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十六話 俺を含めての会議

 ペルセウスに案内されコツコツと足音を鳴らしながら階段を何度も登り辿り着いた最上階。

 そこに会議室はあるらしい。

 今回何の話をするのかは分からないが昨日の文に何も発言しなくていいと書いてあったし俺の紹介程度の会議だと思う。


「補佐の皆様は失礼ながらこちらへ、これ以上先はシド王に認められたお方しか立ち入りが認められておりません故に」


 会議室までもう何メートルかというところまで近付いた時ペルセウスがルーナ達にそう声をかけた。


「そっか………頑張ってねエース」

「ファイトですエース」

「エース様頑張ってくださいね」

「あぁ」


 皆の顔を見て答える。

 ルーナ達はその横にある控え室と書かれた部屋に入っていった。


「さ、こちらへルシフェルス様」

「あぁ」


 ペルセウスが恭しく押し開けた扉の先には豪勢な机が並ぶ部屋だった。

 四角の大きな机にそれを囲むように豪華な椅子がいくつも並べられていた。


(親父!)


 その中にはあのクソッタレ親父。ハンニバル・ルクスブルクの姿があった。

 しかし俺があの時に出会った子供だとは気付いていない様子だ。

 好都合だな。まぁ覚えていてもここでは口を出しにくいだろうが。


「よく来てくれたなルシフェルス。お前が最後だ。空いている席に座れ」

「分かった」


 シドに言われて空席を探す。

 一つだけあった。

 シド王の横だった。

 それを確認して移動している最中に色々声が聞こえてきた。


「あの子供が王の剣………?馬鹿な」

「ルシフェルスの名も地に落ちたものだな。これではルクスブルク家が今年も実質的な王の剣になられるでしょう」


 俺の年齢を見てだろう。

 老年の貴族達はそんな言葉を漏らしていた。

 しかし気にせず王の隣に座った。


 俺は王の左隣に、ハンニバルは右隣だ。

 王の剣はここが定位置というやつなのだろうか。


「よろしくお願いしますわね。小さな剣さん」


 俺が座ったその瞬間俺の左隣にいた女が声をかけてきた。

 緑色の髪を腰まで伸ばした少女だ。


「ん、あぁ。よろしく」

「ごめんなさいね。名乗り遅れましたわね。私は王の盾と言われている一族のアゼデレア家の当主です。よろしくお願いしますわね」


 そう言って頭を下げてきた。

 アゼデレアか覚えておこう。


「ギルバート頼む」


 俺が少女と会話をし終えた後シドが対面にいた………菫色の髪を持ったあの貴族に指示を出した。

 どうやらあれの名前はギルバートというらしい。


「はい」


 そう言い立ち上がると俺の方に視線を向けた。


「私は先程紹介されました通りギルバートと申します。以後お見知りおきをルシフェルス卿」

「あぁ。よろしくな」


 何と言うか他の貴族に何とか卿と呼ばれるのは少し感動があるな。


「今回の議題ですが何時もどおりの報告の場です。各自報告していって下さいますか?」


 そう言い座ると次の貴族が立ち上がった。

 で、何やら分からない話をして報告を終えると次の貴族へ。

 そんなことがずっと繰り返された。


「報告は終わったな?では最後に俺から1つ報告がある」


 そう言い立ち上がるシド。


「先日最難関ダンジョン死の森を踏破し、おまけにデッドエンドを討伐したという英雄が現れた」


 それを聞いてざわめき始める会議室。


「死の森を?」

「あの長らく最奥まで辿り着けすらしなかったあのダンジョンをか?」

「一体誰がそんなことを」


 フッと笑うとシドはまた口を開く。


「それが俺の横に今いるエース・ルシフェルス。こいつこそがあの未踏の地を制覇した英雄よ」


 更に1段階ざわめきが増した。


「あんな子供が踏破した、だと?」

「確かに、前回の攻略作戦でかけられた死の誘いのバッドステータスは一斉に全員が解除されたという報告があるが」

「あの討伐難易度未知数のデッドエンドを本当に倒した、とでも言うのか?」


 そんな事を口々に言っているが、俺は何かそんなに信じられないようなことをしてしまったのだろうか。


「本当に討伐したのですか?!あのデッドエンドを?!あれを討伐できるなんておかしい!」


 そんな中1人の貴族が興奮したのか俺に問いかけてきた。


「おい、俺の剣に何という口の利き方をしていやがる」

「ひ、ひぃ!!!も、申し訳ございまん。シド王!」

「許す。存分に許す」


 結構寛容らしいなこの人は。

 その後に俺に目を向けてきた。


「ことの始終をこの馬鹿どもに話してやれ我が剣よ」

「分かった」


 その言葉を受け立ち上がる。

 またざわめき出す室内。


 うるさいな。

 今からはなすのに落ち着かない。


「人が今から話そうとしているのに黙れぬのか?貴様らは」


 そう告げると静かになる室内。

 王の剣だし宮廷鑑定士ともなればその地位は多分そこそこあると思ったから威厳を示すためにも強めの言葉を使った。


「そこの貴族。少し質問がある」


 俺は先程おかしいと口にした貴族に問いかける。


「な、何でしょうか?」

「さっき俺のことをおかしいと言ったが。デッドエンド等という雑魚を倒してルシフェルスになれたことがおかしいという意味だろうか?」


 ふむ。

 俺はそう思ったのだがどうだろう。

 俺としてもデッドエンドは雑魚かった。

 その雑魚を倒してそれだけで王の剣になれるというのは確かにおかしい気もする。


「………」


 あれ?

 俺が口から言葉を吐いてからシーンとこの部屋は静まり返ってしまった。


「あれ?俺何か言ってはいけないことでも口にしたか?」

「ハッハッハッハ」


 そんな中シドだけは腹を抱えて笑い始めた。


「聞いたかお前らあの難攻不落の死の王デッドエンドを雑魚と言い切るこの強さ。ほんとに凄いやつだなお前は。気に入った俺の剣にして間違いはなかったようだ」


 どうやら別に俺が何か変なことを言ってしまった訳では無いらしい。


「では、何故俺をおかしいと?」

「申し訳ございせん!ルシフェルス卿!あなたを私の常識で考えるなどという愚かな真似をしてしまいました!」


 そう言うと立ち上がって土下座する貴族。


「おいおい………」

「この通りお詫びいたします!王の剣であられる貴方を私の常識でデッドエンドの討伐など出来るわけがなく何かおかしいと、思ってしまったことをここに謝罪させて下さい!」


 何だそういうことか。


「顔を上げてくれ」

「お許しくださるのですか?」

「あぁ。許す」

「ルシフェルス卿………貴方は本当に寛大なお方です………」


 感動して涙を流し始める老年の貴族。

 別にそこまで感動することでもないと思うが。


「そうだな。おいお前ら」


 今度はシドが立ち上がる。


「お前らの中には未だ我が剣の実力を疑うものがいるだろう。そこでだ。俺は今から正式な御前試合を行いたいと思う」


 俺を見るシド王。

 なるほど。実力で意見をねじ伏せろということか。

 俺としても1度見せておいた方が話が早いと思うし。


「試合の内容は我が剣対シルバとペルセウス団長の2人だ」

「へ?」


 しかし、その試合内容は予想外だった。

 二対一だと。

誤字報告ありがとうございます。

多くてすみません。

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