第七話 2
それから一日経って月曜の朝になり、僕は定期的に通っている病院の診察室の椅子に座っていた。病院の先生からは、「非常に順調ですね」と笑顔で言われた。
「しかし、野崎さんは生命力が強いというか、こんなに早く順調に回復するとは、正直私も思いませんでしたよ」
「そうですか」
「ええ」
「先生、俺、正真正銘の馬鹿野郎なんだと思うんですけど、あの処方されてる薬、免疫抑制剤だったんですね。俺、事故の時にあちこち怪我してるから、背中の傷もてっきりその時に出来たものだと思ってて、腎臓移植したと思ってなかったんです」
「奥さんは何も言われなかったんですか?」
「はい」
「そうだったんですか」
「アイツ、なんでだか、肝心なことを口にしない性格をしてるみたいで……」
「多分、奥ゆかしい人なんですよ。私にはとても立派で優しい方に見えましたよ」
「いやいやと言うべきところなんでしょうけど、そこは俺も同意します。俺にはもったいない人だと思います」
「ご夫婦が支え合って仲が良いというのは、良いことじゃないですか」
「そうですね……。とにかく、俺はアイツには頭が上がらないです」
「それでいいんじゃないですか」
そう担当医は言い、満面の笑みになった。




