母親が死んだ日
母さんが死んだ。
理由は交通事故だ。 近所の子供を庇って代わりに自分が轢かれてしまったらしい。
初めてその理由を聞いた時、あぁ、母さんらしいなと思った。
考えるより先に身体が動いてしまう、母さんはいつもそう言う人だった。
その所為で何度か苦労させられた事もあったけど、俺の文句を豪快に笑い飛ばす母さんを見るたび、気付けば俺も一緒になって笑っていた事を思い出す。
母さんが死んだと聞かされた日も、今日の葬式も不思議と涙は出て来なかった。
……悲しくない訳じゃない、きっと俺には随分も前に覚悟が出来ていたんだと思う。
母さんは末期の癌で担当の医者からはもう一年も生きられないと言われていたから。
まぁ当の本人は、「私が癌なんかで死ぬと思うの?? まだ39よ?? 少なくとも海斗が死ぬギリギリまで私は死なないわ。 その自信があるもの!!」と言っていたけれど。
「ははっ、確かに癌では死ななかったな……」
つい最近まで自信満々にそう言っていた母さんの姿を思い出し、俺は思わず笑ってしまった。
「……海斗君こんな時で悪いんだけど、少し良いかな??」
葬式後、家に帰ろうとした俺を引き留めたのは彰さんだった。
「あ、彰さん。えぇ、大丈夫ですよ、それに元々こちらから伺おうと思っていたんです。
今日は母の為にこんな立派な葬式を準備してくれて……本当に有り難うございました」
彰さんは母さんの友人らしく、母が死んだ後で何をして良いか分からなかった俺の代わりに色々と準備をしてくれた。
母さん以外に身内のいなかった俺にはとてもありがたい事だ。
……だけど本音を言えば俺は彰さんの事はあまり好きではなかった。
初めて会った日からどこか飄々としていて本心のわからない人だったし……母さんが交通事故にあったあの日、俺より先に病院に居たのもこの彰さんだったから。
「いや、良いのさ。 この葬式もあいつに頼まれただけだったからな」
「頼まれた?? 母に??」
「あぁ。 万が一、私が癌に負けてしまったら色々と海斗君を助けてやって欲しい……的な事をね。
まぁ、あいつ自身は冗談で言ったんだろうがね」
「そうですか……その、彰さんは母さんと付き合っていたんでしょうか??」
俺は冗談でさえ、母さんの弱音を一言も聞いた事がなかった。 その事が俺の胸を少しだけ締め付ける。
「……いいや、あいつは……真冬とは小学生の頃からの付き合いなんだ。
まぁ、所謂幼馴染って事になるかな、海斗君の父親である和斗と共にね」
「ち、父とも幼馴染だったんですか??」
まさか父親の名前が出てくるとは思わず俺は驚いた。
母さんは父さんの話を殆どしなかったから二人が幼馴染だった事は俺にとっては初耳だった。
唯一聞かされた話も、父さんは俺が生まれてきて直ぐに事故でこの世を去ったと言う事だけだ。
「あぁ。 まぁ、二人揃って随分と早く俺の前からいなくなっちまったけどな……タバコ吸っても良いかな??」
「構いませんよ。 母も良く吸ってましたので」
俺がそう言うと彰さんは小さく会釈し胸ポケットからタバコを取り出して口に咥える。
哀愁を漂わせるその立ち姿はまるで映画の中の人物の様だと思ってしまう。
きっと泣きそうになっているのを我慢しているのだろう……当然だ、仲の良かった幼馴染が二人も死んでしまったんだから。
「そんな顔で見ないでくれ。 こう言っちゃなんだが、俺なんかより君の方がずっと辛い筈だろ??」
「……いえ、僕は父の事は覚えていませんし、確かに母の事は辛いですが僕はまだ幸運な方だと思っているんです」
「幸運??」
「えぇ、母が癌なのは知っていたのでもう永くない事は理解してましたし、そのお陰……って言うと変ですが、言いたかった言葉を伝える事は出来ましたから」
俺の言葉に嘘はない。 母さんに言いたい事は言えたんだから、不慮の事故で両親を失った人に比べたら随分と幸運な方だ。 本気でそう思っている。
「………なるほどね。 真冬は海斗君のそう言う所を心配してたんだろうな」
「えっ??」
「いや、今のは聞かなかった事にしてくれ。 さてと、じゃあ俺もそろそろ帰るよ」
そう言って彰さんはタバコの日を消し吸い殻をポケット灰皿へ入れる。
「あっ、はい。 今日は本当にありがとうございました」
「あぁ、悪い。 大事な事を忘れていたよ、これを海斗君に返しに来たんだった」
思い出した様に手を叩き、彰さんは背負っていたリュックから小さめの段ボール箱を取り出すと、そのままそれを渡してきた。
「何ですかこれ??」
「真冬が俺の部屋に置いていった荷物さ。 ここ最近あいつは俺の部屋に良く来ていたからね」
「……母が??」
「あぁ、主に海斗君が仕事に行ってる間にかな??
おっと、勘違いしないでくれよ?? さっきも言ったけど俺と真冬に男女の関係はないよ。 悔しいけどあいつはずっと和斗一筋だったからね」
「……別に彰さんと母がそう言う関係でも僕は怒ったりはしませんよ」
「そうかい?? その割には随分と怖い顔をしているけどね」
「……」
「ははっ、まぁ冗談はさておき、これで俺の役目は終わりかな。 真冬に頼まれた事はこれで全てだからね、今度こそ本当に帰るとするよ」
「……ありがとうございました」
「あっ、すまん。 もう一つ大事な事を忘れていたよ。 真冬からの伝言だ。『どうだ!! これで海斗も私の言う事を聞くべきだってわかっただろ!!』だってさ」
少し声を張り、彰さんは母さんの真似をしてなのか力強くそう言った。
「……どう意味ですか??」
「さぁね、俺にはわからないよ。 多分、海斗君が分からないならきっと誰にも分からないんじゃないかな……それから、これは俺からの君へのお節介だ」
そう言うと彰さんは俺の元に近付き、包み込む様にその大きな身体を寄せる。
「海斗君……君はまだ21歳だ。 無理して大人の振りをしなくても良いさ。
それに、君が思っているより大人ってのはずっと弱い生き物だよ、だから……無理しなくて良い。
もし何かあったら直ぐに俺に連絡をくれ、出来る限りの協力はするから」
「……なんで僕に優しくしてくれるんですか?? 僕が父さんと母さんの息子だからですか??」
「それは違うさ。 俺は和斗の息子に興味はないからね。 俺が君を気にかける理由は……同じ女を愛していたからかな」
「彰さん……やっぱり母さんの事っ」
「っさてと!! 今度こそ本当にお別れだ、長い間話し込んでしまって悪かったね!! じゃあね海斗君……次会える日を楽しみにしているよ」
俺の言葉を遮り、彰さんは振り返ると来た道をゆっくりと戻って行く。
俺はその場で彰さんの姿が見なくなるまで立ち尽くしていた。
もしかしたら……母さんが残した何かがまだあるんじゃないと期待しながら。
だけど、彰さんがもう一度こっちを振り返ることは無かった。
そしてその姿が見えなくなった時、俺も自分の家へと帰る事にした。
……彰さんはきっと良い人なんだろう、母さんが最後に会いたがってた気持ちもわかる。
でも、俺はもう自分から彰さんに連絡する事は無いだろう。
母さんが死んだ今、俺と彰さんには何の繋がりもないんだから。
そんな事を考えながらその日はリビングのソファーで俺は眠った。
翌日、目を覚ました俺は昨日、彰さんから渡された段ボール箱を自分の前に持ってきた。
「……母さんの遺品か」
少しだけ開けるのを躊躇ってしまう。
母さんが彰さんの家に置いていた荷物、重さから想像すると生活必需品や服なんだろう。
……彰さんの言う通り、俺はあの時怖い顔をしていたんだと思う。
俺は彰さんに嫉妬していたんだ。
癌になった母さんがわざわざ彰さんに会いに行っていた事が、それを知らなかった事が……凄い悔しかった。
……おそらくこの中に俺が期待している様なものは入っていない。
母さんは手紙なんかを残す様な人じゃなかったし、俺に言いたい事は普段から口に出す人だったから。
それでも、メモ用紙に一言でも良い。 俺と一緒に写ってる写真でも良い。
何か一つ母さんとの繋がりがある物が出てくる事を俺は祈っていた。
「まぁ、このまま放置しておく訳にもいかないからな」
期待外れから来る喪失感から身を守る為か、俺は小さくそう呟きながらゆっくりとガムテープにハサミを入れていく。
「……えっ??」
箱の中身を見た時、思わず声が漏れた。
その中身は服でも生活必需品でも、ましてや写真や手紙でも無かった。
箱の中には古びたゲーム機とカセットが一台だけ入っていたのだ。
「こ、これって……もしかして俺が小学生の頃に母さんに頼んで買って貰ったやつか??
どうして母さんがこれを??」
最初は彰さんが間違えたのかとさえ思った。
だけど、良く見てみるとサインペンで汚く『カイトの!!』と書かれた古い文字を見つけ、これは間違いなく俺が母さんに買って貰った物だとわかった。
「もしかして母さん、彰さんの家でこんな昔のゲームしてたのか??」
だとしたら一体何の為に??
母さんの行動の意味が俺には理解出来なかった。
癌になって余命宣告まで受けているのに何でわざわざこのゲームをしようと思ったのか、そもそもゲームをするならうちにだってテレビくらいはある、彰さんの家に通う必要なんて全くない筈だ。
考えても全く検討がつかなかった俺は、一先ずゲーム機を箱から出しテレビに繋いでその電源を入れた。
赤く光ったゲーム機はテレビ画面にその世界を映し出す。
OPを直ぐにスキップしてセーブ画面を確認すると、『カイト』と書かれたセーブデータの下に『まゆふ』の文字が新たに追加されていた。
「ほ、本当にゲームしてたんだ……」
特に何も考えず俺は『まふゆ』と書かれたデータを選ぶ。
「………あれ? この主人公って子供じゃなかったか?? 何で大人の姿になってたんだ??」
仰々しい音楽が流れる神殿から始まったそのゲームは直ぐに俺の昔の記憶を思い出させた。
そう言えばこのゲーム、買って貰ったのは良いけど難しくて辞めたんだよな……子供の頃はこの世界観も怖かったしな。
そのゲームは王道のアクションRPGで謎解き要素も多かったから、子供の俺には難しく直ぐに母さんに泣きついた事を思い出した。
「でも、母さんも全然クリア出来なかったんだよな。 それどころか俺より怖がってたし」
大袈裟に驚いていた母さんの姿がとても懐かしく感じる。
結局、俺はこのゲームの攻略を諦めたのだ。 そしてそれ以来ゲーム類はむいてないと思って、新しいカセットも買わずにずっと押し入れに閉まっていた。
自分でキャラを動かして物語を進めるより、ドラマやアニメみたいに勝手に物語が進んで行く方が俺にはあってると子供ながらに思ったものだ。
まぁ、でも確か母さんは「ほったらかしは可哀想じゃない?? ほら、このゲームって世界を魔王から救うらしいじゃない。
このままじゃ主人公の世界は救われないのよ?? 私なら絶対に世界を救うまで諦めないわよ??」とか言ってたけ。
あぁ、そうそう。 その度に俺も「母さんだってクリア出来ないじゃん、大人が出来ないのに俺に出来る訳ないじゃん!!
それに俺よりもゲームを進められない母さんの言う事なんて聞けないよ!!」ってムキになって反論したっ……。
その瞬間、俺は彰さんに聞かされた母さんからの伝言を思い出した。
『どうだ!! これで海斗も私の言う事を聞くべきだってわかっただろ!!』
「………もしかして母さん、あんな昔の事を?? ははっ……嘘だよな?? じゃあ彰さんの部屋に行ってたのも俺にこのゲームをやってる所を見られたくなかったからって事か??」
「……よ、余命一年だって言われたのに……何でこんな事の為に時間を使ってんだよ……本物の馬鹿だろ……しかも……結局クリア出来てねぇーじゃねぇーか」
明らかにクリア出来てないゲーム画面は、涙で滲んでもう見えなくなっていた。
母さんが最後までずっと俺の事を考えてくれていた事が嬉しかった、俺が忘れていた昔の事を覚えていてくれて嬉しかった。
そして同時に俺は……後悔した。
母さんはこのゲームをクリアした後、俺に何を伝えたかったのか。
それを聞きたかった。
母さんは俺に言いたい事は普段から言っていた……とんだ思い違いだ。
俺は母さんの事を何も分かってなかった。
考えるより先に身体動く人、それは間違いだった。
母さんは息子である俺の事は……考えて考えて考えぬいてたんだ。
俺が覚えてもいない昔の言葉を引き摺ってしまう程に……。
こんな事に今更気付くなんて……本物の馬鹿は俺の方だ。
母さんが死ぬ覚悟が出来てた??
違う……俺は逃げてたんだ。
母さんが死ぬ事より自分の心が壊れる事が怖かったんだ!! だから本音で向き合えなかった!!
癌だと知ってたから言いたい事を言えて幸運だった??
嘘だ……一番に言いたかった「生きて欲しい」って言葉を言えなかった!!
「ごめん……母さん。 こんな息子で本当にごめん……謝るから……もう一回だけ俺に会いにきてくれよ、母さん」
どんなに泣いても、どんなに祈ってもその願いは叶う事は無い……そんな事、わかってる。
だけど、今の俺には、ただ子供の様に泣きじゃくるしか事しか出来なかった。
「……夜か」
窓に反射する街灯の明かりが俺に時間を教えた。
どうやらあのまま眠ってしまったらしい。
……理由はわからないが、ソファーで寝てた今朝よりも身体が少しだけ軽い気がした。
呆然と起き上がり、ふとテレビの画面を見ると、ゲームの主人公がとても退屈そうなモーションをとっていた。
「……そうだよな、お前にはやるべき事があるんだもんな」
俺はコントローラを握り直し、そのままゲームを進めた。
子供の頃とは違い、サクサクと物語はクリアに近づいて行った。
それても何度か攻略に詰まる所はあったが、調べる事はせず悩んだ末に自力で解決した。
……久しぶりに子供の頃に戻った様で、その時間は何だかとても楽しかった。
「これでエンディングか……ははっ、休み全部使っちゃったな」
結局、俺が魔王を倒したのは次の日の深夜だった。
「……長い間、待たせて悪かったな。 でもなんとかお前の世界を救う事が出来たんだからこれで許してくれよな」
ゲームの最後に子供の姿に戻った主人公を少し羨ましく思いながら俺は電源を切った。
「さてと……明日から仕事だ。
俺には世界なんて救えないけど……それでも頑張らないとな」
固まった身体を伸ばし、俺は立ち上がって急いで明日の準備を進めた。
寝る寸前、ベットの中で昔の母さんの事を少しだけ思い出した。
「海斗、私はね、お姫様より王子様になりたかったの!!
だから私はこのゲームは結構好きかも!!
やっぱり人生は冒険だもの!!」
俺がゲームをしてる時、後ろで母さんは楽しそうにそう言っていた。
「お姫様より王子様かぁ……ははっ、母さんらしいな。 まぁ、母さんが王子様ならお姫様を救うのにかなり苦労しそうだけどな」
俺は笑いながら目を閉じる。
もし、母さんが死後の世界で……まるで小説の主人公の様に転生出来たとしたら……そこで存分に世界を救う冒険を楽しんで欲しいと思う。
そこでもあのゲームの様に道に悩む事があったなら……俺が死ぬまでもう少し待っていてくれ。
俺も仲間になって一緒にっ……いや、ヒントだけ出すお助けキャラにでもなって母さんを手伝いに行くからさ。
そんなくだらない事を妄想しながら、俺は眠りについた。
エピローグ
母さんの葬式から一年後、俺は近くのファミレスに来ていた。
「おー!! 海斗君!! こっちだ、こっち!!」
「彰さん、お久しぶりです!! 連絡が遅くなってしまいすいません」
「良いんだ、君の方から連絡が来るとは思ってなかったから嬉しいよ。
ほら、海斗君は俺の事あんまり好きじゃなかっただろ??」
「ははっ、そんな事……いえ、そうですね。 僕はあまり彰さんの事は好きじゃありませんでした」
「はははっ!! これは随分とはっきり言われてしまったね」
頼んでいたコーヒーを口に運び、彰さんは嬉しそうに笑った。
「そう言えばね、あの葬式の日、真冬と仲の良かった女友達とも少しだけ話をしたんだ。
……誰も真冬が癌だった事は知らなかったよ……どうやらあいつは本気で死ぬつもりなんてなかったみたいだな」
「そうですか……ははっ、一体どこからその自信がきてたんでしょうね。
俺を残して呆気なく交通事故で死んだって言うのに」
「根拠のない自信は真冬の代名詞みたいなものだったな」
「……くっ」
「……ぷっ」
「「あははっ」」
俺と彰さんは顔を見合わせると同じタイミングで吹き出した。
他人から見れば不謹慎に見えるかも知れない。
だけど、そんな事は関係なかった、生前の母さんの事を思い出し一緒に笑い合える。 それが俺には心地良かった。
「海斗君は変わったね。 随分と大人に……いや、子供になったみたいだ。
心配してたおじさんが馬鹿みたいだよ。 やっぱ凄いな、君の母親は」
「……ええ。 本当に不器用で馬鹿で……凄い人でした。
あっ、勿論彰さんにも感謝してますよ。 一年前は嫌いでしたが、今は少しだけ好きになれそうですから」
「おいおい、少しって!!
大好きになれとは言わないが、せめて普通に好きって言えるくらいにはなってほしいね。
海斗君に頼まれたから、俺は今日から3日間の有給を取ったんだぜ?? この時期に休みを取るのは結構大変なんだからな??」
「それはそれは、お忙しい所本当にありがとうございます!!」
「適当だな、おい。 ふぅー、まぁこう言うのも悪くはないか。 それで一体に俺に何の用があったんだ??」
彰さんは全く心当たりがないと言った顔を作り、俺の顔を覗き込む。
「実は……」
俺は出来るだけ神妙な顔つきで呟き、以前彰さんからもらった段ボール箱を、同じ様にリュックから取り出してテーブルの上に置いた。
「……えっ?? おいおい、これって」
「彰さん!! 僕と一緒に世界を救って欲しいんです!!」
母さんの真似をして俺は力強く彰さんにそう言った。
「……はぁー、何かと思えば……はははっ、全く……君は間違いなく真冬の息子だよ」
溜息を吐きつつどこか嬉しそうに彰さんは呟く。
「ふふっ、彰さんに言われると嬉しいですね。 ありがとうございます」
その箱の中には俺が一年前クリアしたゲームと、その続編を入れておいた。
今でも人気なゲームらしくいくつも続編があるから、母さんの命日にはこれからも彰さんと二人でプレイしていこうと思っている。
あの世で母さんの手助けをするためには、このくらいやらないといけないからな。
「……ありがとうね、海斗君」
今にも泣きそうな声で彰さんは小さくそう呟いていた。