第六話 6
コンサートが終わった後、僕は優菜と優菜の友達二人の四人で、ファミレスでお茶していた。
「最初、どうなるかと思ったけど、無事終わって良かったね」
優菜がそう言うと、僕も他の二人も頷いた。
「でも、祐樹さん、カッコよかったぁ。変身する前もイケメンだったけど、変身してからもイケメンだよね」
「そうだねぇ。ほんと、歌も良かった!」
優菜の友達二人がそう話しているのを僕は黙って聞いていたのだが、やっぱり、僕はなんだかこの二人の会話に違和感を感じたまま二人と別れたのだった。帰る方向が同じだから、当然、僕は優菜と二人で電車に乗って自宅へ帰っていたのだが、僕と優菜は電車の中では黙ったままだった。しかし、地元の駅へ着いて、歩いて帰っていた時、僕は思わず優菜に訊ねていた。
「あの二人は、合コンで祐樹のことが気に入ったんだよな?」
「うん、そうだよ」
「ふーん。それって、変身した後の祐樹じゃなくて、変身する前の祐樹が気に入ったってことだよな?」
「うん」
「だったら、どうしてあの時、祐樹は不機嫌だったんだろう?」
「あの時って?」
「合コンの翌日にロッカーに豹変したって言っただろ? あん時だよ」
僕がそう言ったのに、優菜は急に黙り込んでしまった。優菜がずっと黙っているので、僕は「合コンの後、何かあったのか?」と言ったら、優菜は黙ったままで、僕をギロッと睨み付け、「さよなら!」と言って、自宅のドアを開けるとバタンと閉めて中に入ってしまった。僕がその質問をした時、ちょうど自宅へ到着したのだった。全く、優菜も祐樹も訳が分からない。
翌日、工房で仕事を終えると、祐樹もちょうど大学から帰ってきて、祐樹は「昨日、来てくれてありがとう! あの後、後片付けがあったから、お礼も言えてなくてごめん」と言った。
「いやー、お前、よくやったなぁ。凄い良かったよ! 最初はどうなるかと思ったけど」
僕がそう言うと、祐樹は照れながらも笑顔だった。
「優菜も冷や冷やしてたぜ」
「え……優菜も来てたの?」
「うん、友達二人と来てた。あの友達、二人ともお前のファンなんだとさ。合コンの時に知り合ったって言ってたけど」
「そうなんだ……」
「なんだ、お前、知らなかったのか?」
「うん……」
「てっきりお前が、優菜にチケットを売りつけたんだと思ってたのに」
「そんなことするわけないじゃんっ! 来てもらうつもりなら、ただでチケットをあげるよ!」
「俺には売りつけたのにっ!? お前、ひでぇヤツだなぁ」
「当たり前だろっ! 男は金を払って当たり前!」
「そっか」
「うん」
「でも、やっぱ、お前ら二人、なんかおかしいだろ? なんか隠してるだろ? なんで優菜はお前に黙ってコンサートに行ったんだよ? 絶対何かあったんだろ? 隠してないで言ってみろ!」
祐樹は僕の執拗な質問を最初は無視し続けていたのだが、僕があんまりしつこくするので、お終いには、僕を睨み付けてしかも大声で言い放った。
「フラれたんだよっ!」
僕は訳が分からず、ただ茫然と口を開けて、祐樹の顔を見ていた。
「優菜にフラれたんだっ!」
「え? 誰が?」
「僕に決まってるじゃないか!」
「ええーーーーーっっっっっ!!!!!」
気付けば、僕は祐樹の顔を見てそう叫んでいた。そして、僕は混乱したまま、急に場面が変わり、少し時間が経った後に意識が飛んだ。




