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【一章完結】不のものクエスト〜誰もクリアできなかったクエスト攻略したけど、初めからやり直し?手に入れた不の力で神どもをぶっ飛ばします〜  作者: knockhai
第一章 風呂場に浮かんだ無数の垢から足掻いて

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23.アスラ戦 上

お待たせしました!

これが、超短期決戦?




 スローな動きは節約でありブラフでだったが、もはやアスラに対しての計画は破綻している。


 相対するアスラは、目を見開き歯を剥き出して獰猛な笑みを余すことなく目繰に向けている。


 その巨体は、興奮からか負の負担ゆえからか、口から息を吐き大きく上下に揺れている。幾億の負を自身に取り込みそれを力として行使する。そこに掛かる負担は一体どれほどのものなのか。


 不についても、負についても全て分かっていない。むしろ分かっていないことのほうが多い。ただ、アスラはそうではないかもしれないのだ。


(全てを知られているかもしれない時点で、向こうが有利……。だが今からそんなこと考えたところで、これで決まる)


 全てをぶちかまして、終わらすのだ。


 死ぬ覚悟はとうの昔にできている。


 ただーー。


「守るにはどうしても死ぬわけにはいかねぇんだよ」


 頬に汗が垂れる。それは、明らかに知らない力に対しての恐怖、緊張ではなく。


 喜びに変換される


「はっ」


 守ることを初めて知ったことで、自分は一人じゃないことを実感する。


 "守る"ということが、全能感を与えてくれる。


 全身がブルブルと身震いする。


 汗がツーと頬から下へと伝っていき、顎先に向かう。


 目繰はゆっくりと手に持つ短槍・片鎌槍改め、不槍※※※※※を目前に出し、片方の手で片鎌に手をやる。


 顎先にまでたどり着いた汗が、地面に落ちようとしている。


「「はっ!」」


 その二人の笑い声が重なり、目繰の汗が地面に落ちた時が始まりの合図となった。


「不槍よ!成れ!」


 片鎌の背を横にスライドさせながら勢いよく押し出す。


 ガキンッと音が鳴り、片鎌が回る。L字の矛は、回ることで円錐に変化する。


 不槍とは不の槍。神槍を選ぶこともできた目繰が選択したのは、この禍々しい槍だった。


 目繰が、矛を回転させたと同時に、アスラはすでにほぼ至近距離まで近づいていた。


「…っ!」


 はやい。不変程ではないにしろ、踏み込んでからの詰める距離が半端ではない。


 まさに神速ーー、


「不変!」


「っ?!」


 隠し球を披露するのは相手だけではない。


 アスラは、今一度自身が進んだ位置を確認するが踏み込んだ所から変わっていないことを認識する。


「それがぁ!どうしたぁ!」


 振り戻しの位置からも勢いは死んでいない。そこからさらに、加速して


「不変!」


「はははははははは!」


 アスラはさらに振り戻り、さらに加速する。


 動いたであったろう自身の未来の位置を不変で止め、変わる景色を一時的に停止させる。その停止させた自分の行動していたであろう場所に加え、メグリの固有能力"這う這うの体(ハウ・トゥ・ラン)"を使用することで瞬間的な移動が可能になる。力をそのように使えば、体は耐えきれずに爆散するだろう。しかし、それをもう一つの"不"に集約すれば可能となる。


「不変!不変!不変!」


 不自然な手!


「っ!」


 さらに2度、不変でアスラの位置を止めた。そして、3度目は自分をアスラから少し離れた真横に移動した。


「それでもお!俺からそんなに離れられてねぇってことはオメエ逃げねえって証拠だよなあ!」


 不自然な手は自然の摂理を打ち消す。全てに置いて自然があり、全てが成り立つ。摂理も条理も道理も含めて、自然なのだ。


 アスラは先程目繰がいたであろう場所におり、そこから片足を軸に回転して追う。


「不変!」


 勢いはほんの僅かに殺せど、アスラはまたさらに加速する。


 まるで目繰を中心としたパノラマのように不変でアスラの位置をその場には止める。肉弾戦になれば、相手にならないと自覚してる故にそうするしかない。


 (時間稼ぎをしてるのは俺の方だな。)


 希薄された無限の不でできるのは、これが限界なのだ。その場からアスラの位置を止めておく。近づかれたら、自分の位置を変える。それだけしかできない。一発でもモロに食らえばそれで全てが終わる。それが今のアスラからひしひしと伝わるのだ。


 また、不変を使おうと、


「不ーー」


「遅くなってんぞ、俺より早ぇやつよぉ」


「ぐっ」


 僅かに拳が頬を僅かに掠る。途端、負が流れ込み目眩がするが


「受け入れる!」


「死ねや」


「不変!」


 この流れで、ほんの一瞬の隙など与えてはならない。その瞬間には、アスラは距離を詰めてくるのだ。ドロドロにまみれて沈み煮込まれていた他人の人生が目繰に流れ込む。そして、濃厚な負が支配していく感覚に陥る中、目繰は咄嗟にそれを受け入れた。それは次の展開を約束する、最良の選択だった。


「それも込みで、死ねっつってんだぁ!」


 元の位置に戻されたと同時に、これを予想していたアスラは、踏み込む体勢を行っていた。そして、目に写る宿敵を確認しつつグッと地面を踏み込む。


「こんなんじゃあ!俺の勢いはとまらねぇぞぉ!」


 しかし、向かうはずの場所には目繰はいなかった。


「ーー」


 踏み込んだ軸足の指を巧みに使い、今までの勢いを遠心力に変える。その場で一回転し、目繰の居場所を即座に把握する。


()()()()!」 


 その遠心力を利用して、向かう。


「不変」


 拳を振り抜き、空を切る。しかし、そのまま、さらにまた軸足を使って回転する。


()()()()!」


「不変」


 ここまでの間、目繰の手に持つ不槍の矛は回転し続けていた。


 まだかと。生半可じゃ絶対に無理だと。はやくしてくれと、願う。


 回転の合間、何回かガキンッという音が鳴っている。それは、何かが外れる音のような、そんな音が何回かしている。


(この一発でっ!)


 アスラは止まらない。神という枠がなかったとしてもその戦い方はある種、魅力を感じていた。常に予測し、それに適応できる技、体がある。咆哮を放つ度、アスラは姿勢を正していた。それを放つための制限だというのは間違いないが、良くも悪くも達人の雰囲気を感じる。


(あれ?でもこいつまだ…。いやまて、そんなはずはない。考えろ)


 アスラは未だ聖顔、咆哮、審体を使用していない。その事実を、今一度考えようとしたところで、また距離を詰めてきたアスラの拳が襲う。


(考えるな!感じろ!)


「必要ねぇ、俺は管理権限を放棄した」


「!?」


「死ねや」


突然のカミングアウトに驚き、さらに拳が額を掠める。確実に追い詰められているのはこちらだ。着々と消費しているのは向こうのはずなのに、その様な気配さえ感じられない。再び、不変を使う。


 思考をこちらも放棄せざるを得ない程の展開。


 その攻防はその後、何度も続く。


 休むことなく、アスラはその巨体を動かし、迫ってくることで段々と精神的にも追い詰められていく。


 いつまでだ、いつまで待てばいい


 いつまで、この回転が終わるのを待てばいい


 相棒の声があれから聞こえない


 アカメは大人しく待っているだろうか


 俺は二人にもう一度、会って話をさせてやりたいんだ


(黙れ、僕にはもう未来はない!同情はいらない!お前が僕から人生を奪ったんだ!)


 やっと話してくれたな、相棒。それが本音か?そっちのほうがお前らしいよ。


(僕らしい?ふざけるなよ。もはや、僕は死人だ。実際のところ協力しなくたっていいんだ) 


 そうかい。負に毒されたか相棒。いや、それはきっかけか


(僕にはもう失うものがない)

 

 いやあるぞ、俺だ


(僕は君なんか要らない。君が死んでも僕は消滅するだけだ)


 違う。これが終わったらこの体おまえにやるよ


(…は?)


 ほんとうだ。不で縛ってもいい。俺は最初から一人じゃなかった。一人なんてないさ。そう思えただけで、逝ける。だから、お前にやる。だからさ、お前も手伝ってくれよ相棒。


 メグリは心の底から自身の魂を軽蔑した。


 そしてーー


 キーン


 甲高い音が鳴り、目繰の体がポカポカしてくる。人肌に包まれる感触は、全てを浄化してくれるようで暖かい。


 これは?


(僕じゃない。これが君の魂だ。…ごめん。)


 これが、俺の?


(協力するよ)


 ありがとう、あいぼーー


(ただし、見返りはいらない。君の体は要らない。君の覚悟はその身とその魂を以って受けとった。それだけでいい。それで…十分だ)


 ……そうかい。分かったよ。


 今の間にもアスラは止めどなくこちらに向かってくる。しかし、


(クールだろ?) 

 

 頭が冴える。思考ができる。


(僕が君の頭脳となろう。それに、みろよ)


 手に待つ槍を見る。


「準備が整ったな」


(あぁ、かましてこい。這う這うの体)


 その言葉を聞いた瞬間、目繰は踏み込み駆けていた。今までの走り方は赤ちゃんだったと思うほど、体が軽かった。


 槍を向け、突然こちらに向かってきた目繰の速さはアスラには写らない。その矛先が獰猛な笑みを浮かべるアスラを貫こうと、迫る。さらに目繰はこう言う。


「成る!」

















次回、水曜日です。

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