第14話『奇襲』
森の中を片手の杖と盾を構えずに背負った男子生徒が歩く。
「はあ、こんな戦いに意味なんてあるのか……。相手は魔法が使えないリーダーとゴミの寄せ集めだろ。どうせ、僕たちが勝つに決まってる……」
少年はぶつぶつと独り言を言いながら深い森の中を歩く。そして、森の中を歩いていくうちに目の前に人影が現れる。警戒して武器を構えるが、その姿を見た瞬間、武器を下ろす。
「おや、あなたは向こうのリーダーではありませんか。どうしたんですか、魔法の使えないあなたにできることは、精々盾になること――」
少年は長々と話していたため、後ろにいる人影に気づくのが遅れる。
「五月雨式初段ウォータードロップ!」
サリィは手を相手に向け、そこから少年の全身を被るほどの水が放出される。殺傷能力のない、非常に需要のない魔法だ。少年はすぐに気づき、口を手で隠すが、笑いがこらえられずに口から手を離す。
「くっくっくっ……はははっ! そんな魔法で倒せると思っているのか! さすがは五組だ! バカにもほどがあるだろっ!」
「バカはお前だ」
クダリが冷たく言い放つ。
「……は?」
「黄咲式初段サンダーショック!」
リュウカが背後に回り、魔法を唱える。リュウカの少年に向けて広げられた両手から紫の電撃が走る。細く弱弱しい電撃が少年にぶつかると一気に強力な電撃へと変化し、少年は悲鳴を上げて一瞬で倒れた。
「水に電気が流れて感電するってのは知っているよな。普通、純水なら電気は通さないが、うちは出来損ないの五組、当然、精密な魔力の調整ができず、水は不純物だらけだ。その中に弱い電気でも通せば一瞬で感電するってわけだ」
少年の死体は数秒経つと光に包まれて消えた。
「……っはあ! っはあ!」
先ほどの少年がベッドで目を覚ます。
「おや、もうここに来たのかい」
部屋に八つのベッドが用意され、その空いているベッドに座っている紫髪の大人びた女性が少年に気づく。
「先生、ここは……?」
「ん、わからないのか? 君は戦いに敗れてここに転送されたんだ」
「ま、負けた……僕が……?」
少年が自分の両手を広げて見つめる。未だに自分が負けたことが信じられないらしい。
少年がぼーっとしていると、隣のベッドにまた誰か転送される。それは同じパーティーの女子生徒だった。どうやら、彼女も負けたらしい。
「嘘……あんな方法で来られるなんて……」
「どんな方法で負けたんだ?」
「あら、あなたも負けたのね。こっちは歩いていたらいきなり四人で総攻撃されて負けたわよ」
「俺も同じことされたよ、まあ、俺の場合は三人だったけどな。……あとは、リーダーと先生だけどうまくやれてるかな」
「でも、ホントにいい加減な戦略立てたわね。一人で行動することを見越して私たちは四人全員で行動するなんて」
「どんな戦略でも勝てば勝利だ。それに、スケイルたちなら一人でも俺たちを倒せるのはわかっているだろう。それなら、あえてこちらの数を少なくして、相手を油断させる。その隙を逃さず、全員でかかれば勝てるってわけだ」
『あ、また我のセリフパクったな!』
「アイフィ、許して……」
小声で言って、俺たち四人は森の中を歩く。そして、今度は金髪の少年が前に現れる。
「おや、クダリ、それにパーティーのみんなまで一緒とは驚きだな」




