<Ⅴ>
人が変わります。
「…………」
私達は、川辺さんに案内された大きな部屋の中で、寝袋の中に入っていた。
やっぱり、警察の人は私の事をあまりいいようには思っていないようで、寝袋も私の分だけ無かった。
蛍が、俺の寝袋に入れ、と言ってきたんだけど、そうすると、蛍の寝袋が無くなってしまう。
結局は、明香さんの寝袋に一緒に入れてもらうことにしたんだけど…。
「あの、明香さん? きついなら無理しなくてもいいですよ?」
「いいの! アネモネちゃん可愛いから」
さっきから、思いっきり抱きしめられている。
きついのは私なんだけど、さすがにそれを言う訳にもいけないし…。
アヤメさんは嫌がるし、カエデさんは胸が大きいから私が入る余地ないし…。
それに…
「……いい加減に舌打ちするのやめたらどうですか? 蛍」
さっきから、ずっと蛍は殺気を放っている。
「……おまえ、自分を散々物扱いしたやつのこと、ゆるせんの?」
……ここまで怖い蛍は初めてだ。
「……でも、あのゴミの言うことも一理ありますよ? 私、生命体ではありませんし」
「こら、アネモネちゃん。どんなに嫌いな人でも、ゴミって言ってはいけません」
カエデさんに怒られた。
「まぁ、冷静に考えてみたらどうです? 蛍さん」
突如、スギさんが口を開いた。
「起きてるみんなに聞くんだけど、人形に向かって話しかけてる三十後半の職業不詳の男を想像して? どう思う?」
「気持ち悪いですね…」
明香さんが即答した。
「でしょ?」
スギさんがそう返す。
「結局は、そういうことなんだよ。何も知らない人からすれば、人間に似たロボットを手放したくはないと思ってる子供さ。かといって、それがいいのかどうかはまた別だけどね」
続いたスギさんの言葉に、みんなは黙り込んだ。
「……アネモネは」
蛍が口を開く。
「アネモネは、どうなんだ?」
蛍は、真剣な目つきでそう言ってきた。
どう、か…。
「本心を話してもいいですか? 蛍」
蛍は、無言でうなずいた。
そして、私は大きく息を吸って、こう言った。
「私―――」




