16.跳んで火に在るゴミの虫
ちょっと短めです。
(くるわよっ!)
内にいるアカメから褒美をもらおうと息が上がっているシスターは突然の警告に構える。
「世界にぃ油断してんじゃあねぇよ」
飛ばした遥か彼方から、ではなく真上から声が聞こえた時には既に遅く、見上げると目の前に開けた口があった。
「ほぉこぉ」
その声が発せられる間際、糸切れた人形のように崩れ、目の前の口との距離を開ける。
目を見開く
重力に逆らわず落ちてくる向きに正座をし、大口を開けるアスラがそこにおり、その口の前の空間が波打つのが分かった。
(っ!)
それほど距離を空けれたわけではないが、間の空間を把握することができた。が、相手はこの思考の間にも重力に従いこちらに落ちてきている。
(乗乗強撃・裏!)
崩れた足を伸ばす過程を利用し加速、そのままその加速を途切れさせないように手の圧で地面を押す。仰向けで倒れている状態から足が上にしなり、身体が浮かぶ。数々の男の金を巻き上げてきたシスター、デッドエンド。どんな状況でも金を見極めることができる漢殺し、デッドエンド。まさに、その真髄が垣間見える。
加速を伴った撃は見事にアスラの下半身に当たる。つま先が確かな感触を得て、位置をずらすことに成功する。喰らっていただろう咆哮が頭の上を掠める。
(お嬢っ!(構わない!距離をとりなさいっ!)すまねぇ!)
僅かな地面との空間の中、蹴りの遠心力を利用してバク宙する。
最小限に、最速に。もはやアカメの身体なのか分からない、不で構成されているこの身体はシュタレン・デッドエンドのものではない。
しかし、無理矢理それを実行できる自信と技術が彼女にはあった。それをアカメは誰よりも信頼していたため、退避を選択する。
((あれを喰らったら終わる))
彼女らの共通認識として、あの咆哮を喰らえば終わる。ただ、消滅するのだったらいいが、そういうのではない気がする。そう、自分だけの問題ではなく、全てが終わるような、そんな気がするのだ。
「はぉおかぉお」
宙返りをして足を地面につけた直後、脱兎の如くその場から離れる。後ろには咆哮を続け、波打つ共振が既にシスターらがいない地に放たれている。しかし急にそれが終わり、始まる。
あまりの咆哮の間の短さに驚く彼女であったが、まだ冷静を保っている。
(っ! 横に……飛ぶ!)
全力で地を蹴り、瞬きの間にもアスラと距離を開けていく。意識は常に後ろにある。声がなぜか耳元で聞こえるが、その声を聞いた時には、シスターはすぐさま行動に移していた。
一歩一歩走るその間の僅かな滞空時間で身体を90度回転させ、進行方向から垂直に向ける。その後、左脚に不を纏わせ力をいれグッと、踏み込む。
ザシュッ ッダン
彼女は未だこの世界を解明できていない。例え、理解しても理解し得ないこの第3世界 テン。アカメは、この世界を、知っている、つもりなのだ。
僅かな時間で真横に飛んだシスターは、横目にアスラを確認する。
「っ?!」
視認と意識が合わさり、情報が中で駆け巡る。
(浮かんで……?笑って……?まだ……)
処理しきれない、一体なにが、これは、一体。
逆さまの正座のまま宙に浮かび、目を細め不気味にはにかむ男は、歯を見せ、歯を食い縛り、そしてーー、
「面火渦」
歯の隙間から溢れ出る波が前に上に下に多方向に形成される。その波は今までの咆哮とは違う。一方向ではなく、多方向に放たれるが、黒光する罰印がはっきりと確認できるシスターはそれをうまく交わすことができる。シスターはおそらく逃げる方向の選択肢を絞るための咆哮だと思考し、さらに距離を空けようとさらに地を踏み込めようとした刹那。
脚が止まる
なるほど、最初からあいつの手の中で踊っていただけだったのか。ここはあいつの実験場であり、遊戯場であり、風呂場であり、調理場であり、そしてアスラの身体の中なのだから。
不規則な幾何学模様に周囲を囲まれ、もはや打つてなし。今から行われるのは、罠にかかった動物が格上の存在に炙られるだけ。
だんだんと、罰が近づく。
仕事が中々落ち着かないのです。
さらに忙しくなる前に、一章は終わらせます!(願望)
少しでも面白い、気になると思っていただけた方がいれば嬉しいです。
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