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第11話 闇ギルド

 ロイド・クロイツェルは、王都にある闇ギルドの本部に来ていた。

 闇ギルドとは、裏稼業を牛耳っている闇の組織だ。

 盗みや暗殺はもちろん、ありとあらゆる情報を扱っており、冒険者ギルドや王国騎士には頼めない様な汚い仕事を専門に扱うギルドだ。


「ソードマスターのロイド様がわざわざいらっしゃるとは、驚きましたね」


 ロイドを迎え入れたのは、黒いフードを被った男だった。

 顔はよく見えないが、若くは無い印象だ。


「依頼内容は事前に知らせた通りだ」


 ロイドは、事前に手紙で闇ギルドへの依頼内容は伝えていた。

 依頼とは、勿論、クロエを見つけ出して、連れてくる事だ。

 今日、わざわざ闇ギルドを訪れたのは、彼等の実力を自分の目で確認する為だった。


「お前達なら、本当に見つけられるんだろうな?」


 公爵家の騎士団を総動員しても見つけられなかったクロエを、闇ギルドが本当に見つけられるのか、ロイドは疑念を抱いていた。


「勿論でございます!ロイド様の依頼を担当するのは、闇ギルドに5人しかいないSランクの者です」


 そう言うと、奥の扉からゾロゾロと男達が入ってきた。

 室内は暗く、姿は良く見えないが、かなり大柄の者達だ。


「1人じゃ無いのか?」

 

 ロイドは、Sランクの者が1人で担当すると聞いていたので、少し怪訝な表情をした。


「はい、彼は調教師、いわゆるビーストテイマーです」


 黒いフードの男が紹介すると、暗闇から青いフードに眼鏡を掛けた神経質そうな細身の男が前に出た。


「僕が依頼を請け負うラグナだ」


 ラグナの腰には黒い鞭が装備されているが、強そうには見えない。

 ロイドは、本当に大丈夫なのかと、疑念の目を向けた。


「ふふふ、僕の可愛い従魔達は鼻が効くからね、どんな相手でも必ず見つけ出せるから安心してくれていいよ」


 そう言うと、ラグナの背後から漆黒の毛皮に身を包んだ魔物達が姿を現した。


「こいつは、驚いたな・・・」


 ロイドは、予想以上の魔物が現れて、驚愕した。

 暗闇から現れたのは、ウェアウルフにヘルハウンドやキラーベアなどの獣タイプの魔物達だ。

 どれもBからAランクの魔物達なので、ソードマスターのロイドでも苦戦する相手だ。


「なるほど、実力は理解した、しかし、どうやってクロエを連れてくるつもりだ?」

 

 いくら鼻が効くとは言え、魔物達にクロエを安全に捕まえられるとは思えない。

 下手したら、クロエが傷ついたり、死んでしまう可能性もある。

 そうなっては本末転倒だ。


「勿論、クロエ様には、傷一つ付けずに丁重に連れて帰ります」


 ラグナが笑みを浮かべて、自信満々に言うが、ロイドには、信じられない。


「どうやって?」


「こちらでございます」


 ラグナが取り出して見せたのは、真っ赤な金属の首輪だった。


「首輪?これでクロエを引きずって連れて来るつもりじゃないだろうな?」


 ロイドは、馬鹿にしているのかと言わんばかりに、ラグナを睨みつけた。


「これは、隷属の首輪と呼ばれる魔導具です」


「ほう?」

 

「通常は従魔に使用する魔導具ですが、人間にも使用できます」


 ラグナの説明によると、首輪をはめられた者は、首輪に血を吸わせた存在に逆らう事が出来なくなり、強制的に従魔にする事ができる魔導具らしい。

 ただし、血は首輪をはめた状態で吸わせないといけないので、事前にロイドの血を吸わせても意味が無い。

 首輪は一度付けたら2度と外す事は出来ないが、従魔契約の主人を変更することは可能だとの事だ。


 つまり、これがあれば、クロエを従魔にして、好きにできると言う事だ。

 ロイドは、クロエを奴隷の様に支配する光景を想像して、興奮を抑えられずにいた。


「お気に召した様で何よりです」


 ラグナは、ニヤリと笑みを浮かべた。


「では、匂いを追跡しますので、クロエ様の匂いが付いた物はありますか?」


 ロイドは、ポケットから一枚の白いハンカチを取り出した。

 そのハンカチは、狩猟大会の時にクロエが刺繍をしてくれた大切なプレゼントだった。

 出来れば、渡したくは無かったが、それ以外にクロエから貰った物が無いので、仕方なく渡す事にした。


「失敗したら承知しないからな!」


 ロイドは、ソードマスターのオーラを纏い、ラグナを威圧する。

 必ずクロエを捕まえて、自分のモノにしてやる。


「ご安心下さい」


 ソードマスターの威圧を受けても、ラグナは涼しい顔でお辞儀をして、ハンカチを受け取った。


 そして、ハンカチの匂いを嗅いだ従魔達は目をギラリと光らせて、動き始める。


「さあ、隠れんぼの始まりだ」


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