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<Ⅱ>
ここから過去の話になります。
視点はスギです。
僕が初めて蛍さんと会ったのは、首都郊外の古びたネットカフェだった。
僕が蛍さんと出会う前、僕は盗みをやって、橋の下でカエデと共に暮らしていた。
あの日、僕はそのネットカフェに押し入り、カウンターの現金を盗み出す算段だった。
「金を出せ」
僕が職員に冷淡にそう言うと、職員はおびえ上がり、がさごそと金をレジから取り出した。
僕はそれを職員の手からもぎ取ると、全速力で走っていった。
…でも、入口に不意に現れた人影に、僕はぶつかってしまった。
ぶつかった衝撃で、握りしめていた金を周囲にばらまいてしまう。
「……っ!」
慌てて広い集めようとするも、後ろから職員が追いかけてくる足音が聞こえ、僕は立ち上がり、全速力で逃走した。
その時、僕はその人影の顔を、しっかりと暗記した。
今度会ったら根こそぎもぎ取ってやる、そう心の中で呟きつつ、僕は現場を後にした。




