第33話『流派』
「ま、まあ、その話は置いといてもっと明るい話しようぜ。ほら、前から気になってたんだけどさ。みんな魔法を使うときになんとか式とかあるじゃん。あれってどういうものなんだ?」
これ以上この話をすると罪悪感で締め付けられそうになるので、話題を変える。
「どういうものって言われても……。そういうもの?」
サリィが説明になっていない説明で返す。おそらく、常識的過ぎてどう説明していいのか全くわからないのだろう。
「そうね、クダリにもわかりやすく言うにはどうしたらいいのかしらね。確か、サリィは五月雨式だったわよね」
「はい、先祖代々受け継がれてきた流派なんです」
「私も聞いたことはあるわ。確か結構、有名な流派だったはずよ。それに、リュウカの黄咲式もね。こういう流派によって定められた中の魔法を唱えて使っているのよ。それで? クダリはどこがわからないの?」
「カイナが他の流派を使ったりすることってできるのか?」
「それぞれの流派の師に頼んでその流派の魔法を学べば使えるわ。だけど、勉強もせずに魔法を唱えても何も起きないわ」
「じゃあ、相手の魔法を真似したりはできないのか……。じゃあ、スケイルの魔法もリュウカの魔法も同じ雷だったけど他の流派で違いなんてあるのか?」
「そうね……もちろん、使える魔法は他の流派によって違うし、それに、万が一名称は違うけど同じ系統の魔法だったとしても流派によってこの魔法は威力がどれくらい弾速はどれくらいか定められているのよ。例えば、スケイルの流派、天竜式は威力が七だとすると弾速は三くらい。それに対してリュウカの魔法は威力が三で弾速は七だったりね。もちろん、使用者の魔力によってリュウカの魔法の威力がスケイルの魔法の威力を上回るかもしれないし、使い手次第ね」
「なるほどな……」
一通り魔法については知れただろう。
「カイナの魔法ってどんなのなんだ?」
「いやあ、サリィの魔法とリュウカの魔法は有名ってことがわかったからさ。カイナの魔法も有名なのかなって思ってさ」
「うーん、私の魔法はそんな二人みたいに先祖代々受け継がれてきたものじゃないからね……」
カイナの額には汗が流れている。あまり言ってはいけないことだったのだろうか。
「クダリ、前に話したわよね。特別な事情がある人は年齢関係なく入学できるって」
「ああ、そういえば、言っていたな……」
「ええ、私の両親は幼いとき、亡くなったわ。それも、誰かに殺害されたらしいわ」
「さ、殺害って……嘘だろ?」
信じられない事だった。カイナもそんな悲劇にあっていたなどとは思いもしなかった。
「別に同情とかは必要ないわ。私は叔母に育てられたんだけど、その叔母が使っていた魔法が紅式なの。今は、叔母とは別で暮らしてるんだけどね」
「なるほどな。みんないろいろと事情があるんだな……。って博士はまだ来ないのか?」
「多分、職員室で寝てたりするんじゃない? 私が職員室を出たときはすでに寝ていたわよ」
「ああ、また研究に没頭して疲れてるのか……」
このままでは話すネタがなくなってみんなが黙ってしまう。なんとかして話題を作らなければ。
「そういえば、カレンの前使ってた槍に火とか水とか纏わせるやつってどういうことなんだ?」
「どういうことって言われても、そういうこと」
以前とほぼまったく同じ言葉が返ってきた。
「その返し好きだな!」
「冗談だよ。あれは霊魔槍って言ってその名の通り体内にある霊気を使って槍に火や水などの属性を付与するんです。使用者の霊気に応じて属性の威力も上がりますし、その代わり、その霊気に耐えられる上等な槍でないといけませんがね」
「なるほど……」
なんか聞いた限りだと魔法も霊魔槍も似たように感じるな。
「はっ、はっ、みんな! 遅れてごめん! さあ、案内するよー」
キリアが勢いよくドアを開け、息を切らして入ってくる。まだ、完全には疲れが取れていないようで目の下のクマが目立っている。
さすがに二回目ともなればさすがにみんな、偽りの世界が楽しみだとは感じなくなってきた。
「じゃあ、転送するよー」




