三題噺第6弾「夕陽」「少年」「残念なかけら」
非常に困ったことになってしまった。
夕陽が沈む時間、少年たちは冒険に出かけると言って、未だ帰らない。
今は寒い寒い冬の季節。
ここは北の大地。
外の気温はいつも氷点下だ。
大人たちは『そのうち帰ってくるでしょ。あの子たちももう立派な大人よ』と言い、心配するそぶりなんて一つもない。
いやいやいや、外の気温わかってる?
下手したら凍え死ぬレベルの気温ですよ?
大人たちには頼れないから、自分で探しに行こうと思う。
冒険といっても、ひとえに、いろんな考え方があるような気がする。
例えば”ただただ、その辺を見て回り、初めて目にする風景を体験する““洞窟などに入り探検をする”
とりあえず、2つの観点から探しに行くとしよう。
外は雪が吹雪いている。
こんな中、洞窟に探検しにいく、なんていうのは考えられない。
というより、この辺りに洞窟は存在しないはず。たぶん。
結論として、その辺を見てまわり、雪が吹雪いていて、視界が悪く、帰り道がわからなくなった。
その方向性でいこう。
あの子たちが行きそうな場所は……きっとあそこだ。
前々から行きたいと言っていた彼の地。
そこは、クリオネが泳いでいて、流氷が流れ着いていて、街並みからは少し離れたところ。
案の定、少年少女はそこにいた。
身体を寒々とブルブル震わしながら、二人は寄り添っている。
声をかけるのが気の毒になるくらい、くっついていた。
それでも声をかけた。このままでは危ないと思うから。
「おーい」
声をかけると、少年だけがゆっくりとこちらに振り向く。
「早く帰るぞ。こんなところにいたら、低体温症で死んでしまう」
「…………」
あれっ、寒くて声が出せないのかな?
近づいてみてみると、その理由がわかった。
少年の横に寄り添っている少女はーーだったからだ。
私は少年に何も言うことができず、街まで付き添った。
少女の指にはめていた残念なかけらを持ち帰って。