第13話『決戦の日-2』
そして、五十分の授業時間と十分の休み時間を四時間目まで受け、一時間の昼休み、昼からは五時間目から六時間目まで受け、待ちに待った放課後、三時になる。
ラボがある建物の隣にある円形の建物、模擬戦場に走る。ドアのない入口を通り、中に入ったところにはすでにクダリ以外のラボのみんなが話し合ってクダリを待っている。そして、足音に気づいたカイナが声をかける。
「あ、クダリ、やっと来たわね」
「ごめんごめん、スケイルたちは?」
「まだ、来ていないわ」
どんなに嫌なやつだとしても挨拶くらいはしておこうとクダリたちはここでスケイルたちを待つ。
「――やあ、クダリ」
自分の背丈を超える豪華な金の杖を持ったスケイルが入口を通る。隣には本を持った桃色髪の女子生徒と、片手で持つ小さな杖と盾を背負った眼鏡の男子生徒がいる。そして、後ろについている一回り体格の大きいサングラスをかけた厳つい男は先生だろうか。
「今日はすぐ負けないよう頑張ってくれたまえよ。はっはっはっ」
スケイルはクダリの腰に掛けた剣と銃を気にもせず、嫌味を言って受付を通りドアの向こうに行った。
「……やっぱり、なんかムカつく」
リュウカは奥へ進むスケイルを睨んで呟く。
「まあ、いつものことだからな。さて、俺たちも行くか」
一階は受付になって天井が低く、狭苦しく感じるかもしれないが、模擬戦に参加する者だけが通れる受付の奥にあるドアの向こうには辺り一面砂の試合会場が広がっている。二階の観客席はどの席も埋まっており、話し声で会場が包まれている。まるでコロシアムのようだ。俺のパーティーとスケイルのパーティーはお互い試合会場の端に寄って相手を見つめる。
「さあ、お互いのパーティーが集まりましたのでこれより試合を開始します! 実況は私、マイズがお送りします!」
元気のある男の声が会場に響く。マイズの声を確認すると砂の試合会場が光に包まれる。光が晴れているころには先ほどまでの砂の景色は跡形もなくなっていた。目の前に映った景色は木々の生い茂るジャングルだ。もちろん、遠くに見えたスケイルたちの姿は見えない。
「両社準備はよろしいでしょうか。……それでは、試合開始!」
「みんな、集まってくれ」
試合開始の声とともにクダリたちは円の形に集まる。
「どうしたの、クダリ。行かないの?」
「いや、無闇に突っ込むのは危険だ。ここは戦略を立てよう」
「戦略? 戦略なんているのか? 魔法の強さが勝敗を決めるんだろ?」
「まあ、二人とも。ここはクダリの話を聞きましょう」
戦略のことなど頭になく、先に行こうとするサリィとリュウカをカイナが止める。
実のところを言うとまだ戦略という戦略は立てられていない
『大丈夫だ、マスター。マスターならみんなを勝利に導く最高の戦略を考え出せる』
アイフィに応援されるが、いけるのか。スケイルとは個人で戦ったことはあったにしても、パーティーで戦うことは初めてだ。そんな初めての相手の初手を読むなど、不可能に等しいことだ。それを俺がやらなければならない。どうする、この広大な森林でははぐれてしまえば、合流することはできない。相手の実力を考えれば一人の生徒に対してこちらは二人の生徒を出さなければ勝てない。さらに、俺は魔法の使えない足手まといでこの一人分にも加担できない。相手が二人と二人で行動していたらほぼ負けに近い。ならば、相手が一人で行動していることに賭けてこちらは二人で行動するか。
「じゃあ、こちらは二・二にわけよう。成功するかはわからないが、確率的には……」
『マスター、戦略は確率で決めてはいけない。それは、戦略を立てていないと同じことだ。確率ではなく、確実に勝利へと導くのが戦略だ!』
アイフィの熱意のある声に言われて目が覚める。確かに、成功するかもわからない確率の戦略で大切な友を行かせるなど気が狂っていたのかもしれない。
「……クダリ、どうしたの?」
サリィが途中で黙った俺を不審に思う。
「いや、大丈夫だ。それより、さっきの戦略、訂正させてくれ」
先ほども言ったが、初手を読むのは不可能、どうすればいい。
「なあ、クダリ、戦略なんていいじゃん。突っ込もうよ」
再び、リュウカがそんなことを言う。
「何を言って……あっ!」
そうか。見つかったぞ、スケイルの初手が!




