<Ⅶ>
目を覚ますと、僕は小さなベッドの上で横になっていた。
近くでは、上城蛍がコンピューターをいじっていた。
「目が覚めたか? 安心しろ。店員になら札束を握らせといたから、多分このことは内密にすむだろう」
彼は、コンピューターから目を背けることなく、そう言った。
僕はベッドから飛び起きると、上城蛍の肩をつかんでこちらへ振り向かせた。
でも彼は器用な事に、キーボードをたたくことだけはやめなかった。
「頼む。助けてくれ。彼女が…いなくなった」
その言葉を聞いた瞬間、彼の手がとまった。
今まで鳴り響いていたキーボードのタイプ音が消え、狭い部屋を静寂が包みこんだ。
数秒たってから、上城は口を開いた。
「……要するに、あいつを捜せばいいんだな?」
僕は機微を縦に振った。
話が早くて助かる。
「………………………」
上城は、浮かない顔をしていた。
「おまえなら、何とかできるんじゃないのか? 頼む、おまえしか頼れる人がいないんだ…!」
僕は上城の小さい肩に顔を沈めた。
頬を熱い液体が伝わるのが解る。
「……なんでも」
「…はぁ?」
もごもごとしゃべられ、上手く聞き取れない。
「……何でも一つだけ、いうことを聞くというなら、協力する」
…なんだ。こんな時にそんな駆け引きすんなよ。解答は一つしかないじゃねぇか。
「分かったよ。だから早く、頼む!」
僕がそう言うと、上城蛍は、小さく頷いた。




