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トワイライト 第三版  作者: 早瀬 薫
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第四話 7

 そんな話を三人でして、ポートライナーに乗ってポートピアランドに行き、絶叫系アトラクションに三人で乗りまくっていたが、途中、祐樹が「もうっ、お願いだから勘弁してーっ!」と泣きながら走って逃げ、観覧車に一人で飛び乗ったのだった。僕が「乗るのが嫌なら嫌って最初から言えばいいのに、相変わらずのアホだな」と呟くと、隼人は笑い転げていたのだった。その後、祐樹のたっての願いで、北野町の異人館を見に行くことになった。そして、おしゃれなカフェを見つけて、祐樹はこれまたお洒落なデザートを頼んでご満悦だったが、僕があまりにも憮然とした顔をしていたのか、隼人は僕の顔を見てまた笑い転げていた。そして、また神戸お決まりの観光コース、南京中華街に向かった。神戸は港町だから、なんだか横浜と雰囲気が似ていて、中華街は横浜にもあるけどなとは思ったが、やっぱり中華料理は美味い。店に入って、テーブルで夕食を採ろうかとも思ったのだが、全員一致で店頭販売されている豚まんやトンポーロー饅やちまきや小籠包や桃まんやゴマ団子を買いあさり、歩きながら食いまくっていた。

 この時点で、午後六時くらいだったのだか、急に隼人が、「これから行くところがあるから、ここはこのくらいにしておこう」と提案した。僕と祐樹は、隼人の言うがままに電車に乗りバスに乗り、彼の後からくっ付いていったのだが、着いたところが六甲ケーブル下駅というケーブルカーの駅だったので、これからケーブルカーに乗って六甲山に登るのだなと思った。そして、三人でケーブルカーに乗った。ケーブルカーに乗って見えてきた夜景は、思い描いていた以上のスケールで、三人ともただ言葉もなく煌めく下界の景色を眺めていた。しかし、到着した六甲山の展望台で見る景色は、ケーブルカーの中で見たものより更にスケールが増し、空前絶後の光の世界が広がっていた。展望台にあった看板によると、大阪平野だけでなくその先の和歌山まで見えているらしい。一年前、祐樹と二人で見た横浜の夜景とは比べものにならないようなスケールのデカさだった。隼人は、僕たち二人が想像もできないような世界で暮らしているんだなと、ふとそんなことを僕は考えていた。三人で鉄柵に寄りかかり、ただ、無言でぽかっと口を開けて夜景を眺めていた。その静寂を破ったのは、祐樹だった。

「隼人って、絶対、変な力があると思う」

「なんだそれ? どういう意味だよ?」

「いや、ちょうど一年前、亮ちゃんと二人で夜景を見に行ったことがあってね、その時、隼人のいる神戸の夜景もこんな風に綺麗なのかなと話していたことがあったんだよ。そしたら、今日、相談もしてないのに、夜景を見に連れて来てくれたから」

「んー、でも六甲山の夜景って、全国的に有名だけどな」

「なんだー、そうなんだ」

「しかし、ここの夜景はスゲーな。こんなん見たら、一生忘れないぜ」

「まぁ、そうだろうね。俺も最初見た時びっくりした」

 一年前、僕と祐樹は一生横浜から出ることなど出来ないかもしれないと思っていたのに、二人で頑張って金を貯めて、たった一年で願望を成就できたことが頭を過ぎり、一人で感慨に浸っていた。いや、おそらく祐樹もそうだったろう。

「でも、残念だったね」

「何が?」

「優菜と美帆も一緒に来たいって言ってたんだよ。それなのに、急遽取りやめになったみたいで」

「そうだな、これは絶対見るべきだったな。お前、美帆と遠距離で付き合ってんだろ? 美帆はなんで取りやめたんだよ」

「それが、俺にも分からないんだ……。あんなに楽しみにしてたのに……」

「ふーん」

「しかし、遠距離で三年間も付き合ってるって、ソートーなもんだな。こっちにもカワイイ子はいっぱいいるだろうに」

「まぁね。いるにはいるけど、カワイイだけじゃね。なんか美帆とは気が合うんだよ」

「うわー、隼人君、ご馳走様」

「美帆のほうが隼人にゾッコンだと思ってたのに、もしかして、本当は逆ってパターン?」

「そうかもしれない。でも絶対美帆に言うなよ。言ったら殺す!」

「うわっ、こえー」

「隼人、本気なんだな」

「本気じゃないと、三年間も遠距離なんかやってらんねぇ」

 隼人はそう叫ぶと、腰に巻いていたポーチの中から、手紙を取り出して僕に言った。

「これ、さっき見掛けたポストに入れようと思ったんだけど、考えたら、お前に持って行ってもらったほうが早いかなと思うんだ」

 隼人に渡された手紙の受取人は美帆になっていた。

「そうだな。明日横浜に帰るし、美帆の家のポストに入れておいてやるよ」

「うん、頼む。絶対忘れるなよ」

「だったら、メールでいいじゃん」

「いや、この間、手紙貰ったし、手紙の返事は手紙でするっていうルールがあるんだよ」

「なんだそれ。ま、いいよ。今回世話になったし、そのくらいのことはさせて貰うよ」

 僕がそう隼人に答えた時、僕は記憶の中で我に返っていた。そして、思い出したいことは思い出せたから、早く目覚めなければと焦っていた。しかし、僕の意に反して、またもや変な映像が割り込んできた。

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