第五話 2
僕は、優菜の取引先である結婚式場の前で優菜を車から降ろし、それから、宝石店へ商品を届けた後、運転する車の中で、一人物思いに耽っていた。
商店街への地上げ屋の嫌がらせは、今後どんどん酷くなっていくに違いない。しかし、一体どうすればいいというのだ? 僕は、車を停車し、角田圭吾に電話をしてアジトの場所を訊ね、アジトへ向かった。アジトは、商店街の中にあった。数年前に閉じられたまま放置されている元ラーメン屋の二階だった。
角田の話によると、角田の父親は、かつて太蔵爺ちゃんが所属していた大川組に所属していて、太蔵爺ちゃんが現役ヤクザだった頃の抗争に巻き込まれて亡くなったらしい。それがきっかけで、太蔵爺ちゃんは、角田が子供の頃から何かと目をかけてくれたらしい。しかし、それがきっかけで僕と付き合うようになったわけではなく、角田が中学生の頃、ハングレ集団に絡まれてボコられているのをたまたま通りかかった僕が助けたからだそうである。
「俺、地上げ屋に侵入してみようと思うんですよ」
「えっ?」
「表向きは、不動産ディベロッパーの看板を掲げてるわけで、普通の会社です。それに、この間、求人広告を出してたし……」
「はぁ? お前、そんなことしたら生きて帰って来られないぞ」
「大丈夫ですよ。スパイするだけですから。あっちのやろうとしていることが事前に分かれば、商店街の人も助かるでしょ?」
「そりゃそうだと思うが……」
「俺の面は割れてないから平気ですよ。亮さんはダメですけどね。子供の頃から愛川の天敵だったんだし」
「でも、お前、気を付けろよ。絶対殺されるなよ」
「殺されそうになったら、亮さんに電話しますから」
「おお、そうしろ」
そんな会話をして角田と別れた。




