<ⅩⅢ>
元に戻ってきました。
「……はぁ」
こんなこと、久々に思いだした、俺はそう思いつつ体を起こした。
思い出している途中、俺は地面に寝っ転がって星を眺めていた。
自分のいた家とおさらばしてから、俺はネットカフェを転々としていた。名前は結構売れていたから、仕事自体はどうにかなったのが、せめてもの救いだった。
俺は起き上がると、本部の建物へ足を向けた。
明日は思いっきり遊ぼう。特に、アネモネと。
「なぁにしてるんですかぁ? こんなところで」
後ろから、いきなりそんな声がかかる。
「……スギ、さすがに今のは驚いたぞ? そんな陰に隠れてたら分からんだろ?」
俺が振り向きつつそういうと、スギは、はは、すみません、と言って瓦礫の陰から出てきた。
今のこいつは、俺と出会ったときとずいぶん変わったように思う。
昔は、目線だけで人を殺せるのではないか、というほどの鋭い眼だったのに、今は、とても優しい目をしていた。
「……もしかして、怒ってます? そんなに怖かったですかね?」
「違うよ。ただ、な?」
スギが苦笑いしながら言った言葉に俺は笑いながらそう返す。
「ありゃりゃ、読み違えちゃいましたか。交渉術をもっと上げないとなぁ……」
スギは、そう言って頭をかいた。
「まぁ、その前に明後日の仕事をやり遂げないと、何ともなんねぇだろ? 明日は思いっきり遊ぼうぜ?」
俺がそう言うと、スギは、そうですね、と笑って返した。
「そんじゃぁ、俺はもう戻るけど、おまえはどうする? 外にいる?」
「はい、もう少し外にいますよ。普段絶対に見れない星空ですからね。……なんならみんな呼んできますか?」
「いや、明日にしよう。俺もう寝たい」
そうですか、分かりました。そう言って、スギは瓦礫の上に腰を掛けた。
そんなスギの様子を見届けてから、俺は本部の中へ入った。
これでこの章は終わりです。




