表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪盗な季節☆   作者: 大野田レルバル
なんだこいつ……な季節☆
15/210

大塔高校今日も愉快

「おっす、波音」


パンをまふまふとかじっている最終兵器姉妹の肩を押しながら歩いていると

仁が、元気に家から出て俺に話しかけてきた。


「ほあ…

 また綺麗なの連れて…」


「好きでこうなったんじゃねぇよ」


他人から見ればまさに両手に花の状態なんなだろうな。

もし、遼が見たら俺に泣きながら

「変わってくれぇぇぇ」

とか、いいそうだな。

まぁ、あそこに遼が歩いているがプライドの高い遼が

俺なんかに泣きながらそんなこと言うわけ…


「おはよう、波の…

 変わってくれぇぇぇ!!」


言ったー!!

遼がメガネをくいっとあげながら俺に声かけてきたとおもったら

プライド捨てて「変わってくれぇぇぇ!!」って言ったー!!

…なんでこんな朝っぱらから突っ込まなきゃいけないんだよ?

しかも、かなりベタな展開だ。

先を読めた方も多いのではないかと思う。

まったく、恥ずかしいったらありゃしない。


「波音っ!!

 おは…えぇぇぇえっ!?」


おはよう、詩乃。

朝からハイテンションだな。

酒でも飲んでるのか?


「増えてるじゃない!」


最終兵器二人の頭に下向きの赤い矢印が効果音と共に現れる

そんな、感じの指の指し方だった。


「この二人をまるで細胞分裂で増えました、みたいなこと言うな」


「う…うん…

 そ、そうよね…うん…」


必死に自分に納得させているのか

いつもの活発な詩乃とは違いギャップが可愛いと思った。


「お、みんないるな~。

 おっはようございま…

 ええっ!?」


冬蝉、おはよう。

お前も朝からハイテンションだな。

このパターンは詩乃と酷似している。

きっと、冬蝉も

「なんで、増えてるんだぁぁぁ!?」

見たいな事を言うんだろうな。

うん。

さぁ、言え!!

俺が突っ込んでやる!


「ま、いいか」


軽っ!

軽いなおい!!

俺はつっこむのにいきりたっていたのに

すかしをくらってしまった。


「おはよう、みんな!」


あぁ、この声は彗人兄さん!

今日もさわやかで!


「今日は体の調子がいいんだ」


それはよかったです。

俺からしたら唯一頼れるお方なので…

はい。

ただ、そのすごくよく働く頭が厄介なだけで…

はい。


「あれ…?

 綾は?」


彗人兄さんについての思いが終わると

俺はいつもここで詩乃と一緒に登場するはずの綾がいないことに気がついた。


「あ~、綾今日は眠いから休むってさ」


いわゆるずる休みってやつだな。






がやがやいいながら俺達は教室にはいる。

先生が来て、委員長遼が号令をかけてまた一日がはじまった。

朝の会が終わったあと、当然先生は流れとして

転校生の紹介にはいる。

シエラと似ているんだから余計に見分けをつけようとするのだろう。




「今日からみんなと…」


ここから後は聞く価値もない。

仲良くしろ、とかそういう系しか言わないって決まってるからな。

よって俺の頭からこの言葉は省略させてもらう。


「メ、メイナです…

 そこのF…あ、シエラとは…その…

 双子で…あの…」


こんな大勢の前で話したのは初めてなのだろう。

しかも自分のこと。

メイナは顔を真っ赤にして頭から煙を吹いている。

あ、オーバーヒート寸前だな。

まったく、心ある兵器ってどうなんだろうな。


「そ、それで…

 あの…

 お、おねがいしますっ!!」


最後は声のトーンが上がり、一気に頭を下げた。

机にもうちょっとで頭をぶつけるぐらいの勢いでだ。

朝の会終了のチャイムが鳴り…

ここから後は言わなくてもわかるだろう。

そう、シエラの時とまったく同じである。

男子はメイナに質問ばっかりいうし

遼はメイナに求愛して先生の伝説のテキストブレイドを食らってもなお

逆らおうと先生をにらみつけるし…

女子の生徒も生徒でメイナに質問雨あられだ。

質問とかを食らって顔を赤くしているメイナを見て


「かわいいじゃん」


と詩乃。


「そうなんだがなぁ…」


と、俺。

また、あのシエラの時とおんなじだ。

これが、デジャヴとかいうやつか。

なるほどな。





一時間目が始まると即俺は気を失った。

目を覚ますと、チャイムがなった後でほっぺたに跡がついていると

冬蝉にいわれるまで俺は寝ていたことに気がつかなかった。

二時間目も同じようなものだ。

物理とかだるくてやってられん。

なにが、力の大きさだ。

別に知らなくてもいきていけるだろう、それぐらい。

そして、三時間目は見事に俺の睡眠をじゃましてくれた。

そう、P.E…つまり体育である。

男女別々に体操服に着替えると同じ体育館で別々に分かれて競技をする。

中学生までは同じことをやっていた気がするのだが高校になってから別々になった。

多分、体のつくりの違いとかが理由なんだろうな。

仁や彗人兄さん遼、冬蝉の四人とつるんで体育館までがやがやしながら行くと

すでに、女子はバスケの準備を始めていた。

ウォーミングアップしているのかボールをもってぴょんぴょんはねている。


「むへへ、あの娘なかなか…」


「いやいや、こっちのほうが…」


仁と遼の会話だ。

バカ一直線だな。

まったく、なぜそんな話をするのか。

女子のみが持つ双丘の話でもしているのだろう。

はねているから余計に揺れているのかもな。


「いや、僕的には…」


彗人兄さんー!!

なんであなたさままで…

くそ、あとで俺も入れてくれよ。

そう思いながら後ろ髪を引かれる思いでサッカーのボールをとってくる。


「でもやっぱり…」


まだ言っているのか。

真性のバカなのかお前らは。

あ、別に彗人兄さんのことをいってるわけじゃないんだぞ。


「シエラちゃんと、メイナちゃんが…

 ぐへへ…」


いつの間にか準備をしていた男子も女子を傍観している。

遼の流れに流されたか。

遼&男子みなさん。

そいつらは最終兵器ですよ~。

まぁ、あの二人は銀髪だからなぁ…

黒髪の中でも目立つシルバーに光る髪をしてるしグラマーっていうのか?

なんていうか、豊かだし。

あ、いや別に詩乃を含む女子が貧しいとかそういうことを言ってるんじゃないぞ?


「へ~」


はっ、今の聞かれたか。

と、後ろに振り返る。


「へ~」


唯一、遼の流れに流されなかった奴が

俺の後ろにたっていた。

ふ、冬蝉…


「そんなこと思ってたのか~

 今の聞いちゃったぞ~」


「なんのことだ?

 俺は別になにも…」


詩乃は気にしてるらしい。

いや、なにがとかはいえないが。


「へ~、波音意外とむっつりだったんだね」


「お、落ち着け。

 俺がなにをいったんだ」


「皆は波音だけは純粋と信じていたのにな。

 悲しいかな、期待は裏切られてしまった」


やばい、こいつに嘘は通じないのだ。

こいつ―冬蝉には警視庁のお偉さんの息子なだけあって

なにか、天性の血みたいなのが流れている。

そう、嘘を見破るのが大の得意なのだ。

いわゆる、天然の嘘発見器みたいな。


「本当にわからないのか?」


「あぁ、まじまじ。

 まじでわかんねぇ」


冬蝉はめっちゃ笑いながら俺と話している。

他人の視点だったらタダの談笑に見えるだろうな。

だが、ここは今まで築いてきた俺のキャラが壊れるか壊れないかの

瀬戸際なのである。

つまり、エマージェンシー。

非常事態なのだ。


「嘘…だよね?」」


ドキ。


「ま、言わないから気にするな。

 俺はお前のキャラを壊したりはせんよ」


「お、おう」


まじ、ありがとうと言いかけた俺は

自分から嘘ついてましたっていうのをばらしかけると思って

なんとか、踏みとどまった。

俺と冬蝉の付き合いは長くかれこれ中学校二年生から一緒だ。

つまり、えーと…二年か。

それぐらいずっと友達でいる。

仁は小学校四年生ぐらいから一緒だ。

だから、六年か。

長いな、おい。

まぁ、とにかく冬蝉が詩乃に言わなくてよかった。

俺が殺されるところだった。

ふぅ。





四時間目、五時間目とそれからはスムースに進み

ようやく帰りの会を向かえ俺達は蜘蛛の子を散らすように

校門から出て行った。

夕日をバックに両手に花。

いや違うか。

夕日をバックに両手に凶器。

こういうことか。


「学校っておもしろいね!」


メイナが、笑いながら言う。


「私、あんなにたくさんの人と話すのはじめて」


だろうな。

約五〇〇〇年も遺跡で眠っていたんだからな。

そりゃそうだろうな。


「あ~、疲れた」


シエラがそういって腕を回す。

俺の方がもっとつかれたわい。

空は真っ赤になった雲が浮いている。

いいよな、雲。

お前は気長で。

能天気とはまさにお前のことだよ。

空にぼやいても仕方ないが空を見るのが好きなのだから仕方ない。


「あ、家ついたね」


「まぁ、すぐに詩乃の家に飯くいに行くけどな」


できれば夕食はハンバーグがいいなぁ、とか思ったが

スパゲティ大好きな詩乃はそうはさせてはくれないだろうな、うん。





さてと…

非常ベルが鳴る線を切り赤外線シャット装置をつける。

博物館なんて所詮こんなもんさ。

ちょろいちょろい。

仁もつれてくるべきかとも思ったが、これぐらいは一人でやるべきだろう。

仁、気持ちよさそうに寝てたしな。


白い手袋をつけた手で、赤いダイヤモンドを掴む。

レッドバロンだかなんだか知らんがこれは俺がもらっていくぜ。

まず、俺は予告状をだして警備を強化させるなんてアホなことはしない。

面倒なことは出来る限り避けたいからな。

初めての仕事の時、鬼灯のおっさんのがいってくれた言葉

『レルバル』とPCで打った紙を落として帰ってきたのは失敗だった。

まぁ、おかげさまでコソ泥から怪盗にまでランクアップされたんだがな。

好きで、俺は怪盗の称号をつけられたのではないということを

皆さんに知っておいてもらいたい。


さて、ぶつは手に入れたしずらかりますか。

防弾制服のエリを直し俺は博物館の出口へと歩きはじめた。

俺はマント見たいな動きづらい服よりもいつも着ている服…

制服で、仕事をしている。

思いのほか警備は薄くこっそりと警備員の後ろに忍び寄ってスタンガンを押し付ける。


「うっ…」


小さい声も漏らさないように手で口を押さえる。

この声を他の警備員が聞きつけるかもしれないからだ。


「ふぁ~…」


あくびをしながら外にでると、

七月の半ばになった空気が俺の体をつつんだ。

熱くほてった体に心地よい。

さて、帰りますか。


「あ、おっさん、頼むぜ」


ヘッドマイクのマイクの部分にそう、吹き込む。

すると、鬼灯のおっさんの声で


『上だ、今降ろす』


と、応答があった。

鬼灯のおっさんが降ろしてきた梯子につかまり

消音ヘリは静かに日本帝国立鉱物博物館から飛び去った。


「楽勝、楽勝!」


俺は、ヘリの中で鬼灯のおっさんにレッドバロンを渡すと

シートに横になった。


「こんばんわ、波音さん」


「お疲れ、ニーズ」


ニーズがヘリを操縦していた。

俺のためにご苦労様です。


「波音さんを補佐するのが私の役目ですから」


にっこりと微笑しながらそういうニーズがすごいと思う。

尊敬する人のナンバー十のうちに入る。


ピッ。


携帯が夜中の三時を知らせてくれる。

鬼灯財閥の財政を支えるには宝石を売るのが一番らしい。

なにをしているのかは知らないが、今一大プロジェクトを鬼灯財閥はしているようだ。

その途中で莫大な金が必要らしい。

宝石は闇ルートでまわすため、足はつかないという。

鬼灯のおっさんには世話になっている。

これぐらいはして当然だ。

世間からしたらこれはヤンデレとか言うのかもしれないが

あいにくこれだけは譲れない。

鬼灯のおっさんに「死ね」といわれたら俺は死ぬ。

鬼灯のおっさんに逆らうぐらいなら死んだほうがマシだ。


そう思いながら俺は満月をじっくりと眺めることにした。






               This story continues.


ポイント(?)入れてくれた方ありがとうございます。

お気に入りに入れてくれた方もっ・・・


感動の涙の嵐です!


とまりませんっ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ