第八話 3
みんなで作業しながらそんな話をした後、出来上がったジュエリーを取引先へ届けるために、僕は車を運転していた。バイクで事故を起こしてから、バイクではなく専ら車で商品を配達していたが、それでも事故を起こした交差点に差し掛かると心拍数が上がる。ドキドキしながら交差点を通過した後、またもや前方に白いワンボックスカーがいるのを発見した。どうしてだか、僕は白いワンボックスカーを見ると追いかけたくなってしまう。子供の頃から、ずっとそうだ。教室の窓からぼんやり外を眺めていて、学校の外の道路を白いワンボックスカーが通ったのを発見すると、その途端、条件反射のように教室を抜け出し、白いワンボックスカーを追いかけて外を走っていた。相手は車なんだから、到底追いつけるはずがなく、途中で自分が何のために外を走っているのか訳が分からなくなっていた。実は、自分が追いかけているのは白いワンボックスカーであるということに最初から気付いていたのではなく、そのことに気付いたのは、随分後になってからのことだった。おそらく、高校を卒業してからだと思う。いや、本当はもっと後で、はっきりと自覚したのは、芳子に最初に催眠療法を施してもらった時かもしれない。
『亮ちゃん、あの白いワンボックスカーは、亮ちゃんが捜してるワンボックスカーじゃないと思う。亮ちゃんが探してるのは、本当は白いワンボックスカーじゃなくて、別の物だと私は知ってる』
優菜は、この間、僕が無意識に白いワンボックスカーを追おうとした時、こう言って僕を止めた。きっと、優菜は正しい。優菜のその言葉を思い出し、僕は、目の前を走る白いワンボックスカーを追うのを止めた。




