がお風呂場から出たとき俺の目の前に広がっていたのは大きな帝国郡の基地。

つまり、外。


「もー波音ったら――」


「やーねぇほんとに」


「ねー」


「ねー」


そしてドゴォというすごい音と共に石が飛んでいく。

ああなるほど原因が判明した。

どうやらこの二人が恥ずかしがって俺の部屋をパンチで吹き飛ばしているらしい。

いわゆる恥ずかしさをどこへ逃がせばいいのかしら、といったところだろう。

ようするにあれだ。

当たる対象がなかったから壁を殴っているということだ。


「ふざけんな!!」


「あ、波音。

 えっと……あー。

 あとでまた話すね?」


「波音、私も……。 

 あとで話す。

 あとでね」


「え、お、いや、えっ?」


つまり、えっ。

いやー……え。

なんで、えっと、えっ。

あー。


「なるほど?」


シエラとメイナは照れ臭そうに笑うと二人してどこかに消えていった。

とりあえず俺は服を着て――。

あ。


「あいつら……」


俺の服もこの部屋にあったんだよ。

それをあいつらが全部吹き飛ばしたということはつまり。

簡単だろ。

俺は真っ裸で外に出されてるってことだ。

携帯で仁に助けを求めようと思っても携帯がない。

ここから二百メートル先の個人ロッカーの中にはまだ一着だけ服がある。

その服をかっぱらって着る。

この際下着はあとでスーパーで買うとして。

とにかく二百メートル先のロッカーへと行くのだ。

そうするしかないのだ。


「……っし」


行くぞ。

覚悟を決めて一歩を踏み出す。

俺の部屋があるのは建物の端の方。

人もあまり来ない。

となると。

このまま誰にも会うことなく俺のロッカーにたどり着くことが出来る。

はずだ。

そう思って勇み足で先へと急いだ。

ら。


「ハニー……?」


うああああああああ。

出た。

出てきやがった。

いた。

すがりつくラウナをどこかに捨ててきて。

そしてようやく一息ついたセズクが。

いた。

俺の。

目の前に。

角を曲がった瞬間。

現れる。

刺客。


「あー……えっと」


「ハニーぃぃいいい!!

 そうか!

 とうとう僕と寝てくれる気になったんだね!?

 だからそうやって裸でシャワー浴びてきたんだね!?

 そうか!

 なるほどそれならいいよさっそく僕の部屋に来て――」


横っ面をグーでぶん殴ってやったよ。

いや、仕方ないだろう。

これは掘っておいたら俺無理やり抱かれるだろこれ。

そしてくるりと後ろを向いて俺は猛ダッシュだ。

こいつぁやべぇもん。


「ハニー!!」


後ろから聞こえてくる悲痛な叫びを無視して廊下の角を曲がったところでいったん息を整える。

あの野郎のおかげで二百メートルの距離が三百メートルになったんじゃないかって思うね。

ロッカーとは逆の方向に走ってきてしまったんだから距離は増えてる間違いなく。

――そんでまあ今に至るわけだ。

あいつから逃げ続けるためにひたすら走った。

ますます遠くなっていくロッカー。

それと伴い俺を探すあいつの視線がますます鋭くなっていく。


「もう少し後ろにさがるかくそっ……」


そう言った矢先俺の目の前の壁が突き破られた。

手が一本、にゅっと出てきて壁が崩れ、壁の穴をこじ開けるようにしてあいつのくすんだ金髪が滲み出してくる。


「みぃーつけたぁ♪


んなぁ、こわすぎぃ。

なんなんだよちくしょー。


「はい、これ」


そういうとセズクは俺に襲い掛かってくるわけでもなくぽん、と俺の頭から服をかぶせてくれた。


「へっ?

 はっ、えっ?」


「僕の服。

 まー今だけ貸してあげるね♪

 明日の作戦、やり遂げようね?」


そういうとセズクは別に俺に襲い掛かるわけでもなく去って行った。

え、えっ?

つまり、えっ、へ?

なに、あいつが助けてくれたの。

……明日は雨かな。

仕方ないからその場で人が見ていないのを確認して服を着る。

流石に下着はなかったからあとで買いに行く。

セズクの服は少しデカい。

仁に借りればよかったのかもしれないけど仁の服は小さいんだよねぇ逆に。

となるとぶかぶかの方がいいわ。

あ。

この服すげぇあいつのニオイする。

くせえ。






「俺はお主らのおかげでな。

 えらいめにあったんだよ。

 おい、聞いてんのかおい!」


「あ、僕ケーキセット」


「私はサンドイッチ」


「聞け!」


今俺がいるのはある喫茶店だ。

話があるって言ってただろう。

だから来た。


「話ってなんだよ」


「んーとね」


メイナは水の中に砂糖をひとつ入れるとくるくると混ぜる。

なにやってんのあんた。


「――ねぇ、シエラ。

 やっぱりあんたがいってよ」


「えー。

 ねーさんが言う約束」


「うー。

 言いにくいで……」


………なんすか。

言いにくいんすか。

なんすか。


「えっと……?

 なんのお話ですかね、お二人さん」


深刻な顔をした二人は俺を見上げる。

紫の瞳がじっと俺の目を覗き込んでくる。

何か言いたいことがあるなら早いこと言ってほしいもんだ。


「えっとね。

 実は――」


「ケーキと、サンドイッチです。

 お待たせしました~」


「あ、ケーキ僕です」


「私がサンドイッチ!」


もう。

釈然としないというかもやもやするというか。

タイミングがよすぎるんだよウエイター。


「早く言ってくれよ」


むしゃくしゃして、俺はため息をつきながら水を啜る。

俺の頼んだドリアがなかなか来ない。

時間かかりすぎだろ。

待ってる間暇だし、水が無くなった空のグラスに鎮座している氷スプーンで突く。


「あのね」


「はい」


「波音ね」


「うん」


「私達が話してた結果ね」


「おう」


「明日の作戦にはいかない方がいいと思う」


最後はシエラが全部おいしいところを持っていった。


「俺が?

 は?

 また、なんでさ」






               


すいません二週間ぶりの更新ですすいません忙しかったんですすいません。

そんでいきなりホモホモしいですすいませんやりたかったんですすいません。


ではでは。

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