表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪盗な季節☆   作者: 大野田レルバル
なんだこいつ……な季節☆
16/210

大炎上

「さて、風呂入って寝るか」


俺が、一人家に帰ってきて呟きながら寝室のドアを開けると


「…おそい…」


シエラの怒りを含んだ声が返ってきた。


「な、なんで、お前…

 まだ起きて…」


俺はまさか起きているとは思わなかったためかなり動揺した声になってしまった。

いや、本当にびっくりした。

つなみに、言っておくと現時刻は三時半だ。

どこかのオタクやゲーマーがようやく寝ようかという気分になる時刻だ。

なのにこいつ―シエラはまだ起きていて

花柄のかわいらしいパジャマを着てふくれっつらで部屋のドアの前に立っている。

腰に手を当てているので胸が強調されているのを思いっきり見てしまった俺は

なんか、やばいものを見てしまった気がしてあわてて目をそらした。


「?」


暗闇の中で本当によかった。

顔が赤くなっていたのを自分でも感じていたからな。

大きく深呼吸をして


「まったく…

 なにやってんだ、早く寝ろ」


ようやく、まともに話すことが出来た。

睡眠物質を分泌している頭をガリガリかきながら

なぜか怒っているシエラの隣を通って自分の部屋に入る。

まぁ、シエラやメイナが来てからは自分の部屋じゃなくなったんだけどな。

俺のベットを挟んで最終兵器姉妹のふとんが下に引いてある。

上から見たら川の字だ。

なんで、シエラ怒ってんだよ、まず。

そんな俺の気持ちを知らずにメイナはふとんに包まって心地よい寝息をたてていた。

部屋のタンスを開け下着などを持って風呂へ行こうと

シエラの横を通ろうとした時だ。

シエラが俺の制服のすそを思いっきり掴んだ。

しわがよるだろうが。

どうせなら、ガラス細工品を掴むような手で掴んでほしかったんだが…

まぁ、いい。

どっちにしろそんなことをされるのに慣れていない俺は非常にびっくりした。

心臓が飛び出るかとおもったね。

なんでそんな上目づかいなんだ。

お前、いつそんなことを覚えたんだ。


「あのさ…波音…」


な、なんでそんな意味深に…

もしかして、夜の怪しいテンションとかじゃないよな。

落ち着けよ、いいから落ち着け俺。


「ど、ど、どうしたよ?」


あー。

動揺してるのが自分でもわかるよこれじゃ。

なんだろう。

なんか、とっても深刻な告白(?)があるような気がしてならない。

まさか、「好き」とかそういうのじゃないだろうな。

だめだ、頭のねじがマッハで発射されそうだ。

なんか、次の言葉が怖いぞ。

(少しの間)

さぁ、来い。

覚悟は出来た!


「おなか減った!」


…。


「…冷蔵庫にあるもん食っとけ」


「アイスしかない」


……。


「ってか、なに?

 それが言いたかっただけなのか?」


それだけのために?

そんなに俺をドキドキさせたのか?


「…う、うん。

 それだけ…だ」


初めの間が気になるが…

ま、どうせどうでもいいことでも考えていたんだろう。


「じゃ、俺風呂入ってくるから」


そういうとシエラはすっと、制服から手を離した。

その動作にどこかさびしげな感じが漂っていたような気がするが

あいにく俺はそんなことに興味はない。

こういうことは風呂に入って綺麗さっぱり忘れるに限る。

うん。

そうしよう。

風呂でゆったりとくつろぎながら

そういえば、このお湯はシエラとメイナが使った後のお湯だなぁ…

とか思って顔が真っ赤になってしまったのを感じた。

今夜は、どうしてこんなに表情を出す羽目になったんだろうな。

まぁ、明日は土曜日ということで休日だから深くは考えないぜ。

今週も、二日間ぐらいしか学校行けなかったな…

その後、急いで浴槽から出て頭や体を洗って服を着てベットに戻ると

俺の上布団をシエラが使っていて


「はぁ…」


ため息をつきながら俺はシエラの上布団を使うことになった。






今日は、土曜日。

休日ぐらいは自分で望んだ時間に起きたいものだ。

だが、最終兵器時計は毎朝七時に絶対に起こす。

絶対に今日と明日は自分の起きたい時間に起きてやる。

恐怖で起こされるなんて、たまったもんじゃなくそれだけは絶対に阻止しなければならない。


「起きろ、波音」


来たな、時計。

俺は疲れているんだ。

だから、俺の眠気を払えたらおきてやろう。


「起きろって言ってんだろう?」


ほら、来たぞ。

頭に、鉄の感触。

これは脅しだけであってレーザーはここから出ないことぐらいわかっている。

いざ、勝負だ時計!

布団を頭からかぶり、さらに防御力をアップさせ要塞と化した俺は

さらなる守りを得るため体を丸めることにした。

ふふっ完璧だぜ。

……?

む、なんだ。

なんか、焦げ臭いな…


「うわぁっ!

 あわわ、やばい!

やばいよ、シエラ!」


「ちょっと、姉さん!

 僕一人のせいじゃ…」


なんだろう?

と思って布団をがばっとあげた俺は目の前にまだ小さいが火柱が上がっているのを

目撃してしまった。

その中核は…


「俺の教科書がぁあああああっ!!」


燃えていた。


「シエラが放ったレーザーが教科書に…」


放ったのかよ!!

マジかよ!

撃つなよ家の中で!!


「って、早く消せ、ボケども!」


でないと…

と言いかけた俺はジリリリリ…と続く警報の音に閉口して

スプリンクラーから噴き出してきた水を頭から思いっきりかぶることとなった。






「ったく、なんでこんな…」


メイナが愚痴をこぼす。

その頭を


「にゃ!?」


思いっきりティッシュの箱で叩く。


「ふふっ……

 いや、まさかこんなことになるとは…」


パカン!!


「ごめんなさい」


シエラが、涙目で謝る。

しっかりと反省してますとかいってるが、反省は遼でも出来る。


「ったく、しっかりと乾かせボケ二人」


シエラとメイナの二人にはドライヤーを持たせ(そこの電気屋で買ってきた)

扇風機と一緒に本などの紙類に風を送るよう命令した。

家自体はどうしようもなく窓やドアを全部取り外して(壊して)

ベットのシーツなどは全部べランダにて風にゆれている。

まだ朝だから、夜までには乾くと思われるがべちゃべちゃになった電子機器類は

どうしろというのか。

PCとか、携帯とか…

まったくとんだ休日だ。

じっとりと額にしたってきた汗をぬぐい


「あち~!」


シエラやメイナと同じように風送り機として首を振っている扇風機の首を

ガギギ…とねじって俺のほうに向けた。


「ずるいぞ!

 波音ばっかり!!」


「僕も暑い…

 服脱ごうか…」


それはやめとけ。


「私も暑い~。

 服脱ごうかしら」


ふん。

わるいが、俺はそういうのに興味は…

ってか、それ以前に外で服をぬぐなボケども。


「ばかか、お前ら二人は。

 グダグダいわずにさっさと乾かせバカ野朗」


文句をたれる二人を完璧に無視して俺は家の中の日陰に移動することにした。

なぜなら、まだ七月のはじめなのに太陽が乾かすのを手伝うかのように

ぎらぎらと照り始めたように思えて、頭がクラクラしてきたからな。

わるいが、君たち愚か者二人はそこでドライヤーを操作しておいてくれたまえ。






「あははははっ!

 それは災難だったね!」


まったくだ。

詩乃の乾いた笑い声が食堂に響き渡る。

アレから、一生懸命に乾かしたものは全部カラッカラに乾燥し

無事に今夜は野宿することなく家の個室で眠れそうだ。

これも太陽のおかげ。

感謝しないとな。


「だから、ごめんってあやまっただろ?」


「私は許してもらえたよ」


「は?え?

 な、なんで姉さんだけ?」


シエラは頭の上に?を浮かべている。

仕方ない、理由を説明してやろう。


理由?

お前の謝り方には誠意というものを感じなかった。

理由?

お前は素直じゃない。

理由?

なんか、はらたった。


「この三つだ」


「ひ、ひどい…」


詩乃がおもわず小さい声でぼやく。

シエラはちょっとショックだったようで。

ふん、勝手に落ち込んどけ。

そう思って俺は詩乃のシェフが運んできた大盛のナポリタンを見て

また、ナポリタンかよ。

と全身全霊でげんなりした。

「またかよ」という目つきで詩乃を見ると

「文句あるならくうな」と、案の定にらまれた。

にしてもあいからわずひろい食堂だな。

俺の家は椅子四つと正方形のテーブル一つでいっぱいになるっていうのに。

天井はなんかキラキラしたもので覆われてるし壁は純白の大理石に金の模様が入っている。

どこかのお城かと思うぐらい綺麗な食堂だ。


「波音…」


どうした、シエラ。

ショックから立ち直ったか。


「これの食べ方がわからない」


こまったように指差す先にあるのはナポリタン。


「ちゅるちゅる吸っとけ」


「こら、波音。

 間違ったことを教えない」


すいませんね。

詩乃がシエラのところにいってスプーンとフォークを持って

手取り足取り教えているのを微妙に笑いながら俺は見る。

そして、うっかりナポリタンをテーブルシーツにつけてしまい

赤くなりながら詩乃に謝っているのを見て

俺は目の前にあるナポリタンをちゃんと礼儀正しく食べ始めた。






               This story continues.

読んでくださっている方々ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ