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◆寝取られ人生に終止符を! 死んでもゴールする男

 太田は俺を突き飛ばそうと何度も腕を伸ばしてきた。


 なんて野郎だッ!


 そこまでして俺を潰したいというのか。そうはさせない。

 こんな卑怯な男を相手にしているヒマはない。無駄な動きは体力を激しく消耗させるだけ。だが、かわさねば転倒してしまう。下手すりゃ大怪我を負う。


 どうする……!


 なにか手段はないのか!


 考えている間にも回し蹴りが飛んできた。



「消えろ、熊野ォ!!」



 ダ、ダメだ……避けれねえッ!!


 太田の足が俺の顔面に向かってくる。


 くそ、くそ、くそおおおおお!!



「――ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


「これでお前はおしまいだ、熊野!!!」



 終わった……。

 これで俺は一番を取れずに終わるんだ。

 ここで無様に散り、カッコ悪い姿をさらしてしまうんだ。一生クラスの笑い者。最悪だ……。



 だが。



『ドゴオオオオオオオォォ……!!』



 なんて鈍い音がして、なぜか太田が宙を舞っていた。その姿がスローモーションで映り、俺は理解した。


 トップを走っていた三沢さんがこっちへ戻ってきて、太田にドロップキックを放っていた。


 その凄まじい衝撃で太田は三回転して、地面に叩きつけられていた。……うぉ、マジかよ。



「ぐはあああああああああああああああああああああああ!!!」



 幸い、後ろではなく横へ吹っ飛ばされたので巻き込まれた人はいない。



「三沢さん……ありがとう!」

「卑怯な手を使う人を許せなかっただけ。これで公平に戦えるよね」


「ああ。しかも今なら三沢さんと同じ! まだ勝てる可能性がある!」



 速度を上げ、真の力を使う。

 両手両足につけていた“重り”を全て外し、俺は加速――!!



「……! 熊野くん、まさかずっと重りを?」

「この瞬間の為に俺は真の力を残していた」



 俺の望みはただひとつ。



 三沢さんを彼女にしたいッッ!!



 ただそれだけの純粋な願いだ。



 リミッター解除を果たした俺は、もう一段階加速。三沢さんを抜き、トップを進む。グラウンドを半分走ってあと少し!!


 三沢さんはギリギリ俺の後ろを猛追してくる。さすがだ……。勝てるわけがないと感じていた。


 でも、それでも俺は諦めない。



「熊野くん! それ以上の無茶は死んじゃうよ!」


「死んでもゴールしてやるさ! だって、俺は三沢さんが大好きだからね!! ああ、そうだ。俺は三沢さんが欲しい!! だから、がんばってこれた!」



 今まで寝取られまくった人生だった――。

 でも、三沢さんが現れ、俺を変えてくれた。トラウマを克服できたんだ。

 はじめて本気の恋をした。

 これほど人を好きになったことはない。


 だから死ぬ気で一番を取る!!


 二番でも三番でもない。一番を――!



「………………っ! 熊野くん、うんっ」



 涙が零れたような気がした。

 でも俺は前を向き続けた。


 あと少し!


 手を伸ばせば、もう届く距離だ。



 しかし。




「熊野く~~~~ん……」



「瀬戸内さん!!」



「あんたは終わり!! ここで終わり!! 消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ!!! 消えてしまええええええええええええええ!!」



 謎の液体が入った瓶を投げてくる瀬戸内さん。最後の最後に復讐劇かよ!! ふざけんな!!



 俺は……!


 俺はああああああああ……!!!

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