第20話『女神の授業-2』
「なあ、アイフィ、勝つ方法とかなんかないのか?」
「対戦相手に聞くのもどうかと思うが……そうだな、兵たちの気持ちになって動かしてみるとか……か?」
「兵の気持ちになって……」
クダリは盤面にある兵を見つめて、世界に入り込む。
「王よ、私がお守りします!」
私は忠誠を誓い、剣を持って幾多の戦場を潜り抜けてきた剣士だ。此度は激戦になりそうだ。
「よお、剣士。もうすぐ戦だぜ。調子はどうよ?」
チャラそうな男が現れる。
「なんだ、弓士か。戦場に赴くのだから調子はよくないに決まっているだろう?」
「そうか? 俺は戦場が楽しいぜ」
「ふっ、揚げ足を取られぬよう気をつけてくれよ、弓士」
「はっ、俺がそんな真似するわけないだろ」
俺たちは拳をぶつけ合い、互いの健闘を祈る。
「あれ、剣士じゃないですか」
社交的な男性、背中には大きな盾が見える。
「騎士か。どうしたんだ?」
「いえ、これから大戦が始まりますので、戦う前に無事を願った挨拶をと思い来たわけです」
「ああ、そういうことか。お互いがんばろうぜ。特に騎士は奥さんがいるんだろ。生きて帰れよ」
「ええ、もちろんですとも」
俺たちはお互いに握手を交わす。
「よっす、剣士!」
語尾の「っす」が特徴的な男が現れる。
「今度は槍士か。お前も挨拶か?」
「そうっす! 剣士、お互いがんばりましょっす!」
相変わらずの変な語尾だがここはスルーしておこう。
「ああ、がんばろう!」
俺たちは互いの武器をカンとぶつける。これが、槍士との挨拶だ。
「剣士さん。どうも、こんにちは」
礼儀正しい男性は武器を何も持っていない。
「あ、魔術師か。戦闘前の挨拶だろ?」
「はい、もしや、結構来られていた感じですかね」
「ああ、これで四人目だな」
「なら、話は早いですね。お互い生きて帰りましょう」
「ああ!」
魔術師は俺にどこの言葉かもわからない文字を空中に書く。これは、魔法というものらしい。
「さて、あと三人か。来る気配はなさそうだからこちらから行ってみるか」
俺は最初に教会へ向かった。
「杖士、いるか?」
「はい、いますよ! 剣士さんですね? こんな時間に来るということは挨拶と言ったところでしょうか」
このシスター服を着た女性が杖士だ。
「ああ、そんなところだ。一緒にがんばろうぜ」
「はい、がんばりましょう!」
続いて俺は街を出た隣にある密林へ向かう。
「やっぱり、ここにいたか。銃士」
木の枝に座って銃の手入れをする男が銃士だ。
「なんだ、剣士か。何の用だ?」
「相変わらず冷たいな。挨拶だよ、挨拶」
「挨拶か。そんなものは不要だ。結局生きていたらまた会って死んでいたら二度と会わない。それだけの話だ」
とても冷たく素っ気ないやつではあるが、彼には彼なりの心配をしてくれているのだ。
「さて、次が最後だな」
俺は裏路地へと向かう。
「やっほー、剣士!」
「……暗殺者か」
女性は俺の背後に立つ。手に持ったナイフを俺の首に当てながらだが。そのナイフを鉄製のガンドレッドで弾き、背中の剣を流れるような速さで構える。
「勘は鈍っていないみたいだね」
「……まあな」
「じゃ、お互いがんばろー!」
「ああ、がんばろうぜ」
一通り挨拶が終わったところで、大戦の始まる鐘の音が街に響く。急いで、俺は街の正門へ向かう。王を含めた九人が集まっており、作戦会議を開く。
「さて、作戦だが、どうする?」
俺は八人の様子をうかがう。
「剣士は王の警護に当たってくれ。後は、私もつこう」
見事な作戦の指揮を騎士がとる。
「王と剣士、私以外のみんなは攻め込んでいってくれ」
「「了解!」」
残りのみんなは街を出て、一目散に走っていった。
「騎士、どうだ? 勝てると思うか?」
「五分五分と言ったところでしょう。相手の指揮官もなかなか上手いとお見受けした」
「そうだな……勝ってくれるといいが……」




