蜘蛛女と孤独な少年
僕は夜道の中長い旅をしていた。
苦しく孤独な旅、道中一緒についてきた仲間もクラーケンに襲われて死んでしまった。
仲間の死と引き換えに生き残ってしまった僕はどうして彼らを見捨てたのだろうと後悔をしている。
長い旅の途中、僕は食糧を求めるために討伐に討伐を重ねていたが、そろそろ肉体的にも精神的にも疲れてきた。
「休もう・・・、」と僕は洞窟の中に入り、横になって目をつむると眼前には巨大なコウモリの大群が映った。
僕はすかさず剣を手にしようとするが、その手をコウモリに嚙まれてしまった。絶体絶命のピンチだ。
そんなとき、コウモリを次々と捕えていく糸が見えた。誰かが助けに来てくれたのかな・・・、そしてその巨大コウモリを捕食したのは美女・・・と言っていいのかどうかはわからないが、少なくとも僕には美女に見えた。もっとも人間じゃないけど。
「危ないじゃない、こんなところでうたたね?」
眼前に映ったのは巨大な蜘蛛であり、その大きな顔は美女そのものだった。「僕を助けてくれてありがとう」僕はその美女に言った。
「独りなの?」と彼女は尋ねた。「僕は一人さ。」美女は優しいほほえみを見せた。
「じゃあ、そばにいてもいいの?」
「喜んで!」と僕は彼女に笑顔を向けた。
薄暗い洞窟の中、彼女は僕に尋ねた。
「君は独りで旅をしてるの?」
「もともとは仲間はいたけど、旅の途中で死んでしまった」
「あら・・・、それは大変ね。寂しくなかった?」
「さみしかったよ。故郷に帰りたいとも思えたね」
美女は暖かいその毛布のようなその体で僕に、久々に温もりを教えてくれた。
「もう寂しくないのよ」と彼女は言った。
僕はその彼女の優しさに甘えたかった。すると僕の涙腺は壊れた。泣き出す僕を彼女はそっとぎゅっと包みこんでくれた。
「僕は・・・」僕は彼女の唇に近づく。
「今日は愛を感じたいんだ」と僕は彼女の唇を奪う。
「私のこと、怖くないの?」と彼女は答えた。
「怖くないさ・・・、だって好きだもの。」
「変わってるのね、君」
「僕は変人さ」
彼女に僕は夢を話した。
「僕はね、旅をしていたんだ。秘宝エルル・ヴァラダスを探す旅にね」
「エルル・ヴァラダス?それは何?」
「通称意思を持つ石と呼ばれる鉱石のことだ。手に入れるとどんな願いでも叶ってしまうという魔法の石さ。」
「君の願いはなに?」
「・・・億万長者になりたいって思ってた。」
「素晴らしい夢じゃない」
「でもそんな夢はもういらないさ」
「なんで?」
「君がいるからさ」
「まあ、さっき出会ったばっかりじゃない」
「一目ぼれってやつさ」
そういうと、僕は彼女の唇に舌を近づけた。彼女はゆっくりと口を開けると、僕の舌は彼女の舌と完全に絡めあっていた。
「愛してるって言っていいの?」
「うれしいわ」
「好き・・・愛している」
気がついたら、僕は完全に陶酔していた。旅の目的さえも忘れていた。彼女のそばにいれればいいやってずっと思っていた。
愛とはなんだろうか、この気持ちのことを指すのだろうか、僕にはわからない。
気が付けば陰茎は完全に硬直していた。ゆっくりと下着を下すと、僕は彼女に膣の場所を尋ねていた。
「ダメよ」と彼女が僕に言うと、僕は彼女の言うことを聞いた。
「好きな気持ちはうれしいけど、私はあなたの大切な人になれないわ」
そう言い放つと、僕の眼前は白い糸に覆われた。
僕は彼女に言った、「愛する人の繭の中にずっといれるなら、僕は幸せさ。愛している」
「私も・・・、」と彼女は涙ぐんでいたのだろうか、僕を完全に繭に包み込んだ。優しさに包まれるとはこういうことなのだろうか、僕はゆっくりと目を閉じた。
僕が目覚めると、眼前には温かい繭が広がっていた。繭を破ると、彼女の姿はなかった。なかったけど、僕のために彼女は食糧を置いて行ってくれたようだ。
「愛しているよ、マイハニー」
僕は旅の続きをすることにした。