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怪盗な季節☆   作者: 大野田レルバル
最終兵器姉妹な季節☆
10/210

初陣

「三つの死…か……」


そう、少女は呟いた。


遼やたくさんの男子によってめちゃめちゃにされた部屋で

俺は、少女に本をみせてやっている。

なに、難しい本ではない。

誰もが知っているような、童話だ。

『騎士団の栄光』

憂鬱をさそうような童話だ。

それを、こいつ、最終兵器少女は

本に穴があくんじゃね~か、という勢いでガン見している。

正直、こいつならあけかねない。

本に、穴を。

目からビームとか出して。 


「目からビームでるのか?」


「僕は、目からビームなんて出ない」


いや、でも…ねぇ…。


「いくら、僕が大量殺戮破壊最終兵器生命体だからといってだな…」


舌かんでる暇はない。

それに


「なんで、お前そんなにがん見してんだよ。

 本が恥ずかしいっていってるだろ」


「いってない」


比喩表現だってことをしらないのか、こいつは。

そう思いながら、自分の携帯を引き寄せた。


ぶるるるっ!!


な、なんてベストなタイミングなんだ。

鬼灯のおっさんから電話がかかってきた。


《波音か?》


「俺以外にだれがいるんでしょうか?」


《そうだな》


携帯のむこうで鬼灯のおっさんがわらっているのがわかる。

のどをならすように「クックック…」と笑うさまはなぜかおちつくのである。

両親が死んで、小さいころから育ててもらったというのもプラスの要因だ。

詩乃にはあんまり手をかけないのにな。


《では、手短に言うぞ》


「あいあい」


《今度は、アメリカ共和国にて新たなベルカ遺跡が発見された

 その中に潜入して過去の遺産として有名な超光学記憶媒体を盗んで来い》


「あぁ?超光学記憶媒体だぁ!?」


思わず、俺は大きな声をあげてしまった。

ベルカ遺跡はまぁ、いいとして…

超光学記憶媒体ねぇ…


『大きい、声を出すな。

 聞こえたら面倒だろう』


「すいませんね」


さりげなく、謝る俺。


《今夜、早速行くぞ。

 仁も連れて行くことだな》


「はいはい」


《後、一人…そうだな。

 お前が拾ったという女の子を連れて行け》


「えぇっ!?」


再び、大きな声を出してしまった俺。

こいつを…ねぇ…

まぁ、いいか。

役に立たなかったら、ついでにおいていくまでだ。

アメリカに。


俺は鬼灯のおっさんに了解とだけ言って電話を切った。

そうして、まだ本をガン見している少女に話しかけた。


「お前も、行くらしい」


「……どこに?」


はじめの沈黙が怪しかったが…

戸惑ったのかもしれないな。


「アメリカ共和国のベルカ遺跡に…だ…」











高度一万メートル。

降下準備OK。

スタンバイ。


「無事を祈る」


「あんがとよ、鬼灯のおっさん」


そういって、俺達三人はステルスの小型ジェットから飛び降りた。

飛び降りながら作戦内容を確認。

作戦はこうだ。


①アメリカ共和国の対空レーダーを避けるため

 ステルス性小型ジェットで遺跡上部まで、送り届ける。


②遺跡、二百五十m前で降下。

 パラシュートは着地ぎりぎりに開くこと。


③ベルカ遺跡の最深部にある、超光学記憶媒体を盗め。

 傷一つつけずに、鬼灯猛(鬼灯のおっさん)の元にまでとどけること。


④なお、アメリカ共和国、ベルカ遺跡は連合郡と帝国郡の最前線となっており

 今も、戦争中である。

 注意せよ。


⑤今回の遺跡は帝国郡側による爆撃によってみつかったものである。

 よって、連合郡の隠れ場所などになっている可能性がある。

 じゃまなら、排除し前進せよ。

 ここは、戦場だ。

 銃声などめずらしいものではない。



ふっ、楽勝だね。

俺は思い出して微笑んだ。

体が風を切っている。

まるで鳥になった気分だ。

羽ばたいたら、飛べるんじゃないかと思うぐらいに。

下をみると、あちこちから火の手があがっている。

鉄が焼けたにおいが空に充満しており、

土煙がたっているところをふと気になり見てみると沢山の戦車が走っていた。

まさに、戦場。

醜い、人同士の争い……

そういや、少女は便利な眼帯を持っていた気がするのだが。


「あ、忘れた」


おいおい…

まぁ、ないほうがかわいいぞ。


そのとき、俺の耳に高い嫌な音が聞こえてきた。

ゲームなどでは親しまれている音なのだが――

実際にその目標になるのは嫌なものである。


⑥ステルスから降下中は対空レーダーにひっかかる可能性あり。

 注意せよ。


「戦闘機っ…!」


戦闘機が俺達三人にむかって飛んできていた。

腹にはごっそりとミサイル及び爆弾が積んである。

その中の一つが、火を噴き俺達に向かって飛んできた。






「こちら、スパロウワン、目標を殲滅。」  


《こちら、管制塔。よくやったスパロウ》


「引き続き、地上の爆撃に移る」


《了解、スパロウツー、任務を…》


「な、バカな…」


《どうした、スパロウワン?》


「う、撃て撃ちまくれっ!!」


《どうした、応答しろ!!マテンロウ!!おい!!》






死ぬかと思った。

俺は、そう思って額の汗をぬぐった。

爆発、炎上しながら落ちていく二機の戦闘機。


少女の左目が、赤紫から完璧な赤になり

飛んできたミサイルを『片手』で跳ね返した。

いつの間に変えたのか左手から、赤い閃光――

レーザーを出して、一機を殲滅。

もう一機の戦闘機が来る前に、パラシュートを外した。


「おいっ!バカかお前っ!!」


「大丈夫だ」


そういった後、少女の背中から金属の翼が痛々しく生えた。

皮膚が直接変わったようで、血とかの類は一切出ていない。

羽ばたいてもいないのに、空中に静止し…

すれちがい、後ろをむいた戦闘機に左手でレーザーをぶち込み破壊した。






「そろそろ、パラシュートだ、仁」


俺は、仁に話しかけたんだが応答がない。

そりゃそうか。

最終兵器の力をみちまったんだからな。

俺も、絶句したよ。

これは、強烈だった。





地面に着地するぎりぎりに仁を解凍して、パラシュートを開き着地。

着地したところは、木がしげり苔が生え長年人間を拒んできたところのようだ。

今となっては、死体がごろごろところがる戦場となってしまったが…


「ふぅぅ…死ぬかと思ったぜ」


仁が着地したときについた泥をはらいながら言う。

その最終兵器はというと―


「疲れた…うわっ!」


苔に足をとられて着地と同時に転んでいた。

意外とドジなんだな、お前。


「ここから、南へ五十mか。

 いい場所に着地できたものだ」


俺はひとりでそう呟き、鬼灯のおっさんにもらった地図を確かめながら

遺跡にむかって歩き始めた。

あちこちで爆発音がなっているが誰も、森にむかって撃ってはこない。

戦略的価値がないのか、どうかわからないがとにかくこの森は平和をまもっていた。

五十mといえど、森の中である。

当然直進はできるわけもなく迂回しながら進むこととなった。


そして、目標についたのは日がのぼり始めた午前5時ごろだった。

朝日に浮かぶ、遺跡。

まぁ、悪くはない。

遺跡に、変な兵士達が大勢入っていくのを見るまでは。


「まじか…」


「まじだろうな」


仕方ない。

眠らせつつ盗むか。


「はぁ…はぁ…な、なぁ、波音…」


ど、どうした、F・D。

顔があかいし、息が荒いぞ?


「だ、大丈夫か?」


「ス、スイッチが…入っち…まっ…た」


え?

まて、落ち着け。

スイッチ?


「ミ、ミスった。

 き…急につかうもん…じゃない…な…」


力を…か?

ふと横をみると、前かがみになった仁の姿がある。

こいつはこいつで何を考えているんだ。


「仁、顔が赤い。

 なにを考えている」


「え、いや別になにも。

 あは、あははは……」


「なぁ、F・Dそれは殺人快感じゃないだろうな?」


まさか、最終兵器にそんなものがあるとは思えないが。

あったら、もう俺どうしようか。


「破壊衝動と考えてくれれば…」


なるほど納得。

こいつはくさっても最終兵器だ。


「いっつも、そんなことになるのか?」


「いや、五千年ぶりに力を使ったもんだから…」


ながいこと生きてるなお前。

そう俺がつっこもうとした時、仁が言った。


「へいへい、時間になっちまうぞ。

 どうするんだよ?」


どうするここから。

自問自答する。


「とりあえず、進入するしかないな」


外に兵士を残しておいてたほうが…

それぐらい、相手は外に入り口を守る兵士を残していかなかった。

2人か…


「俺がやるぞ」


そういって俺は麻酔銃を取り出し、一気に二回引き金を引いた。

注射器に似た形の弾が発射され兵士の頭に刺さる。

弾から薬が射出され相手の意識を失わすものだ。

ちなみに麻酔銃の訓練は鬼灯のおっさんから叩き込まれたものだ。


同時に倒れた二人の兵士を倒し入り口に立つ俺達三人。


だが、ここにもあるものがはいっているとは

俺及び神すらわからなかっただろう。


それぐらい、俺はびっくりしたね。






                This story continues.

基本的に二日に一度の更新スタイルですが

今がんばってます(笑)

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