エピソード2
高校に通う3人の高校生、信、安楽田、海はいつもゲームばかりしていた。
「はあ、今日は忙しかったな。さすがに疲れた。」
バイトが終わり帰宅した信は、二階の部屋へとまっすぐ向かい、
勉強机の椅子に腰かけた。
その日はバイトが忙しかったおかげで疲れ切った信は、両腕を椅子の背もたれの方向に
だらりと伸ばしきり、顔は天井をみている。
そんな状態の信のもとへ向かってくる足音が、耳に聞こえてきた。
お母さんだな。信はその足元が誰だか検討がついている様子だった。
トントン。その人物が部屋をノックし、ノブを開き扉を開けた。
「信、お風呂は?はいったらどう?」
信の予想どおりだった。母だ。
「うん、準備するよ。」
母の言うことに従い、返事を返し、信はゆっくりと背もたれにもたれた姿勢を戻す。
それを見ていた母が、信に話かけた。
「あ、それから信。」
「ん?なに?」
信はちょっとだるそうに聞きかえす。
「うん、ちょっと話があるから、お風呂あがったらリビング来てね。」と母。
「話?うん、まあわかったよ。」と信。
母はそう告げ終わると、扉をしめ一階へと戻っていった。
話し・・・?
信は少し考えながらも、検討がつかないものは深く考えないように頭を切り替え
いつものように携帯電話を風呂場にもっていく準備を行い、一階の風呂場へと
向かった。
いつもみたいに浴槽につかってゲームをし、シャワーを浴びて風呂場を出た。
鏡に映った、ひょろひょろの体と伸びきった髪がなんとも暗い印象を与えるといったところだ。
「髪・・・切ろうかな?」
そうだ、次のバイトの休みにあの美容室に行ってみるか。
信はそんなことを考えながら脱衣場でパジャマに着替え、その場を出た。
その足でリビングへと向かう。例の母が言っていた話しを聞くためだ。
リビングの扉を開き中を覗くと母はもちろん、父と大学生の姉がいる。信以外、全員あつまっていた。
「あれ?姉ちゃん帰ってたの?」
そう言いながら信はソファの空いてるところへと腰かけた。
「今日はバイト休みだったの。」
母と共に座っている姉がそう答えた。
「ところで話ってなに?」
早く聞いて部屋にもどり、ゲームしなければいけない。と、信は早速聞き出した。
「そのことだけどね、お父さんが仕事の関係で転勤することになったのよ。」
母は頬に手をあてがい、そう言った。
「転勤?どこにさ??」
信は少し動揺した様子で追及した。
「うん、OO県っていうところよ。」
母は少し眉毛をさげた表情で答えた。
「それでね。お父さん、言って。」
「うん。お姉ちゃんは大学がこっちだから部屋を借りて一人で生活してもらうことになった。けど、お母さんと信は一緒にOO県に来てもらうことにした。引っ越しだ。」
父が告げたこと。つまり移住。田舎への移住だった。
「えーーーーーーー!?」
驚きと同様を信は隠せないといった様子でいる。
つぎのバイトの休みに髪切りに行く予定たてたのに。
学校もある。バイトだって。
そんなことよりなにより、安楽田や海と離れ離れになる。
信はその晩、ゲームが手につかなかった。
ベッドに仰向けになり、両腕をまくらにしただ天井を見つめていた。
しばらくし、眠気がくる。
明日、あの二人にこのことを話さないとな。
そう思いながら、襲い来る睡魔に身をゆだねた。




