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AR  作者: 青柳藜
chapter One Before the beginning.
6/147

<Ⅳ>

※段落に関する部分を修正しました。

「……おつかれ」

 職員室での尋問を何とかくぐりぬけた私を、結衣はやれやれという感じの顔でむかえてくれた。

「ほんとに疲れたよ。まさか放課後に呼び出されて一時間ぐらい怒られた揚句、最終下校時刻ギリギリまで残されて宿題をやらされるんだよ? 酷いと思わない?」

「……いや、宿題忘れたんだからしょうがないと思うけど…」

「夢の中ではちゃんとやったんですよって言っても怒られるだけだし」

「それは私でも怒るよ……」

「そういえば、部長に今日休むって連絡してなかったなぁ。今度会ったら怒られそう」

 結衣にまで説教食らうのは勘弁してほしいので、私は急に私達が所属している部活――陸上部について話題を逸らした。

「あぁ、それならやっといたよ。明香は宿題忘れて柏原先生に怒られてるので、今日は練習に来ませんって」

「……それ、部長にあきれられたような気がするんだけど?」

「そう?部長は普通にため息ついてから、大会が来週あるから、その時には宿題ちゃんとやって大会出れるようにしといてねって言ってただけだけど? 明香、走るのだけは速くてよかったねってさ」

「うん。やっぱりあきれられてるね」

 今度会ったらちゃんと謝っておこう。…ってあれ?

「今度どこの大会だっけ」

「忘れた」

 おい優等生。

「おいおい、我が陸上部一かつ学校一の成績を誇る結衣様がそんなことを忘れてはいけませぬぞぉ」

 ちょっとバカにした感じで言ってみる。

「もう、私だって、成績は学校一でも全てを知ってるわけじゃないの。知らないことや忘れることだってあります」

 あれ? 真に受けちゃった? 何か怒り始めたんだけど?

「ごめんごめん。冗談だって。それより帰ろ、結衣」

「もぅ、からかわないでよね」

 私達の家の間は自転車で二〇分ぐらいの距離しか離れていないので、通学経路はほとんど同じだ。よって、いつも一緒に帰っている。

 地下鉄の改札を抜け、比較的すいている号車へと足を運ぶ。

「そういえば」

 電車に乗って二人で座席に座ったところで、唐突に結衣が言った。

「なに?」

「明香さぁ、『WMe』のこと教えてほしいんじゃないの?」

「あ、そうだったそうだった」

 今朝、先生に注意されて、そのあとの休み時間も他の教科の宿題やってたおかげで話してもらってなかったけど、今になって思いだした。

「それで、どんな感じなの?」

「えっとねぇ……」

 そのあと、結衣はいろいろ難しいことを話し始めたが、それをまとめると次のようになる。


 ・そもそもWMeは、完全なAR世界で、プレイヤーが武器を持って闘ったり、集めたアイテムを売買してお金を稼いだりすることができ、そのお金は現実世界のお金に換金することで使うことができる。

 ・ただし、武器は、実際には存在しないため、生物を殺傷することはできない。しかし、神経に直接介入して、重さを感じるようにしているため、本物のように扱うことができる。

 ・さらに、ゲームをプレイするのに使うのが、先ほどのARGCに加え、専用の手袋と靴だけなので、いつでも簡単に始められるようにできている。

 ・WMeを動かすメインサーバーは、現在世界各国の行政のほとんどをたった一機で担っているAI、「MIDORI」の一部を借りて動いていて、それとオンラインでつながることによっていろいろなアイテムを生成したり、プレイヤーがイベントバトルに参加したりできる。

 ・オンラインでつながっているので、ゲーム内で電話やメールをすることも可能。

 ・セキュルティー関連も、MIDORIのスーパーコンピュータを使っても破れないという世界一のセキュルティーのため、個人情報が流出することはまずありえない。


 ほかにも、装着する方の機械の仕組みなどを、延々と語り続けていたのだが、途中からお経を聞いているような気分になってしまい、気がついたら私は寝てしまっていた。

「おーい明香。起きろー」

 駅に着いたのだろう。寝ていた私をを結衣が親切に起こしてくれる。

「……おはよ」

「おはよじゃなくて、駅着くよ」

「はいはい」

 地下鉄一本で学校へ行けるとは…うん。便利。

 電車から降りると、私達は改札をでて、近くの図書館によった。結衣いわく、情報は図書館で手に入れるのが一番なんだとか。いまどき図書館なんてよっぽどの物好きか、お年寄りぐらいしか使わない。みんな電子書籍を使うからだ。……私にとっては縁のない話だが。

「……何それ?」

 結衣が手に取っているのは、辞書のように分厚い英語の本だ。「Machine」という単語が見えたから、多分機械工学の本だと思うんだけど…

「これ?これはアメリカのAIの研究論文を全部纏めて、子供向けに分かりやすくした本だけど?」

「……結衣、ほんとに意味分かるの?」

 何だか細かい文字がたくさん並んでいて、読みづらい。

「あたりまえよ。こんな本、大した単語も文法も使われてないじゃない」

「…これが?こんなに難しそうなのに?」

「じゃあ試しに読んでみなよ」

 そう言って渡してくるので、まあ、読むだけならいいかと思い、私はその本を手に取った。

 やっぱり結構重い……。

「えーと、『The most representative among them is “Technological Singularity”. It is a prediction that computer capability will cross over human in 2045, and various problems will be caused by it. If this problem occurs, all research will be clone by not human but AI. The biggest worry is that AI might crash and start to does crazy research, break itself, or attack humans.』……ごめん、やっぱいい」

「えーなんで? これ結構簡単だよ?」

「これは私にとっては難しいの。私の英語の点数知ってるでしょ?」

「たしか……十一点だっけ?」

「覚えてるならこれ読ませるな!」

 これが簡単って、一体どういう神経してるのよほんとに…

「分かった分かったって。そんなに怒らないでくださいな、明香さんよ」

「はいはい、分かりましたよ結衣さん」

 そんな感じで二人で図書館の本を読みあさること数十分。図書館の閉館時間とともに、私達の読書タイムは終了となった。

「そんじゃぁね、結衣。また明日」

「じゃあね。ばいばい」

 今日も、当たり前の日常が過ぎ去っていく。


私は英語が得意ではないのですが、英文は多分あってます。たぶん。


この次はまた明日。

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