38.蘇生
お待たせしました。
僕から出た、光の粉。それが周囲を包み込む。まるでそれに意思があるかのように、御伽噺の魔法のように縦横無尽に移動している。
レベルさえ上がれば魔法は使える。それは誰もが知っている。魔法に対しての素養がレベルが上がるにつれ上がっていき、その過程で本人の才能次第でスキルが発現する。そう、魔法は使える。だが、今目の前で広がる景色は僕のスキルだ。僕の新たなスキル【夢を現実に】。魔法のようなスキルが、意思を持って動いている。
「なに、これ?温かい……」
誰かが呟いた。それと同時にその場にいるものたちからホッとした言葉が漏れ始める。
「そうだよね、ここはもう私のいた世界じゃないんだよね……」 「綺羅斗様……」「お父さん、お母さんごめんね……」
彼女らは夢現だった今を現実として受け入れ始める。
「怖い、怖いけど前を向くよ」「なんて神々しいの…綺羅…いや違うわね。わたしにはもう、」「私、頑張るよ。だって、」
ただ1人、この場で必死にみんなに勇気や希望を与えている人物を皆が見つめる。
「「「「「「この人がいる!」」」」」」
皆を包んでいた光の粉が宙に集まる。
そしてーー、奇跡がーー、
「……」
「…………」
「………………」ピクッ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「おいおい……嘘だろ…」
「馬鹿なっ!こいつがあのっ……!」
金髪騎士は今も抗い続けている。余裕はなさそうだが、こいつにとってそれは"できる"のだろう。だが、俺も予想外であった松田の歌と踊り、パフォーマンスに圧倒されて戦いのことなど忘れている。
そんな中、怯えていた挑戦者と思われるものたちが、みるみると表情に明かりを灯していく。そして、その灯が一つに集まってこちらに近づいてくる。
その灯は、まさに御伽噺のような光景を見せる。
俺の近くまできたその灯は、先程まで生を灯していた二つの部位の中に入る。
そしてーー、奇跡がーー、
「………………」ピクッ
二つに別れた頭と体が動き出し、やがて二つは一つになる。
「………」ビクッ
その力は決して,誰のものでもないものに与えられる力。
「……」ビクッ ビクッ
一つに戻った体がその場で気持ち悪いぐらいに飛び跳ねる。跳び、うねる。飛び上がっては、うねり、ひねり。高く高く跳び、滞空時間で、うねってひねって、捻られる。
「⊿∴§⌘*ぼぅえっ⁂$⊿%」
死を吐き出す。
「◎△$♪×¥●&%#?!○!※□◇#△!○▼※△☆▲※◎★●○×△☆♯♭●□▲★※▲☆=¥!>♂×&◎♯£」
松田さえも、その光景に歌うのをやめて動きを止める。レベルが高い【注目】は無効になり、誰もがそこへ目を向ける。
「◎△$♪×¥●&%#?!○!※□◇#△!○▼※△☆▲※◎★●○×△☆♯♭●□▲★※▲☆○▼※△☆▲※◎★●○×△☆♯♭●□▲★※▲☆=¥!>♂×&◎♯£」
ついには宙に浮かび、絞り尽くされた物体は、段々と元の姿へと戻りつつ地面にパタっと落ちる。
「……」ビクッ
「………………ごほっ」
『"蘇生使い"をこの世界に於いて確認しました。これにより、錚々たる主が解放されます』




