39.掃討戦の終わり
あけおめことよろおひさ投稿です。
前回から間が空きすぎているので前回までのあらすじを3行で、、
クロ(目繰)がコンビニ店員へジョブチェン
掃討戦
松田が蘇生者へと覚醒
です。
「きっつ」
きっつ。なんだよこれ。これが蘇生魔法ってやつか?想像してたのと違うな。
今目の前で起こった蘇生という神秘的で世にも珍しい光景は、あっさりと赤黒い鮮血とともに地獄絵図へと染められる。
「なんだこの悪夢のような光景は……」
呆然となり、生き返った女騎士を見つめる金髪騎士。
いや、そもそもお前が殺さなかったらこんなことにはならなかったんだからな?
しかしこいつもこんな光景を目にするとは思わなかっただろう。
途端にその場が地獄の底へと変わったおかげか、意識が全てクリアになり"それ"に注目が塗り替えられる。
唯一この場を落ち着いて見ているクロは原因を作った金髪女騎士に苛立ちを感じつつも、遠目から松田の様子を確認する。
「……これは、僕がやった…のか?…これが……御伽噺の魔法?…………うぇ゛え゛え゛え゛え゛」
ステージの上で吐いていた。無理もない。あれは皆が想像する蘇生とは違った力だった。俺にはアナウンスが聞こえている。そう、これはあいつらが仕込んだ何かの一つに過ぎない。ここでいちいち突っ込んでいてはキリがない。
「おい」
ピクッと反応を示す金髪女騎士。
そろそろお開きにしようか。
「この状況でどうする?戦うか?退いて上には報告するか?戦うなら今すぐ殺す。僅かながらにも俺の力の一端を感じたはずだ。分かるだろ?」
「……、あぁ」
こいつの性格からして、引くに引けず無理矢理任務を遂行しようとしている節がある。あくまで冷静に冷徹に、いつでも殺せることを少しづつ、悟らせる。
「分かっているだろうが噂でも流れている"不思議な力"を使うものというのは俺のことだ。ただそれだけだ。なぁ?分かっただろ?俺はお前らとなんら変わらない、人だ」
そして不の力を解き、顔あたりにモヤを残しつつ、他をしっかりと認識させる。
「では!やはり、お前は挑ーー、」
「だけどな、その心に聞いてみろよ。お前らとは次元がそもそも違うんだよ。いいか?いくらレベル差でそこを埋めたとしても俺にはまだ……ある。挑戦者だろうが、そうでなかろうが、俺には関係ない。だから、」
ブワッ
「ひっ!」
ほんの一瞬。上に気づかれてもいい。今ある全ての不に指向性を持たせ、解放する。
「邪魔をするな」
「…………っだが!」
「おいおいそれ以外に選択肢がないことぐらい分かっているのに即断をしないのはその腐ったプライドが原因か?くだらない」
金髪女騎士は揺らいでいる。俺の全力を受けたのにも関わらずだ。なんという精神力だろうか。いや、それもあるが恐らくレアものを取ってこいと厳命を受けた責任感と忠誠心、そして今の状況。それらを天秤に掛けているのだろう。なるほど、これがレベル差ゆえの力か。いかに俺が全力の力を解放したとて、この世界では理から外れているようだ。だがしかし、もう一押しだ。
「お前は上からの命令に反して足軽に帰るわけじゃない。俺との戦闘記録、あそこで吐いてるやつの情報、そしてーー、」
「……これ、か」
「そうだ。そこでお前が安らかに眠らせていた女の情報は最高級の蜜だと思わないか?」
そして、俺は手で金髪女騎士を静止させながら、眠っている女に近づく。少しでも情報が欲しい状況の中、生き返った部下の女はいい実験材料となるだろう。まぁこいつは俺がもらうけどな。それを言うこともあるまい。
「さらに情報をくれてやる」
これを言うのは賭けだが。こいつならまぁ大丈夫だろう。こちらを睨みつけるも既に心は撤退に落ちかけている女騎士にトドメを刺す。
「俺は、次に行く方法を知っている」
「ッ!」
金髪女騎士は目を見開き、その場に崩れ落ちる。そこから徐々に後ろへとずりずりと後退したながら口をあうあうとさせている。その驚きように部下の女たち、松田さえもそこに目を向けた。
「……あ……」
「あ?」
「……あなた様は……何者なのですか?」
不思議な力をつかうもの。俺からしたらみんながそうだ。俺からしてみれば皆が魔法やスキルというそれこそなんでもありな技を使う不思議なモノだ。だから俺は今まで聞かれなかっただけのどこにでもあるような自己紹介をする。
「……俺はただの不のものだ」
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「「「「「「「「ばぁ」」」」」」」」
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〜一ヶ月後〜
あれからなんやかんやで一ヶ月が過ぎた。その間、松田は自宅療養で仕事は休んでいた。まぁそれもそうだろう。入った初日からあんな目に遭い、生き延び、あいつらに何かしら組み込まれてしまったんだからな。そして今日、その松田が復帰することになっている。記念すべきことだが、残念なことにあいつにはまだまだ頭を回転させて遠心力で生きてもらわねばならない。
「クロ先輩!おはようこざいます!」
「おう松田、久しぶりだな。あれからどうだ?」
「……そうですね。なんとか立ち直りましたよ。色々ありましたけど、引き続き僕はここで働くと決めました」
「そうか」
こいつはこいつなりに、この一ヶ月で踏ん切りをつけたのだろう。顔つきが以前よりも良くなっている。
「あの、聞いてもいいですか?」
「ああ、答えられる範囲なら大丈夫だ」
もう来るか。
「掃討戦って結局なんなんですか?」
こいつには質問する権利がある。ゆえにここですぐに答えてもいいんだが、今は仕事中。この世界における挑戦者、不のものである以前に俺はここの店員なのだ。だがしかし、こうなることを予想し店長にはすでに話を通してある。“本来俺が入るシフト日ではないのと、給料が発生しない俺の犠牲ありき"だけどな。
「クソ店長め…」
「クロ先輩……?聞いてます?」
俺の、俺らの、この店の、この世界のことをできる限りこいつに詰め込んでやろう。パンパンにして破裂させてやる。ふはははは。
「店長、こいつとさっそくご飯休憩行ってきます」
「了解した、行ってこい。ミズナとシャウロラにはこちらから言っておく。それと、さっきの口ぶりありきのタダ働きと思え」
……あいあいさ
「じゃあいくか」
着いたのはこの店の3階の隠し部屋。なにも覗きとかそういうやましい目的のものではない。外部との環境の一切を遮断した秘密部屋だ。内装は非常にシンプルで二人が向かい会えるほどの空間の中に机と椅子があるのみ。
「こんなところがあったんですね」
そわそわとしている松田。こいつはきっと決心したのだ。この世界の全てを聞く決心を。
「与太話は合間にするとして。まず、そこに座れ」
広くはない空間。松田と二人向かい合わせに座り、息を深く吸う。
「さっそく始めようか説明回!」
明日も投稿した後、なんとか仕事も落ち着いてきたので、ちょくちょく投稿できたらいいな
いいな、、、




