31.第三世界から違う世界へ 下
お待たせしました!
「私は諦める」
目をゆっくりと開けたアカメは、開口一番にそう言った。
「分かった」
短く返事をした。
頭のどこかでは、こうなることが二人に分かっていた。これは"クエスト"だ。もしかしてを考慮し、心の中ではアカメとはパーティのつもりだった。しかし、それは適用されておらず、この世界のクリア条件であろう"アスラの討伐"は結果的にソロのみということだった。なんという理不尽なのだと、その思いが頭に浮かび顔に出るが、すぐに切り替える。
そして、目繰にある決意が芽生えた。
「必ずなんとかする。必ず、絶対に俺がなんとかするから、待っててくれ」
「ええ、任せたわ。だから、そんな悲しそうな顔をしないで」
目から出る小さな気泡が上に上がり続けて、ゲートに吸い込まれる。
「泣いてるわけねぇよ。これからしばらくは俺らは一緒なんだ。一人じゃないんだって、そう考えると嬉しいんだ」
左手をアカメの頭に乗せて、満面の笑みで笑う。
「ありがとう、アカメ。俺を一人にしないでくれて。そして、これからも。相棒、もう一人のメグリも言ってる、ありがとうってな。多分だけど、相棒とは会えるんじゃないかな?んで……まぁ、なんだ……その……今から俺の中に入れるわけだが……」
首を軽く横に振り、悪戯する様に笑い、最後の言葉を言う。
「……痛くしないでね?」
必ず、やらなければならないことが増えた。決して、それまでは死ぬわけにはいかなくなった。なんとしても、この意味のわからない無駄な天上クエストとやらを終わらせる。
「……安らぎしかねぇよ」
そう目繰が答えたのを最後に、アカメの姿は消えた。
♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫
世界を覆う不の中、見渡せばこの光球に照らし出される場所以外はすべて暗闇となっている。上とは真逆、下を見れば奈落がどこまでも続いているような感じする。そこに薄らと見えるイヒの巨大なシルエット。連れていかなければならないものが、他にもいる。
「きっと今までもそうだったんだよな。今となっては俺の口からちゃんと言うよ」
『ーーー』
「次の世界で俺がこの力を使えるのか、消えるのか、そもそも俺は一体何ものなんだ。その他にも色々気になることはある。でも、全部ひっくるめて、とりあえず大丈夫なんだろ?なぁ、イヒ」
『ーーー』
「でも、それにはお前が必要なんだイヒ。巨大な亀、"主"と呼ばれるものの関係者、そしてメグリの友達、全部全て俺は受け入れる。俺はメグリでもあり目繰里無なんだ。友達として頼む。俺を、次の世界に連れてってくれ!」
『ーーー』
下に向かって、叫ぶ。イヒからの返事はない。しかし、下から見上げて、仲間になりたそうにこちらを見ている。しかも、図体の割にこちらから出迎えなければついて来なさそうだ。
"上にしか行くことができない"この不海。そのおかげと時間経過で、力を僅かに発動できるまで回復した体で、右手を出してこう言う。
「在れ!」
水に沈みゆく体。
まさに今、1人の不のものが不海に沈んでいる。
かすかに光が届く水深から上を見上げ、左手を伸ばす。
イヒ
右手は、ゴーレムような石に変化して自分の腹の上で抱える。
不海の闇へと落ちていく
体はくの字に折れ曲がり、明らかに、どうしようもなく、落ちていくしかない状況の中、口元が緩む。
そして彼は、岩の心地いい重さを感じる今の状況を、なんの恐怖もなくひたすらにこの状況を、客観的に観察していた。
ただ、期待して観察していた。
彼は、左手を上にかざしながら思う。
ーー俺は初めから一人じゃなかった。
ーーこんな馬鹿げたことをしてるやつらを全員、ぶっ飛ばす。
思いは決意に変わる。
イヒ
イヒ!
俺の中に来い!イヒ!
その瞬間
目の前に口があり、目繰を飲み込む。そして、飲み込まれた先にある何かを掴んだ。
「っ!」
光に包まれた後には、そこには誰もおらず、世界を包んだ不海だけがゆらゆらと揺れていた。
まだまだ書ききれない設定やら、伏線やらありますが、第一章はこれにて【完】です。
幕間を挟み、第二章もほぼ同じペースで更新していきます。




