32.クロの日常
登場人物増え過ぎ
作風変わり過ぎ
視点が三人称から一人称へ変更
目を開ける。そこには、知らない天井……ではなくいつもの景色がある。
「今何時だ?」
ほとんど覚醒していない寝ぼけ眼を擦りながらベットの布団から出ることなく手を探らせる。
「あれ?どこだったかなぁ。こっちか?うぅん……たしかこっちに……っと、うわっ!」
ベットから落ちた
「くっそ、思ったより端まで移動してたのかよ。どこだよ目覚まし時計。俺の睡眠を邪魔しない忠誠心は認めてやるからでてこいこのヤロー」
そう言いつつも探してみるのだが、中々見つからないな。あれー?ほんとにどこいった?昨日は確か夜遅くまで本読んでて、ベットの上に置いてたのは覚えてるんだけどその後どっか置いたか?本を片付けようと棚に戻してーーー、
「あっ本棚か」
ぽんっと手を叩き、本棚を見てみる。やっぱりあった。見つかったのはいいが本が倒れるからって支えにしてんじゃねぇか。まぁしょうがないな、昨日は色々疲れたし。あまりに疲れてなんかもう色々めんどくなってそのまま寝たんだっけか。思い出してきた。
「うーんと、今何時かなと」
時計を手に取り、示される2つの針を見てみる。それは真下で重なり合っていた。
「…………」
っは、そうだ、これは夢か。
「……」
あまりに疲れてこんな悪夢を見るなんて、ちょっと働きすぎかな俺。
「……」
この悪夢から覚めたら俺、言うんだ。1週間休みますって。
「……」
これ最近読んだ本にそれっぽいこと書いてたんだよなぁ。なんだっけ……? フラグ?ってやつか
「……」
まぁ、あれだ。早いとこフラグも立てれたし、よしそろそろいいだろう。着替えも早々に済んだし、身だしなみは整えた。あとは、この現実逃避してる俺を現実へと連れ戻してやろう。さぁ、みんなで大声で言おうじゃないか!
せーのっ
「遅刻だぁぁぁあああ!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「おうおうおう、随分な出勤だな。こちとら早朝から今まで、ほぼ休憩なしで動いてるってのに、いい夢見れたか?んー?」
「いい夢見れました!」
「あぁん?!」
「いや、店長……」
「ミズナ、お前が代わりに残ってくれたおかげでなんとか乗り切れたことは感謝するよ。でもな、こいつを庇うのは店長である私が許さんよ」
「……はい」
はい。俺、今絶賛怒られ中です。遅刻かって?遅刻です。2時間、遅刻です。17時からシフトに入ってました。起きたの18時半でした。なんかもう絶望すぎて徒歩5分の距離を20分かけて歩いちゃいましたよね。急げって?そんなこと分かってらぁ。だがこの中枢都市アギュラの隅に構えるこの店の周り、治安が悪すぎてまともに歩けないんですよ。やれカツアゲだ、やれ強盗だ、放火魔、殺人、そして不人テロ、毎日そんなこんなが日常茶飯事に起こる場所なわけですよ。そんな中にポツンとある唯一のこのコンビニはできてから100年、なぜかややこしいことなくやってきた長安全な店なわけで……。途中に絡まれてた女子高生を助けたり、殺人犯を捕まえたり、放火魔を逆に放火したりと、俺の憂鬱な感情がやけに寄り道させちまった。
『そなえろ』
ん?
「歯ァ砕けろ!」
「ぶぁゲェ!!」
いっ!……たくない。けどなんか痛い気がする!
「っち!相変わらず硬ってぇ体してんな。私が痛みを感じるって中々ないんだぞ?」
レベルシステムの影響なのか、店の制服ならでもわかるほどのモデルスタイルから出る威力ではないアッパーを繰り出した店長の拳は、俺にほんの少しのダメージを与えた。まじどんなだよ。
「ったく、せめて人助けを先に言い訳しやがれ」
そっぽを向いて、ぶつぶつと呟いている。なんだってー?とは言わずに全然聞こえてるし、そろそろ真面目に謝るか。
「変な言い訳はしないです。遅れてすみませんでした。二度と遅れないっす!まじ今からバリバリ働きます!」
下げた頭から店長の顔を見上げる。おっ、これはいけそうだな。あともう一押しってとこか。ふむふむ。
「ミズナ、ほんとありがとうな。俺の代わりに入ってもらって、しんどかったろ?ごめん。今度埋め合わせするからさ、な?」
その言葉を聞いた瞬間、もじもじし始めたミズナだが、どうした?
「じゃ……じゃあ、その……買い物に……付き合ってくれますか?」
「お…おう!買い物な!全然いいぜ!それぐらいお安い御用だ」
相変わらず控えめなやつだなと感じつつ、これでミズナへのフォローも済んだし大丈夫だろ。目の前でガッツポーズする程喜んでるんだぜ?どんだけ友達いねぇんだよ。
ミズナ、こいつの髪は吸い込まれるような深い青色をしている。短い髪、ショートカット?をしていてるが、目は隠れて見えない。だが俺は知っている。ミズナの目は赤と青のオッドアイと呼ばれる珍しい色をしている。ほんとに綺麗なんだよなー。まっ本人が隠したいんならムリに言わない。店長は事情を知ってるっぽいが、そこまで突っ込まない。当たらぬ神に祟りなしってやつだな。あれ、合ってる?まぁいいや、ミズナの懐柔も済んだし許される場は設けた。店長の怒りの落とし所を見つけた俺を褒めて欲しいぐらいだ。さぁ!早く仕事しようーーー、
「おいクロ、それで許されると思ったか?」
「いいえ」
「よろしい、お前は今回夜中まで入ってたな」
「はい」
「じゃあまず、夜間の警備はお前がやれ。防衛システムはすでに構築してやってる。声紋認証もお前で登録済みだ」
「はい」
「そして、特別に私のマナを少しこれに組み込んである。お前が操作する分には問題ないだろう。なんせ私とタメを張れるほどの思想力の持ち主なんだからな」
くそっ。にやついてやがる。あんまり出したくないんだけどなぁ。
「おい、返事は」
「はい」
「よろしい。そして最後に、」
まだあるのかー
「おい、入れ」
「はいはーい!」
なんだ?新人か?
「紹介する。こいつは松田だ」
「松田です!よろしくですクロ先輩!」
そいつは、なんだかおちゃらけたような仕草で俺にお辞儀をする。んー第一印象、なんかむしゃくしゃするなこいつ。
「クロだ。よろしくな松田」
短く返す。好まない奴には最低限だ。
「いやー、研修終了後初の出勤なんで緊張してたんですが、クロ先輩の働きっぷりを聞いて吹っ飛びました!尊敬してます!頼りにさせてもらいます先輩!」
よし、こいつには手取り足取りこの店のノウハウを全て教えてあげよう。コイツイイヤツ。
「あぁ!よろしくな、松田!研修を経たとて全てが分かるわけではない。なんでも聞いてくれ!俺が全てだ!俺も見て学べ!なんでも教えてやる!」
「はい!」
世に言う年下可愛い系男子の容姿をしているその男は元気よく俺に返事をする。いい返事じゃないか。俺の後輩にぴったしだな。
「よし、というわけでこの松田の教育係りをクロ、お前にやってもらう、いいな?あ、あと来週の予定だった掃討戦、今日になったから」
「あれ?先輩?……先輩!どうしたんですか!店長!クロ先輩が立ったまま白目向いてます!」
「時期に裏返るほっとけ」
誰がオセロだぁ!完全にこれメインで俺を当ててきやがったな。ほんとに食えねぇ人だ。
「はぁ。松田よ」
「あっほんとだ裏返った」
くっ!後輩にさっそく弄られてる!店長め!
「ごほん。松田よ、よく見ておくんだぞ。この店に入って研修もしたなら聞いてるとは思うが、覚悟しておくんだ。今夜は……長いぞ」
「はい!よろしくお願いします!」
「じゃあ私は帰る。誰かさんのせいで疲れが溜まりに溜まったのでマッサージにいくとするか」
「私も上がります。じゃあクロくん頑張ってね。松田君もちゃんとクロくんも見ててあげてね」
「はい!お疲れ様でした!」
おい店長、さすがにもうよくない?ミズナも言い方なんか違うくないか?
「まっ、切り替えよう。松田、そろそろ客も来る頃だ。仕事するぞ」
「はい!お願いします!」
後々、そんなハキハキと喋れるか見ものだな。まぁ、フォローはするが半々ってとこだな。
そうして、俺の疲れが完璧に取れてない中、一週間早めの後輩と初掃討戦が開始する。
『そなえろ』
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