第34話『偽物殺しの本物』
何回目かもわからない白い光に包まれる。転送された場所は、ひたすら何もない荒野が広がっている。
「ここは、荒野か……?」
「クダリ、危ないっ!」
「え……うわっ!」
一歩踏み出した足元には底の見えない渓谷になっていた。カイナに言われて足を止めなかったら奈落に落ちていたことだろう。
「渓谷か……落ちたらひとたまりもないな……」
ちょっと足を滑らせただけで地面が崩れるほど脆い。迂闊に近寄らない方がよさそうだ。
「さて、周りには街も見えないけどどうする?」
「そうね、まだ核の反応もないし、歩くしかないのかもね」
カイナのポケットからは警告音のようなものは一切聞こえない。
「結構歩かないといけないな」
「ええ、また歩くんですか!」
「まあ、仕方ないな。核を見つけないと帰ることすらできないんだから。さあ、みんな行こう――」
「黒炎式二段ダークボール!」
声をかけ、渓谷を振り返って歩き出そうとしたとき、突然、何者かに黒い闇の球体をぶつけられる。その球体は右肩あたりに当てられ、ずっしりと重い鉄球をぶつけられたように強力な一撃が――
「ぐっ、うわあああ!」
吹き飛ばされた先は奈落へと繋がる渓谷だ。最後に誰がやったのか撃たれた方向にいた人物を見る。その人物は黒い髪に、黒い目をした青年、大人の俺だった。
俺は何もできないまま空に手を伸ばして、その空が小さくなっていくのを待つだけだった。
「く、クダリ!? でも、ちょっと見た目が違う。もしかして、この世界のクダリ!?」
カイナは闇の球体を撃った人物を見つめる。
「おい、誰がこの世界の、だ。俺は紛れもなくお前らと同じ世界から来た人間だ! あんな偽物と一緒にするな!」




