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トワイライト 第三版  作者: 早瀬 薫
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第八話 8

 数日後、僕は、祐樹のカフェのカウンターに、祐樹を前にして座っていた。しかし、何をどう切り出していいのか分からず、ただ黙ってしかめっ面をして座っていた。

「あのさ、亮ちゃん、もう分かってるから、何も喋らなくていいよ」

 沈黙に堪りかねた祐樹が僕の顔を見ながら言った。

「え?」

「人を好きになるって、どういうことなんだろうね? 人を好きになるのは理屈じゃない。ある日突然、ストンと落ちるんだ。子供の頃さ、砂場で四人で大喧嘩して、僕は三人と違って呆気に取られて傍で見てただけだけど、あの日から僕は優菜が好きになったんだと思う。あんなにか細い女の子だったのに、優菜って正義感の塊のようだった。優菜はカッコ良かった。勿論、自分が守られてぽーっとしたところもあったと思うよ。でもね、僕は、優菜だけじゃなく亮ちゃんも好きになったんだよ。変な意味じゃなく、友達としてね。だから、仲良くなりたくてずっと亮ちゃんの後を追いかけてた。勿論、亮ちゃんに対して、ムカつくことだって今までいっぱいあったし、これからもおそらくムカつき続けるとは思うけど、亮ちゃんのことを嫌いになることなんかないと思う。だから、僕のことは気にしなくていい。全部知ってるんだ、美帆から聞いたから」

「祐樹、お前……」

「二人のことは僕も祝福するよ」

「祐樹がダメだと言えば、諦めようと思ってた」

「なんでっ!? なんでそんなことをするのっ!? 僕は優菜の相手が亮ちゃんで良かったと心から思ってるよ! それに僕にダメだと言われたくらいで諦めるなんて、優菜に対する亮ちゃんの想いはその程度のものなの?」

「……」

「そんなの、優菜に失礼だよ!」

「そうだな……祐樹の言うとおりだな」

「せっかく両想いなのに、わざわざ壊す必要なんてない。僕に二人の仲を壊す権利もない。だから、遠慮なんてしなくていいんだよ」

「祐樹、……ありがとう」

 僕は祐樹に心から感謝していた。

 そして、一ヶ月後の三十歳の秋、僕は優菜と電撃的に結婚したのだった。


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