42.強くなんてなかったニューゲーム
お久しぶりです。
あまりの時間の空き具合に内容忘れてると思うので何行かでまとめます。
第一世界 イーク(エル)に降り立った目繰
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不の力を使いこの世界の攻略をコンビニでアルバイトしながら目指す(最終目標はアカメの受肉)
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新人として松田が入り、早速掃討戦へGO
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無事に掃討戦を乗り切るが、松田が蘇生者として覚醒↓
もろもろ松田に事情説明と思いきや?←今ココ
〜〜松田〜〜
皮膚に突き刺さってくる感覚が、殺気だと教えてくれるまで僕は死んでいたーー、ような錯覚をしていた。人やモンスターから向けられる殺気とは明らかに違う、魂の本質をじわじわと時間をかけて塗りつぶされていくようだ。
「……や…やめ……」
必死に訴えるも、声が出ない。向けられた殺気に体が言うことを聞かず、得体の知れないものに全てを鷲掴みされているよう。
「……せ、」
先輩、なんでそんなことをーー、
「…………」
黙ったままこちらを睨みつけるクローー、ではなく目繰先輩は、僕をこのまま殺すというのか。
なぜ?
気が遠くなるのを、必死に抑えながら考える。
「……」
なぜ。
「…………」
なぜなんだ。先輩の行動の意図なんて考えられない。松田という名前?なんでそれが関係してるんだ。
"イーク"
"第一世界"
世界なんてここだけだろうに。意味が、わからない。
「うぅ……う…」
下にいる店長らの助けを求めるのは、できない。じゃあ異変に気づいてこの場所に来てくれることは……、これもない。さっき、目繰先輩がさらりとこの場所は特殊な異空間と言ったのを、覚えている。
「……ゔ…」
そうか。僕は、嵌められたのか。
「……」
スキルでこの状況を打破することもできない。僕はなんて無力なんだ。身動きできない今の状況から、僕にできることはひたすら耐えることだ。
「…ゔぅ!……ゔあっ!」
時間が縮んだり伸びたり、目の前がグルグルと渦巻いていく。
あれからどれくらい経っている?
時間の感覚が分からない。先輩は変わらず、こちらをじっと見つめたまま謎の力をこちらへ向けている。じっくりと、じわじわと何かに変わっていく感覚と動くことができない中で思考がクリアになっていく感覚が僕をこの世に繋ぎ止めている気がする。
「……ゴホッ…」
僕の名前は、決して珍しいものではないはずだ。小さい頃に聞いた親の話だと、同じ松田姓だからと言って同じ血が流れているわけではないとうこと。
「…ゴボゴボ……」
それと、僕の先祖は"挑戦者"だった。それがなにかと関係しているのだろうか。先輩が言うにはこのイークという世界の主というのがいて、"錚々たる松田"という名のようだけど……。
「……」
もしかして、先祖が何か関係してるのか?そうだとして、なんで先輩が、そんなことを知っているんだ。
「……り…で…あ…もう少しだな」
なにか先輩が言ってるが、聞こえない。さっきから先輩の口がずっと動いている。誰かと話をしてる?
"思考に浸れ"
クリアになった頭のなかに唯一、その言葉があらわになる。
第一世界 イーク 松田姓 錚々たる松田 挑戦者 そして蘇生者
「うがっ!」
何か様子がおかしい。
「……うぁ…わぁ……わぁば」
あれ、僕の口からなにかーー、
「来るぞイヒ!カケラに備えろ!」
異変がおきてル
『否。備えろ』
僕のナカに
「あ?」
キタナイモノガアフレテクル
『錚々たる松田に備えろ』
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォ
ゴキッ
轟音が響く
まるでこの世界が鳴らしているかのように
それを祝福するように。
「まさかの本体登場ってわけかよ」
ぼクのクチカらナニカデテクルヨ
にゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅる
クチカラララララララララ〜♪
松田の全身がうねる。
「ヘーろー」
口から出てきたそれは蛇のようにうねった蔓。何本かが連なってできた螺旋状の蔓の先端が膨らみヒト型を形成する。
「全力で殺るぞ!イヒ!」
目繰にとってこれは予想外の出来事であるが、対応できないことはない。今この時を以て全力で潰すだけ。意は全て唱え終えている。
「不自然な手 不可解 不覚 不可 不可能 不正 不変 不槍よ、在れ 成れ!」
瞬時に最大出力の不を解放し、対管理者になり得る武器、不槍を手に持つ。
目の前の松田は無事ではないがまだ生きている。望みはまだある。一瞬でこいつをやればーー、
「んーむむむ、あんれー?2人?いや、なんかおかしくねー?お前の中に色々いないー?」
片鎌部分に手をやりスライドさせる。槍の先端がクルクルと周る。
あの時よりも今ならもっと上手くやれるはずだ
「這う這うのーー、」
「そうか!お前が例のイレギュラーか!んーー?こっちに何かしようとしてんの?ちょうどいいや。顕現ついでにこっちも全力出してお前の仕組みを変えよっかな。ついでに真の姿を垣間見てやろう。ふははははは。魔王っぽい?……笑っちゃいなよ」
先に何か来る、そう思った時には遅かった。今の目繰よりもそれは早かったのだ。
「強くてニューゲームなんてチート、僕が許すとでも思った?むりむり!一からやり直してここまできてみなよ、筋肉ダルマを超えたチート野郎め。楽しみにしてるよ〜ん」
スパンッ
不が、飛散する
目に見えて目繰が弱っていく。
「さぁ〜て!これから色々したいことはいっぱいあるんだよね!でもしょっぱなから意外と力を使っちゃったなー。ふー。この器だったやつの力を回収してっと……」
蔓から既に自立している錚々たる松田が、倒れている松田に何かをしている。
「…お、おい……お前゛……俺になに…を」
「あーあ、もう限界か。じゃあね不のものよ。君の情報は各世界に共有されているからね。だから、正当に挑んできなよ」
その言葉を最後に錚々たる松田は目の前から消えていた。最後に「パンツ天国だ!」だと言っていたような気がするが……
「クソッ!」
急激な倦怠感に襲われた目繰はそのまま倒れる形で床に拳を叩きつけた。為す術もなく、ただただ一方的に何かをされただけ。意識が朦朧とする中で頭の中に浮かんでいたのは、松田の安否の心配と最終的な目的であったアカメの受肉の計画。今回の一件でその計画がさらに遠いものとなってしまったことが目繰の心を抉った。目繰はそのまま逃げるように意識を手放し、最悪の流れに身を任せるのだった。
『第一世界 イークの管理者 錚々たる松田が顕現されました』
『錚々たる松田から【蘇生者】を消去しました』
実はこの第一世界管理者は相当な力を使っています。
それも権能の一つを犠牲にしてまでこれを行い、主に媚び売った感じですね。
それが後に影響するかは置いといて、軽いよう見えて意外と知恵が回るのかもしれません。
当分は力をつけるために表立つことはありません。
来週更新するかもです。




