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AR  作者: 青柳藜
chapter Nine Encounters of boys.
75/147

<ⅩⅠ>

 撃ったと同時に、僕は後ろへ倒れた。

 そして、男たち二人も、頭が消し飛び、体が力なく地面に横たわった。

 撃った弾は、すごい音を立てて、壁へめり込んでいた。

「……てめぇ!! よくもお頭を!」

 残った男が一人、叫び声をあげながら狂ったように彼女へ襲いかかる。

 でも、それもかなわなかった。

 男は上城蛍に足をすくわれ、持っていた自分の拳銃を彼に奪われた。

 上城蛍は男に馬乗りになると、奪い取った拳銃を相手の後頭部へ突き付け、問答無用で引き金を引いた。

 乾いた音が部屋に響き、空薬莢が地面に落ちる金属質な音がこだまする。

 蛍は男が動かなくなったのを確認すると、拳銃を置き、ゆっくりと立ち上がった。

 返り血を浴びた彼は、まるで悪魔の様だった。

「あっ…」

 彼女がはっとして、辺りを見渡す。

「ほら、早く檻を全部開けろ」

 上城蛍はそう言うと、その場にうずくまった。

 すすり泣きの声が聞こえる。

 僕は、何故かその姿を見てはいけないような気がして、慌てて眼を逸らした。

 無言で、鍵を壊していく。

 檻から出てきた少女たちは、わらわらと階段を上り、外へ出ていく。

 そして、ついにこの地下室に、僕と彼女、そして上城蛍の三人しかいなくなった時、上城蛍はこう言った。

「……約束、覚えてるか?」

 その時の彼は、僕らと同じ、子供のような雰囲気をまとっていた。

「…あぁ」

 もちろんだ。僕はこう見えて、結構もの覚えがいいのだ。

「じゃぁ、命令な」

 蛍は立ち上がりながらそう言うと、僕らを指差して、こう言った。

「おまえら、今日から俺の家族な」

 ……その言葉の意味が、はじめは分からなかった。

 僕や彼女のような、社会から邪魔者、商品としてしか見られないような僕らが、他人の家族になっていいものなのか。

 それに――。

 それに、この人は普通の人じゃない。多分、「天才」って奴だ。

 僕らとあまり年齢が変わらないように見える上城蛍の体からは、様々な雰囲気が漂う。

 ときには悪魔、時には大人、そして、今のような、子供のような雰囲気まで。

 そんな、社会に必要とされるような存在である人が、社会に邪険にされる僕らと一緒にいて――

「おまえらは、俺にとって必要なんだ。だから、家族になろうって言ってる」

 その言葉で、僕はまた、温かい液体が頬を伝わったのが解った。

 こんな僕でも、誰かに必要とされている。そんなこと、ただのおとぎ話だと思っていたけれど。

 実際にここにあるじゃないか。馬鹿なんじゃないのか? 僕は。いや、馬鹿か。

 僕は、無言でうなずいた。

 しゃべると、大声で泣いてしまいそうだったから。

 その様子を、上城蛍と彼女はただ見つめていた。

「よーし! じゃぁ、今日から俺のことは『蛍』って下の名前で呼ぶこと。ちなみにおまえは『スギ』でおまえは『カエデ』な?」

「な…!」

 僕らを指しながら、上――蛍は言う。

「それじゃ、今日からよろしくね? 『スギ』」

 『カエデ』が僕に手を出してくる。

「助けてくれて…ありがとう!!」

 僕が手を握り返すと、カエデは満面の笑みでそう告げた。

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