<Ⅷ>
上城は引き出しを開けると、中からデジタルカメラを取り出した。
「…こんな時に――」
「助けてほしいんなら黙って見てろ」
何遊んでんだよ、と続けようとしたところで、一瞬、上城蛍が鋭く睨んできたような気がして、僕はたじろいだ。
蛍はため息をつくと、デジカメからSDカードを引っこ抜き、PCに接続した。
素早くウィンドウがたち上がり、そのウィンドウを上城蛍は器用に操作していく。
彼が何かをいろいろと操作するうちに、新しいウィンドウがたちあがる。
それは、彼女の写真ファイルだった。
画面いっぱいに、彼女の全身像が映し出される。
「……捜す人物は、こいつでいいんだよな?」
上城蛍の言葉に、僕は無言でうなずく。
すると彼は、背もたれにのしかかり、天井を見つめつつ、こう呟いた。
「…人のために使うの、これが初めてだ」
言葉の意味は分からなかったが、でも、彼がここまで大人びたように思える理由が垣間見えた気がした。
蛍は再び画面に向き合うと、先ほどとは比べ物にならない速度で、PCを操作しだした。
キーボードを叩く音が、連続で聞こえる。
瞬くままにウィンドウが開いたり、閉じたりしていく様は、何も知らない僕にもすごいことだということは分かった。
「見つけた」
十分後、上城蛍はそう言った。
「見つけたって、彼女をか? どこだ?」
「ここだ」
そう言って蛍が指差したのは、ここから約200km離れた場所だった。
「ここには売春街がある。恐らく彼女をさらった奴らはここへ売り飛ばす気なんだろう」
僕は、自分の顔が青ざめていくのが解った。
少しずつ体が震え始め、頭の中が真っ白になっていくような気がした。
「こいつを持て」
急に上城蛍が僕に声をかけたかと思うと、何か黒い塊を投げてきた。
銃だった。
「レールガンだ。合法銃だから、別に見られても問題ない。でも、殺傷能力は普通の銃とは比べ物にならないから、最悪まで撃つなよ?」
僕は、手にずっしりとしたそれの重さを感じつつ、上城蛍の言葉を聞いた。
「そんじゃ、行くか」
上城蛍は自分も同じものを持ってそう言うと、立ち上がって部屋のドアを開けた。
「覚悟しとけよ?」




