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AR  作者: 青柳藜
chapter Three The botanical garden.
18/147

<Ⅱ>

 服を着て言われた通りに「広間」へ向かうと、そこは、意外ときちんと片づいていた。

 中央のガラス製の正方形のテーブルを囲むようにして、四つの赤いソファーが並べられている。

 広間の奥の方には、カウンター式のキッチンも見える。

 ……なんか、さっきの部屋と違って生活感がある部屋だなぁ……。

「やあやあ、こんにちは~」

「うわぁ!?」

 広間を眺めていると、唐突に後ろから声がかけられた。

 驚いて振り向くと、そこには私と同い年ぐらいの男の人が立っていた。

「あ~、ごめん。脅かしちゃったかなぁ?」

 そう言ってくる男の人は、満面の笑みを浮かべている。

 髪は癖が強いらしく、外にはねている。

 どことなく、猫を思わせる風貌だ。

「いえ……べつに大丈夫ですけど……」

「そう、それは良かった」

 男の人は相変わらずの笑顔でそう話してくる。

「あ、あなたは……」

「あ、自己紹介がまだだったね。僕は『スギ』一応ここのまとめ役だから、何か分からないことがあったら聞いてね?」

「は、はい……」

 「スギ」さんかぁ……。変わった名前だなぁ……。

「それじゃ、ちょっと待っててね。今みんなを叩き起してくるから。あ、そこのソファーに座っといて」

 じゃ、またあとでと言い、スギさんは奥の部屋の方へと行ってしまった。

「……………………」

 とりあえず、言われた通りにソファーに座る。

「……………………」

 ……今更だけど、ここ、見ず知らずの人の家なんだよね?

 …………やばい。超緊張してきた。

 とりあえず何か見て気を紛らわそうと思い、壁にかかっているデジタル時計へと目をやる。

「え?」

 デジタル時計には、2043/9/14(月)AM2:36と記されていた。

 要するに、二日以上、ずっと気を失っていたということになる。つまり、その間ずっとご飯も…

「…………………………」

 ……そんなことに気付いた瞬間、急速にお腹が減って来た。二日以上何も食べてなかったら当たり前か。

 と、そんなことを考えていたその時。

「ごめんなさいねぇ~待たせちゃって」

 扉を開けて、広間に私よりも一つ下ぐらいの女の人が入って来た。

「私は『カエデ』。よろしくね?」

「あ、瀬戸内明香です。よろしくお願いします」

 カエデさんと握手を交わす。

「二日も寝てたんだから、お腹減ったでしょ? 何か作ろうか?」

 カエデさんは、そう言いながら、私の前のソファーに座った。

 知らない人に、これ以上お世話になるわけにはいかない。私は断ることにした。

「あ、いえ。全然大丈夫で……」

 全然大丈夫です、問題ありません。そう言いかけた、その時。

 私のお腹が盛大に鳴いた。

「………………………………」

 お腹を抱えて顔を真っ赤にする私と、私のお腹を見つめるカエデさん。

 ………………恥ずかしい………………。

「……何か、作るわよ?」

「………………すみません。お願いします」

 カエデさんが作ってくれたカルボナーラは、すごくおいしかった。

お腹減りました…

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