姉ちゃんも一緒にオンラインゲーム
本日のレベリングを終了した。
ドハマりして夢中になってプレイしてしまった……。
もう夜になってしまった。
「……ふぅ」
「楽しかったね、正時くん」
「ああ、時間を忘れてゲームをしていたよ。オンラインゲームがこんな面白いとはね」
「でしょー! これからもペアで遊ぼうねっ」
そんな笑顔で言われては断れないというか、断るつもりはない!
むしろゲーム好きなので大歓迎だ。
今日のところはここまで。
とはいえ、たった一日でレベル50を超えてしまっている。武具も最強に近い。このままなら、簡単にレベル99へ到達できそうだ。
カンストすると更なる上位職へ転職も可能らしい。楽しみだな。
「じゃ、俺は帰ろうかな」
「うん。パソコン持って帰ってね」
「ありがとう、灯」
「またゲームやろう」
「あとで少しログインするよ」
「了解!」
俺は灯に礼を言って玄関へ。
そして、家を出た。
体を鈍らせない為にも、俺はランニングしながら帰宅。
ついに電車に乗らずとも走って帰れるようになった。最近、身も心もずいぶんと鍛えられたような気がする。
自宅に戻ると相当に、姉ちゃんが絡んできた。
「おかえり、正時」
「ただいま、姉ちゃん」
姉ちゃんの視線は俺の手元に注がれた。
紙袋の中身が気になるらしい。
「たいしたものはないよ」
「お土産?」
「違うよ。パソコン」
「へえ、買ったのね」
「とはいえミニPCだけどね」
「どんなの?」
リビングへ向かい、テーブルの上にパソコンを置いた。すると、姉ちゃんは驚いていた。こんなコンビニ弁当ほどのサイズがパソコンだなんて信じられないだろうな。
「これ、かなり高性能なんだって」
「凄いね。今時のPCはこんなに小さいのか」
「姉ちゃんはノートパソコンだっけ」
「教職員用だけどね。たいしたスペックではないよ」
「そうなのか~」
「うん。で、このお弁当箱みたいなPCをどうやって使うんだ?」
本体はPD電源。
HDMIでディスプレイに出力。
あと、USBが4ポート。有線LANもある。
SSD512GBで、メモリ64GB。CPUはAMD Ryzen9というミニPCにしてはハイスペック。
「――というわけだ」
「ふーん」
「分かってないだろ!? まあいいや。俺はこのパソコンでゲームやるんだ」
「ほお? ゲームとな?」
「オンラインゲームだよ。灯とやっているんだ」
「どんなゲームなんだ?」
「MMORPGさ。少し古いけどタイトルは『Excalibur Online』という」
「正時、ちょっと見せてくれ」
「マジか。別にいいけど」
姉ちゃんはパソコンとゲームに興味があるらしい。
たまにはいいか。
以前、トラウマを治してもらったり、マラソン大会で助けて貰ったりしたし。
俺の部屋へ向かい、さっそくパソコンを液晶テレビに繋げた。
電源を押して早くもデスクトップへ。さすが高速。
そのままオンラインゲームも起動。
姉ちゃんに『Excalibur Online』の世界を見せることにした。
「これが画面か。壮大だな」
「ログイン画面ね。ブリトンサーバーを選択して、キャラクターセレクトへ。これが俺のキャラ。名前はグリズリー」
「かっこいいじゃん」
「剣士でね」
キャラ選択後、画面が切り替わってフィールドへ。
【ラディウスさんがログインしました】
すると、灯がログインしてきた。
そういえばフレンド登録したんだっけ。
「このラディウスさんって、まさか」
「そのまさか。灯だよ」
「ほ~。オンラインゲームとはこんな感じなのだな」
「世界中の人と遊べるからね」
「私もぜひやりたい」
「興味津々だな~」
「……出会いが欲しいのだよ」
なんだか切実だな、オイ!




