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AR  作者: 青柳藜
chapter Ten Anchor.
80/147

<Ⅳ>

「時間がないのでMIDORIをハッキングするのに必要な最低限の技術だけを教えます。速攻で行きますよ? ちゃんとついてきてくださいね?」

「う、うん!!」

 無理を言って貸してもらった研修室のような部屋の中。

 アネモネちゃんはそう私に確認を取って、授業を始めた。

「MIDORIのセキュリティ暗号の種類は、RSA暗号っていう種類の暗号です。実際にはそれをさらに複雑にしていますが、今はそれはいいでしょう、置いておきます」

「は、はぁ……」

 私は頭を全力で回して、その講義に食らいつく。

「このRSAと言うのは、素因数分解を応用した暗号で、例えばMIDORIの中枢のセキュリティなんかだと16進数で32768桁のRSA言語がもとになっていますから、この32768桁の数字を2から順番に割っていって、割り切れる数字を見つけ出すことで解読できます。簡単に言うとですけどね?」

 だんだん聞いてるうちに頭の中がぼんやりとし始めて、私は、なんとなく、そうなんだなぁ〜みたいな感じしかわかないようになってしまった。

 夜が遅いので結構眠たいのも、私の思考力を落としている原因だろう。

 そう思ていると、突然アネモネちゃんの赤い瞳が真っ黒のレンズに変わった。

「え!? アネモネちゃんどうしたの!?」

 私が大慌てで駆け寄ると、アネモネちゃんは目をゆっくりと閉じ、そしてゆっくりと開いた。

「……明香さん、もしかして、眠たいんですか?」

 私をあきれたような目で見ながら、アネモネちゃんはそう言った。

「……はい、実は少しだけ……」

 私は叱られた子供のように、下を向いて答える。とはいっても、身長が私のほうが圧倒的に高いので、見下ろすような感じになっていることには変わりはないが。

「……それじゃぁ、やっても仕方がないですね。明日、今日の分も頑張りましょうか」

 アネモネちゃんはそう言うと、私を置いてさっさと用意された寝室へ歩き始めた。

 私も、後ろについていく……と言うのも、用意されていた寝室は女性用、男性用の二部屋しかないため、寝る場所が同じなのだ。

「……そういえばアネモネちゃん、どうやって私が眠いってことをばらしたの?」

 廊下で歩きながらそう聞くと、アネモネちゃんは何でもない風に、こう答えた。

「だって、サーモスタットカメラで見たときに、明香さんの体の温度グラフが眠たい時の温度グラフと一致したので」

 その言葉で、私の眠気が驚きのせいで無くなったということは、あえて言わないようにした。

 アネモネちゃんもすごい眠そうだったので。



 ちなみに、アネモネちゃんは内部のバッテリーがなくなりかけると、意識を保てなくなるぐらい眠くなるらしい。

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