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トワイライト 第三版  作者: 早瀬 薫
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第三話 4

 それから、恙無く三日が過ぎ、週末の午後になった。今日はどうやら、僕の退院祝いのパーティーとやらを祐樹のカフェで開催してくれるらしい。今朝、優菜に「亮ちゃんは祐樹君ちに先に行ってて。私は美帆と買い出しに行かなくちゃいけないから」と厄介者払いされるかのように家を追い出された。仕方がないので祐樹の家に先に向かったが、ここでも祐樹と祐樹の母と芳子に厄介者扱いされたので、工房に籠って祐樹の父と二人で仕事をしていた。渉さんは、今日は光を背負って面倒をみている。


 そのうち、ドタバタと優菜と車椅子の美帆が大量の食料品を抱えてやって来ると、みんなでパーティー用の料理を作り始め、台所はてんやわんやになっていた。のんちゃんも見よう見まねで台所でみんなを手伝っていた。僕は、仕事の休憩を兼ねて、台所のすぐ横のトメ婆ちゃんの居間で、トメ婆ちゃんと一緒に縁側に座って、特に話をするでもなく二人で眠りこけていた。


 すると、のんちゃんがやって来て、一緒に僕に動物図鑑を見ようとせがんだ。縁側でウトウト居眠りをこいているトメ婆ちゃんを横目に、のんちゃんは、動物図鑑の鳥類のページを開き、「この子の名前はウグイスでこの子はメジロ。この子はスズメで、この子はジュウシマツ。じゃあ、この子の名前はなーんだ?」と僕に質問してきたので、僕は「ハト!」と、のんちゃんが指差した真っ白な鳩を見て元気良く答えた。すると、のんちゃんは、驚いたことに「はずれー!」と叫んだ。

 はぁ? どう見たって鳩だけどなと思いながら、もう一度、よく図鑑を覗き込もうとしたら、のんちゃんは「亮ちゃん、この子の名前はね、祐君ていうんだよ」と言った。

「?」

 そして、のんちゃんはページを捲り、今度は蝙蝠を指差した。

「じゃあ、この子の名前は?」

「コウモリ」

「違うよ! 哲也だよ!」

「おい! 動物に人間の名前をつけてるのかよ」

「だって、そっくりなんだよ。祐君と哲也に」


 まったく、最近の幼児は訳が分からんと思いながら、眉間に皺を寄せていると、料理作りも一段落したのか、優菜が三色団子を二本持って台所からやって来て、一本はのんちゃんに渡し、もう一本はトメ婆ちゃんのおやつカゴの中に投入した。その途端、トメ婆ちゃんの目はぱっちり開き、「テレビ局の仕事は断るな!」と、また訳の分からないことを叫んだ。それを聞いた優菜も僕もただ口をあんぐり開けて、三色団子に食らいついているトメ婆ちゃんを見つめていた。


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