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AR  作者: 青柳藜
chapter Nine Encounters of boys.
76/147

<ⅩⅡ>

現在に戻ります。

「……なつかしいねぇ。そんなこともあったなーって感じだね」

 カエデは僕の話にそう返してくれた。

「…ほんとに。もし蛍さんがいなかったらって考えると、ぞっとするね」

 僕がそう言うと、カエデは笑って返した。

 蛍さんは、僕らに『全て』を与えてくれた。

 居場所、職業、そして、名前を。

 僕ら二人の時は、別に名前は必要なかった。

 二人なら、「私」と「あなた」があれば十分なのだ。

 でも、人間は「群れる」。

 名前があることは、すなわち「仲間がいる」事だ。

 その仲間――家族を、あの人はくれたのだ。

「……今夜は星がきれいだな」

 僕はカエデに言う。

 星の明かりに照らされて、カエデの横顔がすごくきれいに思えた。

「…そうね」

「そう言えば、初めてじゃないか? こんな感じで二人で星を眺めるの」

 僕が言うと、カエデは確かに、と言って笑った。

 僕も、一緒になって笑った。

 世界が滅びかけていることなんて、忘れてしまうぐらい僕らは笑った。

「僕、まだ、意味のわからない言葉があるんだ」

 さんざん笑った後、僕らは仰向けに寝転がっていた。

「へぇ…。どんな?」

 カエデが聞く。

「以前、蛍さんが言ってたんだよ。『完全は厭だ』って」

「う〜ん、どういう意味だろうね? 何でもできたら、みんなのあこがれになれるし、女の子にももてるよ?」

「……その言葉、いじめ? 僕、蛍さんに『おまえは会話が下手だから交渉術を身につけろ』って言われた張本人なんだけど?」

「あはは。違うって」

 僕がわざと膨れると、カエデは笑って否定した。

「でも、本当にどういう意味なんだろうねぇ…」

「天才にしか分からない悩みなのかもな」

 僕らは星空の下、いつまでもおしゃべりを続けていた。

やっとC9終わりましたぁ~!!

次の章からは、いよいよ作戦が動き出す予定です。

お楽しみに!

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