<Ⅱ>
服を着て言われた通りに「広間」へ向かうと、そこは、意外ときちんと片づいていた。
中央のガラス製の正方形のテーブルを囲むようにして、四つの赤いソファーが並べられている。
広間の奥の方には、カウンター式のキッチンも見える。
……なんか、さっきの部屋と違って生活感がある部屋だなぁ……。
「やあやあ、こんにちは~」
「うわぁ!?」
広間を眺めていると、唐突に後ろから声がかけられた。
驚いて振り向くと、そこには私と同い年ぐらいの男の人が立っていた。
「あ~、ごめん。脅かしちゃったかなぁ?」
そう言ってくる男の人は、満面の笑みを浮かべている。
髪は癖が強いらしく、外にはねている。
どことなく、猫を思わせる風貌だ。
「いえ……べつに大丈夫ですけど……」
「そう、それは良かった」
男の人は相変わらずの笑顔でそう話してくる。
「あ、あなたは……」
「あ、自己紹介がまだだったね。僕は『スギ』一応ここのまとめ役だから、何か分からないことがあったら聞いてね?」
「は、はい……」
「スギ」さんかぁ……。変わった名前だなぁ……。
「それじゃ、ちょっと待っててね。今みんなを叩き起してくるから。あ、そこのソファーに座っといて」
じゃ、またあとでと言い、スギさんは奥の部屋の方へと行ってしまった。
「……………………」
とりあえず、言われた通りにソファーに座る。
「……………………」
……今更だけど、ここ、見ず知らずの人の家なんだよね?
…………やばい。超緊張してきた。
とりあえず何か見て気を紛らわそうと思い、壁にかかっているデジタル時計へと目をやる。
「え?」
デジタル時計には、2043/9/14(月)AM2:36と記されていた。
要するに、二日以上、ずっと気を失っていたということになる。つまり、その間ずっとご飯も…
「…………………………」
……そんなことに気付いた瞬間、急速にお腹が減って来た。二日以上何も食べてなかったら当たり前か。
と、そんなことを考えていたその時。
「ごめんなさいねぇ~待たせちゃって」
扉を開けて、広間に私よりも一つ下ぐらいの女の人が入って来た。
「私は『カエデ』。よろしくね?」
「あ、瀬戸内明香です。よろしくお願いします」
カエデさんと握手を交わす。
「二日も寝てたんだから、お腹減ったでしょ? 何か作ろうか?」
カエデさんは、そう言いながら、私の前のソファーに座った。
知らない人に、これ以上お世話になるわけにはいかない。私は断ることにした。
「あ、いえ。全然大丈夫で……」
全然大丈夫です、問題ありません。そう言いかけた、その時。
私のお腹が盛大に鳴いた。
「………………………………」
お腹を抱えて顔を真っ赤にする私と、私のお腹を見つめるカエデさん。
………………恥ずかしい………………。
「……何か、作るわよ?」
「………………すみません。お願いします」
カエデさんが作ってくれたカルボナーラは、すごくおいしかった。
お腹減りました…




