第10話『渡し物-3』
外ではアリの行列になっているほど人気な食堂。店内の真ん中のテーブルに座る三人の少女が昼食を取っていた。
「ここの食事美味しいです!」
「うん、あたしもこんなおいしい食事初めて食べたよ!」
「一番人気の食堂だからね。予約しておいて正解だったわ」
中はどの席も埋まっており、誰かが店を出る度、別の人が来て埋まるほどの人気だ。
「クダリも来ればよかったのに……」
リュウカはスープをスプーンですくって呟く。
「カイナ、クダリは来ないの?」
サリィがオムライスをスプーンですくって言う。
「そうね……今頃、ベンチにでも座ってるんじゃないかしら……」
食事を終え、汚れていないきれいな皿の前でカイナは頬杖をついて窓を見る。
「はっくしゅん!」
「マスター、風邪か?」
クダリとアイフィは人影が全くない噴水前のベンチに座ってホットドッグを片手に食事をしていた。アイフィは齧りかけのホットドッグを持って顔を覗き込む。
「いや、風邪ではないんだけど、なんか……」
「大丈夫か、我が温めようか?」
アイフィはクダリを見上げ、体が密着するくらいまで距離を詰めてくる。ついには体が密着し、アイフィの体温が伝わってくる。
「……い、いや、大丈夫だから」
ホットドッグを持っていない左手でアイフィの肩を押す。
「むぅ、つれないぞ……」
「絶対、風邪以前にくっつこうとしてただろ」
「当たり前だ!」
ドヤ顔で言ってくる辺り、女神とは一体何なんだろうと思ってしまう。
「マスター、明日は勝てるのか?」
「明日、か。勝てる、かな……」
ラボのみんなの実力を疑うわけではないが、スケイルのパーティーは実力が優秀な者しか入れてないため、実力差がありすぎるのだ。とてもじゃないが、簡単に勝てるとは言いきれない。
「ラボのみんながついてるし、我もついてる。我に任せておけっ!」
アイフィは自分の胸を叩いて任せろのポーズで答える。
「あ、ホントにここにいたわね」
食堂の方向からカイナとサリィ、リュウカの三人が走ってくる。
「みんな……」
「明日、勝てそうなの、クダリ?」
「まあ、あたしたちがついてるし楽勝だろ!」
自分の心配より他人の心配をするサリィ、明日の模擬戦に動じる様子もないリュウカ。もしかしたら、本当に勝てるかもしれないな……。
「よし、明日、勝ちに行くぞっ!」
拳を上に掲げ、勝利を誓い合う。




