第七話 6
アジトを出て商店街を歩いていると、福田の親父のコロッケ屋からいい匂いが漂って来たので、僕は吸い寄せられるように店に近付き、ショーケースの上のコロッケを手で掴むといきなりムシャムシャと食べ始めた。やっぱり、この店のコロッケは美味いなと思いながら店頭に突っ立って食べていると、福田の親父は僕に気付き「こらーっ! またお前かっ!」と大声で叫んだ。しかし、子供の頃のように、飛び出てきて捕まえるようなことはせず、そのまま笑顔で店の中で作業している。
「おっちゃん、このコロッケ、相変わらず美味いな」
「当たりめぇだ。俺が丹精込めて作ってるからな」
「でも、最近は、コロッケだけじゃなくて色んなもんを売ってるんだな」
僕は店の中を見まわしながら、鶏の唐揚げやハンバーグや色んな種類のサラダを見ながら、福田の親父に話し掛けた。
「コロッケだけじゃおかずにならないからな。こっちも商売だから、一緒に買ってくれそうなもんを作ってるんだよ」
「そうか……、おっちゃんも大変だな」
「まぁな。空き店舗が増えたから、ますます人通りが減って大変だよ」
「あ、でも、今度、百円均一の八百屋が出来るから良かったじゃん」
「おお、そうよ! 坂元だろ? アイツもガキの頃はお前と一緒で悪かったなぁ。何回コロッケを盗まれたことか」
「そうだったんだ!」
福田の親父のぼやきを聞いて笑い転げていたら、「お前ほどじゃなかったけどな」と返された。
「でも、八百屋で食材が買えるようになって良かったじゃん」
「そうなんだよ。安く卸してくれるみたいだしな」
「そうか良かったな。それはそうと、さっき、本郷のおっちゃんとも話してたんだが、商店街全体で、百円の商品をどの店にも置くのはどうかってなってたんだよ。だから、百円の商品を作ってくれよな」
「今、お前が食ってるコロッケが百円だよ!」
「そうか、そうだったな! おっちゃんは偉いな!」
「あたぼうよ!」




