<Ⅰ>
「絶対、迎えに行くからな」
MIDORIがある建物へ向かう車の中、蛍は、アネモネちゃんの入ったメモリーディスクに向かってそうつぶやいた。
そばには、抜け殻となったアネモネちゃんの体が置かれている。
それを見ると、私は、改めてアネモネちゃんが人間ではないということを実感した。
「…………」
猫を撫でるようにやさしくメモリーディスクを撫でる蛍を、鈴木は横目に見ていた。
ちなみに、さっきから私の心臓は音を立ててなりっぱなしだ。これから始まろうとしている、いや、すでに始まっているこの作戦は、いくら電磁波を使った兵器があるから大丈夫とはいえ、けがをする確率は0ではない。それどころか、最悪死ぬ確率だって存在する。そんな状況で、緊張するなという方がおかしい。
緊張を紛らわそうにも、スギさん達は警視庁の建物の中に残っているし、周りにいる人は全員黒い防弾チョッキやヘルメットをかぶった怖い感じの男の人だけなので、緊張を紛らわすためにおしゃべりをする相手もいない。
私は、あまりこれからのことを考えないようにしながら、昨日アネモネちゃんに教わったことを思い出していた。




