<Ⅵ>
「あんたの案を飲もう」
次の日、蛍はゴミ…いや、鈴木に向かってそう言い放った。
「…やっと、子供の人形遊びを止める気になったかね? 蛍くん」
ゴミはそう言い放つ。
うしろで、明香さんが殺気を放っているが、まぁ、しょうがない。
私も、こいつを蹴り飛ばしたいのだ。
「ああ。そんで、さっそくだ。方法を提示しよう」
蛍はそう言って、説明を始めていく。
私はそれを聞きながら、昨日の事を思い出していた。
「私のこと、後でちゃんと助けてくれるっていうんだったら、私は別にかまいませんけど?」
そうだ。別に、MIDORIの中へ特攻するのも、蛍のタブPCの中で遊びまわるのも、違いは何もない。
「はぁ!? おまえ、意味分かって言ってんの!? 消去されたらどうするんだよ!?」
「そうだよアネモネちゃん! それに万が一って言うのも…」
「ああもう、うるさいです少し黙ってください!!!」
いきなり明香さんと蛍がぐちゃぐちゃ言ってきたので、私はついつい怒鳴ってしまった。
「あのですね、蛍。私、今まで本気で動いたことないですよ?」
蛍は、その言葉で、全てに気付いた様子だ。
「……MIDORI動かしてるスパコン、タブPCの何倍のスペックだと思ってるんですか?」
あんなちんけなPC内で、私が本気を出してしまったら、一瞬でCPUがオーバーヒートしてしまう。
もちろん、この体のCPUもそうだ。
「でも、もし蛍が助けられなかったら……」
明香さんが震えているのが良くわかる。くっついてるし。
「明香さん、蛍を信用するんですよ! ロリコンにとっては、幼女を窮地から助け出すのが夢なんですから!」
そう私が言うと、明香さんは、固まってしまった。
「ちょ、アネモネ!? おまえなんつーこと言いだすんだ!?」
蛍が慌ててくる。
「え? 否定するんですか? あの古典問題集の中のフォルダの中の漫画の名前、暴露しますよ?」
「え、あ、おまえそれだけは…」
「え? なになに? 僕にも教えてよ、アネモネちゃん」
蛍を脅す私に、スギさんが面白がって突っ込んでくる。
ちなみに、アヤメさんとタンポポくんはもう寝てるし、カエデさんは苦笑いを浮かべ、明香さんは耳まで真っ赤にしている。
「え~っと、たしか題名は…『近所の女子小学せ―――」
「そういう話は無し!!!」
私が題名を言いあげていると、明香さんが大声でそう叫んだ。
「あ、苦手でした? こういう話」
明香さんは耳まで真っ赤にして、無言を貫き通す。
「まぁ、真面目な話、ちゃんと助けてくれますよね? 蛍?」
私は笑いをこらえつつ、蛍にそういう。
蛍は、私の好きな顔で、こう言い放ったのだった。
「もちろんだ」
「以上が今回の手段だが、いいよな? ま、異論は認めないが」
蛍がそう言うと、ゴミはしばらく考えてからこう言った。
「…それだと、警察の被害が大きくなる可能性があるが?」
「それは、おまえの責任だ。その部分は、おまえに作戦を一任するからな。何人死のうと、それはおまえの責任。殺したくなけりゃ、せいぜいその頭をひねりまくるんだな」
蛍がそう言うと、ゴミは分かったと、そう一言つぶやいた。
「そうと決まりゃ、あとは準備だ」
蛍はそう言い残すと、私の方を向き、無敵な笑みを浮かべた。
これでこの章は終わりです。




