第四話 8
僕は、前回同様、四角い白い部屋の真ん中に座っている。目の前にはこの前と同じ老婆が座っている。そして、横を向くと、四角い部屋の白い壁に、僕の誕生からついこの間までの映像が、物凄く速いスピードで映されていた。僕は、その映像を言葉もなく、ただ眺めていた。そして、その映像が終わると、老婆はこう言った。
「お前は、この映像を見てどう思うか?」
「え?」
「何か感じたか?」
「いや、何も……」
「何も感じぬのか?」
僕は黙って頷いた。
「だから、お前をここから先に通すことが出来ぬのじゃ!」
そう老婆は叫ぶと、この間と同じように「お前の成績は十点満点中、わずかに一点! お前は、何故こんなに成績が悪いのかも分かってはおるまい。何のために人間は生きているのか、よく考えなおせ。こんな成績では死なせるわけにはいかぬ。もう一度やり直して来い!」と言葉を続けた。そして、僕は、冷や汗をかきながら、ベッドからがばっと起き上がったのだった。
またもや、心配そうな芳子の顔が目の前にあった。
「大丈夫?」
「うん、大丈夫」
「それで、どう?」
「知りたかったことが分かった」
「そうなんだね」
「うん、ありがとう。また頼むよ」
「ええ、いつでもいいわよ」
そんな会話を芳子と交わして、僕はクリニックのドアを開けた。




