<Ⅲ>
「おまえ、自分が何を言っているのか分かっているのか!!?」
鈴木警視長の言葉に、蛍は大声で怒鳴りつけた。
ここまでの大声を、私は今まで聞いたことが無かった。
それぐらい、蛍の怒りは大きかった。
「分かっている。ロボット一機を使って、ハッキングを仕掛けるだけだ。人は死なずに済むし、これ以上のプランはないだろう」
鈴木警視長は、淡々とそう告げる。
その言葉の意味は、さすがに不出来極まる私でさえ、よくわかった。
アネモネちゃんを殺すことで、MIDORIを停止させようというのだ。
具体的な方法は分からないが、でも、酷いことを言っているのは確かだ。
「……さすがに、それは無いんじゃないんですか?」
気が付くと、私は鈴木警視長にそう言っていた。
「……どういう意味だね? 確か…」
「瀬戸内明香です」
こんな人には、名前を呼ばれるのさえ厭だ。
「あ、そうだそうだ。瀬戸内君だったね。君は今、それは無いんじゃないか、と言ったんだが、それはどういう意味かな?」
鈴木警視長…いや、鈴木はそう言って、私の近くへ歩み寄って来た。
「アネモネちゃんは、人間と変わりはありません」
私がそう言うと、室内の視線が一斉に私へむけられる。
……。
「それで?」
「え?」
それで、とは、どういう意味だろうか?
「それで、どうしたというのかね?」
鈴木は淡々とそう告げる。
「君たちがそう思っていようと、結局は彼女はロボット、電気が無ければ動かないし、感情があるように見せかけるだけの、作りもの、ただの人形にしか過ぎない」
……。
「それが解っていたら、私の判断はあっていると思うのだけどね?」
鈴木はそういうと、蛍の方へ向き直った。
「今は感情的になっているから、わからんだろうから、明日、再度君に尋ねよう。ウイルス、アネモネを使い、MIDORIを止めるか、どうか」
鈴木はそう言い残し、部屋の外へと出て行った。
後には、私達「しょくぶつえん」と、数名の警官が残った。




