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偽りのワールドブレイカー  作者: 宵月渚
第三章『偽りの妹』
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第23話『偽りの世界へ-2』

「――偽りの世界っ!? わ、私たちがそんなところに行けるの!?」


「嘘っ! 偽りの世界って聞いたことしかなかったから伝説だと思っていたんだけど……」


 案の定、サリィとリュウカは興奮している。まあ、二人からしたらワールドブレイカーになるためにここに来てそのワールドブレイカーと同じ仕事が与えられたんだから気持ちが昂るのは無理もない。


「まあ、もうすぐ博士が案内に来てくれるみたいだからそれまで待ってくれ」


 キリアを抜いたラボのみんなは椅子に座って待つ。サリィとリュウカは落ち着かない様子で待ち、クダリの横に座っているカイナはそうでもないように平然と座っている。


「あなたはそんなにはしゃいだりはしないのね」


「まあな、一応偽りの世界の人間だからな……。それに、あんなことを楽しいとは思えないだろ……」


 俺の世界に来たカイナの姿を思い出す。魔法を撃たれ、本当に殺されるという恐怖、アイリやコウトと過ごした日々が偽物だと知ったときの絶望感。それを今度は俺たちが誰かにしないといけないのだ。楽しいなんて思えるはずがない。


「そうね……これから起こる残酷さに彼女たちが耐えられるといいけど……」


「はーい、みんな大好き博士だよー! さあ、行こうか!」


 いつにも増してハイテンションなキリアがドアを開けて案内する。一応、キリアも偽りの世界のことは知っているからおそらくクダリたちを元気づけるために無理して笑っているのだろう。

 クダリたちは先頭を歩くキリアについていき、ラボがある建物の最上階に一つだけある不気味な部屋に行く。キリアは理事長室と同じくらいの巨大な扉を開く。


「さあ、着いたよ」


 部屋の真ん中にある六芒星の魔方陣が放つ水色の光だけが部屋を照らす。俺も見るのは初めてだ。


「さて、行き先は理事長が設定してくれたみたいだからさっそく行ってみよー! さあ、そこの魔方陣に乗って」


 クダリたち四人は魔方陣の上に乗る。キリアは魔方陣の前に用意された機械の前に立つ。


「それじゃあ、みんな、行ってらっしゃ――」


 キリアがボタンを押すと目の前が真っ白に切り替わる。キリアの声も最後までは聞き取れなかった。三秒ほどで転送が完了し、次に見えた景色は荒廃したビルが並ぶ寂れた街だ。


「ここが、偽りの世界……! あれ? 魔方陣がないけど、どうやって帰るの?」


 サリィが足元を見て気づく。先ほど行きに乗った魔方陣が消えている。


「……世界を壊すまでは帰れないわ」


「…………え?」


 クダリを含むこの場の誰もが驚愕した。


「でも、一回こっちに来れたんだったら、帰ることだってできるんじゃないの?」


 リュウカの声が焦りと不安で震える。


「無理よ。この偽りの世界には外からの接触を避ける結界みたいなものがあるんだけど、それを破るには大量の魔力が必要なの。行きはなんとか魔力を集められるみたいだけど帰りに回す魔力はないわ。唯一の帰る手段は偽りの世界を壊せば結界は解除されるからそれでなんとかするしかないわ」


「な、なんで……私たちはそんなつもりで来たわけじゃないのに……」


 サリィの目からは涙が溢れている。今にも零れ落ちそうだ。


「偽りの世界に来るっていうことはそんな旅行気分で来ていいものではないわ。常にワールドブレイカーは命懸けで世界を壊しているのよ」


 二人はカイナの言葉でひどく打ちひしがれる。


「……行きましょう」


 カイナがゆっくりと歩き出す。二人もその後についていく。クダリはそんな暗い気持ちの二人を走って抜かし、先頭のカイナに追いつく。


「なあ、ちょっと言いすぎじゃないのか?」


「これから起こることに比べれば大したことではないわ」


 冷たい態度をとるカイナだが、眼尻には少量の涙が浮かんでいる。自分で言うのも辛かったのだろう。

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