第八話 11
優菜は、今日は半休を取り、ある場所に向かっていた。商店街の空き店舗に新しく入った山本拓朗の弁護士事務所だった。商店街の中だから、途中、知った人に何度も声を掛けられ、優菜はその度に何度も挨拶する羽目になり、約束の時間ギリギリに到着すると、急いでドアを開けた。すると、それに気付いた山本拓朗が「いらっしゃい、待ってたよ」と笑顔で優菜を迎えた。山本拓朗は、優菜をソファーに座るように勧めると「それで、折り入って話があるって、何の話?」と切り出した。
「弁護士事務所が、請け負ってくれることじゃないとは思うんだけど、相談できるところがなくて……」
優菜がそう答えると、山本拓朗は一瞬顔をしかめたが、「まぁ、とにかく話してみなよ」と言った。
「人を捜して欲しいの」
「えっ、人捜しをするの?」
「ええ」
「それは、ちょっと困ったな……」
「やっぱり……」
「うん……、あ、でも、アイツに頼めばいいか」
「アイツって?」
「いや、うちの事務所の案件で困ったことがあった時に、調査の手伝いを頼んでる探偵事務所があるんだよ。そこの探偵事務所に、いつも無理をきいてくれてる矢沢って男がいるんだ」
「そうなの」
「うん」
「じゃあ、その矢沢さんて人にお願いしてもらっていい?」
「うん、いいよ。俺から連絡しておくよ。その前に、詳しい話を聞かせてもらえるかな?」
「あ、うん」
優菜は、そう返事をすると、山本拓朗に話をし始めた。




